2014年3月9日日曜日

夏時間

今日からアメリカの夏時間が始まりました。これは3月の第二日曜日から11月の第一土曜日まで続きます。「夏時間」というのは俗名で、正式には「Daylight Saving Time」と呼びます。3月だと北部の州では季節はまだ冬で、山には雪が降ります。同じく11月を夏と呼ぶのも違和感があるでしょう。夏時間を設ける目的は、日照時間が長い初夏から初秋までの期間に1時間早起きして、暗くなるまでの時間を1時間延ばしましょうという事です。つまり仕事が終わってもまだ十分明るいので、涼しくなる夕方の時間で街歩きやスポーツができます。長い昼間の時間をより有効に使う事で、仕事以外に使う時間が増えて経済にも好影響があります。ところが、この制度が効果を発揮するにはひとつの大事な条件があります。それは仕事に人を付ける社会であるという事です。つまり自分の仕事時間は完全に自分で決める事ができ、となりの人がまだ働いていても自分の仕事が終わればさっさと帰宅できるという社会です。夏時間ではまだ外が明るいうちに退社できるので、アメリカのように仕事に人を付ける方式でないとうまくいきません。日本では人に仕事を付けるのが普通なので、手のあいている人は他の人の仕事までやる必要があります。こうした社会では、全員がその日の仕事を終えるまで誰も帰宅できません。まだ働いている人を尻目にさっさと自分だけ退社すると「あいつは身勝手なやつだ」という評判がたってしまいます。その結果みな他人の目を気にして暗くなるまで帰宅しないので、労働時間が1時間延びてしまいます。これが戦後日本で夏時間の導入に失敗した理由です。

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