2022年10月29日土曜日

煎茶の死

煎茶を殺したのは他ならぬ生産者と消費者です。使った武器は「深蒸し」で、味も香りも色まで殺しました。煎茶は80℃のお湯で3分待つ必要があり、これを知らない消費者が「深蒸し」を選んだ結果です。蒸しが深いので茶葉がボロボロにくずれており、これならポットの湯を入れてすぐ色がでます。不気味なほど深い緑のお茶に味も香りもありません。ところがお茶のプロは「深蒸し」の茶葉を使いません。例えばペットボトルのお茶は「普通蒸し」の茶葉を使っています。その色は緑色ではなく、いわゆる萌葱色(もえぎいろ)です。大多数の日本人は正しいお茶の入れ方を知りません。それは生産者が正しいお茶の入れ方・飲み方を世の中に広める努力をしなかったからです。本当のお茶を飲みたければ「深蒸し」を買ってはいけません。緑茶とは茶葉が緑色という意味で、抽出したお茶の色は黄色です。湯飲みの底に緑色の茶葉が溜まる「深蒸し」は掛川の茶葉だけに必要な製法で、それはこの地の茶葉が他の産地のものより硬いからです。掛川以外の茶葉を「深蒸し」にすると味も香りも色も死にます。

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