2023年9月2日土曜日

トリチウム濃度

トリチウムは宇宙放射線でも大気中に生じるので、雨水にはトリチウムが含まれています。その濃度はだいたい0.5Bq/L程度[^1]です。1960年代は大気圏内核実験でロシア・中国・アメリカが大量のトリチウムを大気中にばらまいたので、その頃の濃度は100Bq/Lを越えていました。当時の子供は「雨にあたると頭がハゲる」という都市伝説を信じており、傘を忘れた生徒は頭を隠して雨の学校からの帰宅を急ぎました。もちろんそれでハゲになった子供はいません。トリチウムの半減期は12.3年と短く、1980年代には核実験の影響もなくなりました。WTOの飲料水の基準は10,000Bq/Lと高く[^2]、これはトリチウムの出す放射線がベータ線で、人体に与える影響が小さいためです。福島原発では処理水に含まれるトリチウムの濃度を1500Bq/L未満に薄めて海に放出しています。10分程度の測定時間だとトリチウムの検出限界は10Bq/L程度なので、東電による毎日の海水測定[^3]で分かる最低濃度もそれくらいです。海流により海水中の濃度も変わるので、福島沖で測定してもたまに10Bq/L[^4}を越えるくらいで、大半はND不検出となります。海水中のトリチウムが心配な中国は、自国の領海内でトリチウムの濃度測定を行えば良いでしょう。中国の原発はもっと多くのトリチウムを海に放出しているので、日本近海より中国近海の方がトリチウム濃度は高いと予想します。

^1: https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20230627-OYTNT50002/

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