2015年5月16日土曜日

ISEF

今年のISEFの勝者[^1]が決まりました。プロセッサで有名なインテル社がスポンサーとなって毎年アメリカで行われるこのコンテストには「インテル国際学生科学技術フェア」という翻訳が当てられています。ところがこれは誤訳です。もとは「Intel International Science and Engineering Fair」なので、「インテル国際科学工学フェア」が正解です。日本の学校にはサイエンス・フェアという行事がないので「学生」を付けて対象を明示するのは良いとしても、エンジニアリングを技術と訳してはいけません。技術はTechnologyです。日本語の科学技術はSciense and Technologyです。エンジニアリングとテクノロジーを両方とも技術と訳すのは大間違いです。では工学と技術の違いは何でしょう。ざっくり言うと技術とは物作りなどの方法です。高度な技術が必要な物作りをする産業をハイテク産業と言います。インテル社はその筆頭です。そうした技術はおおむね特許に守られるか企業秘密として会社にとどまります。ところが工学は技術だけでなくもっと他の物を含みます。物作りだけでなく、すでに作ったものをどう利用し維持するかまで含みます。工学は大学で学ぶことができ、その知識は教科書を通じて公開されています。つまり枝葉の話が技術でその上位にあるのが工学です。エンジニアリングとテクノロジーを区別しないと、なぜ大学にあるのが工学部なのか分かりません。技術を教えるのは職業学校の仕事です。

^1: http://www.asahi.com/articles/ASH5J5JT9H5JULBJ00B.html

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