2017年6月1日木曜日

ブラック・ホール・レインボー

映画「インターステラー」には見事なブラック・ホールの映像が出てきます。2014年に映画館でこの映画を観た筆者は、ブラック・ホールの映像をとても美しいと思いつつもある種の違和感を感じていました。それから3年たってようやくこの違和感の正体が分かりました。それはブラック・ホールの周りに「虹」が見えないという点です。ブラック・ホールの周りに物が集まってぶつかり、熱と光を発生するのは理解できます。その発生した光は強い重力に逆らって飛ぶので、エネルギーを失うはずです。つまり事象の地平線近くから発した光は赤方偏位するばずで、その結果生じるはずのブラック・ホールを取り囲む虹が映画には出てきません。可視光が事象の地平線の近くから外に向けて飛ぶと、赤外線や電波の領域まで波長が伸びます。ちょうど事象の地平線上で発生する光は、その波長が無限大になる(エネルギーがゼロになる)ので検知できなくなります。これがブラック・ホールがブラックと呼ばれる理由です。あそこまで科学的な考証を重ねて美しい映像を作ったのに、円い虹を省略したのは演出のせいでしょうか。

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