2022年6月7日火曜日

失言

これ[^1]は日銀総裁の失言だと思います。「馴染みの店で馴染みの商品の値段が10%上がったときにどうするか」というアンケートに対して、「他の店に行くと解答した人が去年と較べて今年は減った」というデータは色々な解釈ができます。今のように円安で輸入物価が値上がりする時は、どの企業でも同じような物価上昇圧力を受けます。他に選択肢がない商品の場合、物価上昇は我慢して受け入れるしかありません。食品が値上がりしたからといって、食べるのを止めたら死にます。すでに一番安いスーパーで食品を買っていたら、値段が上がっても他のスーパーには行きません。「家計の値上げ許容度」とは何でしょう。あきらめと許容とは違うと言っても、普段スーパーで買い物をしない日銀総裁には区別できません。庶民の感覚に反する「家計の値上げ許容度、高まっている」という発言は、アンケートの結果をただ自分にとって都合の良い解釈したものに他なりません。人口が減る日本でやみくもに物価を上げると、庶民の暮らしはさらに厳しくなります。日銀総裁がやった事は日本のデフレをスタグフレーションに置き換えただけで、それは同時にアベノミクスの失敗を意味します。日銀が円安を放置している以上、輸入物価の値上がりは続きます。

^1: https://www.asahi.com/articles/ASQ667G0YQ66ULFA024.html

2022年06月10日追記
この質問で6割超の人が選んだ最多の回答は「その商品をその店で買い続ける。ただし、買う量を減らしたり、買う頻度を落としたりして節約する」だった。』とあるように、やはり自分にとって都合の良い解釈をしていたわけです。

さらに日経は、この発言が失言ではなく、意図的なものだと指摘しています。人々にインフレ期待が高まるので、「インフレが賃上げにつながる前向きな循環をつくり出せれば、2%の物価安定目標の達成への道筋が描ける」というわけです。「問題はインフレに賃金の上昇が追いつかないこと」とあるように、実質賃金がどれだけ上がるかは日銀にも制御できません。

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