2022年10月17日月曜日

人工妊娠中絶

 アメリカで人工妊娠中絶が中間選挙の争点になっています。日本の法律では妊娠21週台[^1]まで中絶手術ができます。これに対してアメリカは6月に出た連邦最高裁判決で、人工妊娠中絶が適法かどうかは州ごとに決めるとなったので、それまであった連邦レベルでの「中絶する権利」が否定[^2]されました。これによりまったく中絶を認めない州も出ると予想され、例えば共和党が強いオハイオ州では妊娠6週[^3]までしか人工妊娠中絶を認めていません。もしこれに違反すれば、本人と手術した医者の両方が訴追されます。これに反発しているのが若い女性で、学生などそれまで投票に行かなかった中間層が民主党支持に回るとみられます。どの州でも党の岩盤支持層は3分の1ぐらいで、中間層が3分の1を占めます。周りの意見に流されやすい3分の1がどちらに投票するかで、その州の支持政党が決まります。妊娠中絶とインフレのどちらが中間層を獲得するか、劣勢のバイデン大統領と元大統領トランプの戦いはいかに。


^1: これ以降だと胎児が母体の外で生きていけるというのが理由です。

^2: キリスト教福音派は以前から妊娠中絶に反対で、これを支持母体とするトランプ元大統領が指名した複数の最高裁判事が、1973年に出た判決を覆しました。それまではアメリカでも「妊娠22~24週」までは中絶できました。米国憲法はプライバシーを人権として認めており、妊娠はプライバシーに含まれるというのがそれまでの理由でした。

^3: 妊娠6週以降となると胎児の心音が聞こえるというのが理由です。ただし、ほとんどの女性は妊娠6週目で自分が妊娠しているとは気付きません。

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