2023年6月23日金曜日

2%のインフレ目標

黒田元日銀総裁が述べたインフレ目標2%の理由は「他の国がそうだから」[^1]というものです。ではなぜ他の国が2%を目指すかというと、最近の世界人口の増え方が1%強[^2]だからです。人口の伸びと経済の規模を合わせるため、インフレ目標は1%では足りず、切りの良い2%となりました。つまり人口が増える国では需要も増え、供給が時間的に遅れるためインフレが起きます。その数値が2%なら良しとしようという考え方です。黒田氏の講演には「人口」という単語は一度も出てきません。日本は人口が減る国であるのにも関わらず、人口が増える国と同じインフレ目標で良いのかという疑問は封じられています。日本も貿易を通じて世界とつながっているから、世界の人口が増えて重要が増えればインフレになるという理屈です。実際には異次元緩和により円安になり、ドルベースでは日本製品はデフレになりました。円安を実現したという意味で「成功」した異次元緩和は、日本で2%のインフレを起こす事には失敗しました。ところがコロナで生じた世界のインフレは円安で増幅され、日本に2%を越えるインフレをもたらしました。ここで実質賃金が低下すると需要が減ります。年金はインフレ率ほど上がらないので、消費の中心である中高年は支出を減らします。つまり異次元緩和を続けても、いずれ日本はまたデフレに戻ります。それだけ人口減少の圧力は強いというのが現実です。

2023年08月12日追記
「国内の消費支出は65歳以上世帯が4割」なので、インフレは今年一杯でしょう。

2023年09月04日追記
輸出がGDPに占める割合は15%程度ですから、世界の需要が日本に与える影響もその位です。

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