2023年1月27日金曜日

償還期限

アメリカには法律で決められた債務上限があり、国の国債残高をこの上限より増やす場合、議会がその都度法律を変える必要があります。でも日本にはこうした法律上の上限はなく、ただ「赤字国債はダメ」という法律があります。ではなんで日本で赤字国債が発行できるのかと言えば、毎年「今年は例外として赤字国債を認める」という法律を通しているからです。その国債に償還期限があり、今は60年となっています。これを80年に伸ばすというアイデア[^1]が出ており、実質的に「国債は返せない」と言い出しています。もしこれを通してしまうと、日本国債の信認が揺らぎ、その価格が下がります。それは国債金利の上昇と同じなので、日銀がYCCで引き下げてきた金利が上昇します。日銀はすでに国債を買えるだけ買っており、日本の長期金利を抑える力は残っていません。つまり国債の償還期限を伸ばしても財源が増える訳ではなく、むしろ国債価格の低下と金利の上昇という副作用が経済の足を引っ張る事になります。景気を冷やすのはインフレ退治には好都合でも、増税を避けている限り矛盾は拡大します。どうせ景気を冷やすなら、増税を選ぶのが国民のためです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。