2009年12月24日木曜日

戸籍のない国

アメリカには日本のような戸籍はありませんし、住民票もありません。普通の市民が持つ政府との接点は納税と選挙です。納税には社会保障番号という納税者をあらわす番号を使います。この番号を取得するには、アメリカ人の場合はアメリカ市民であることを証明する出生証明書が必要です。外国人の場合はパスポートとビザが必要です。税金は州と連邦のふたつに分けて払います。消費税とビジネス税は地元の自治体が徴収します。選挙はまず政党に登録して党員となることから始まります。大統領は党員の投票から決まります。また自治体の選挙では、自治体への選挙人登録が必要です。ですからマサように永住権のみで選挙権を持たない外国人はどこにも登録がありません。さすがにこれではまずいということで、911テロのあとアメリカは永住外国人の住所登録を義務付けました。永住権は10年ごとに更新する必要があるので、最新の情報を登録しておかないと最悪永住権を失う可能性があります。ですがこれは戸籍ではなく、ただの外国人登録です。扶養家族の控除があるため、納税の書類には自分の扶養家族の名前と社会保障番号を記入しますが、これも戸籍ではありません。役所が市民の家族構成や生死を登録することはありません。兵役ですら今は志願制ですので、18歳になったアメリカ市民は連邦政府に対して住所の登録を義務付けてはいますが、しなくても罰則がある訳ではありません。ただし政府が出す奨学金制度FAFSAに申し込む時には、この登録を済ませておかなければなりません。引越しには住所変更をします。郵便局には旧住所から新住所への転送依頼を出し、電気やガスなどは移動するたびにサービス停止と開始の手続きをします。固定電話は同じ局番内での引越しなら住所の変更だけで住みますが、そうでない場合はやはりサービス停止と開始の手続きになります。アメリカは自国内で生まれた人に自動的にアメリカ国籍を与えるので、出生証明書はアメリカ人であることの証明になります。ある自治体の住人であることの証明には、運転免許証の住所または電気やガスの請求書の住所を使います。また公立学校に入るにはその学校区の住所が必要です。住民票がないため、学齢の子供を持つ親は自ら学校区の事務所に出向いて子供の入学手続きをします。戸籍は始めは納税のため、ついで兵役のために発明されたものだと聞いています。日本には戸籍があり、アメリカには戸籍がありません。それでもアメリカの社会生活には支障はないようです。

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