2022年11月15日火曜日

スパコン1位

日本で民主党が政権党だった時にスパコンの開発が予算削減の対象になり、ある議員から「2位ではダメなのか」という質問がありました。これは国民目線のまっとうな質問であり、これにちゃんと答えるのは科学者の義務です。ところがこの質問に当時の議会では満足な答えがなく、その場で予算削減が決まりました。その後の科学界からの要請で予算は復活したものの、科学者はこうした質問に普段から答えを用意しておくべきだという教訓になりました。スパコンを使った研究や技術開発は国民から遠い所で行われているので、その効用が問われるのは当然です。2位のスパコンでもできる研究や技術開発は当然あります。逆に言うと1位のスパコンと2位のスパコンの違いは計算速度なので、もし1位のスパコンを使えば1年かかる研究が2位のスパコンだと3年かかるとすれば、1位のスパコンで研究した方が2年早く研究成果を得られます。その差はノーベル賞または世界特許を得られるかどうかという違いになり、1位のスパコンを使うのは時間をお金で買うためだと言えます。でもその金額をいくらにするのが適切かという問いに簡単な答えはありません。教育にかける金額と同じで、リターンがいくらかという計算は難しいからです。産業に道路や空港が必要なように、研究には速いスパコンも必要です。ただしスパコンは戦略物資なので、他国から簡単に買えるものではありません。

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