2021年6月11日金曜日

行政電子化の目的

6月11日付けの日経新聞の記事[^1]が核心を突いているので、ここで紹介します。新しい法案の8割は既存の法案の変更なので、法案作成には「新旧対照表」をワープロソフトの「一太郎」で作ります。「一太郎」は縦書きの「新旧対照表」を作るのが得意なので、ワードは使いません。ではなぜ総務省が法案作成用に作った「e-LAWS」が使われないかと言うと、必ずしも最新の法律が「e-LAWS」に入っていないからです。つまり「e-LAWS」を作った目的が行政電子化であったため、電子化できた事で終わり、使えないシステムになっています。電子化は手段であって目的ではありません。行政を合理化して税金を減らすのが目的です。それが関係者全員に共有されていれば、「新旧対照表」を作るという使用例やその「新旧対照表」をワープロソフト形式で書き出すという使用例が仕様書に含まれ、誰がいつ政府の法令データベースを更新するのかという運用上の問題点も認識されたはずです。日本の行政には電子化そのものを目的とするプロジェクトが多く、使えないシステムを多数作って税金を無駄にしています。これは発注者側にアーキテクトがいないからで、目的と手段の区別ができないトップが多い事を表しています。受注者側はプロジェクトがたとえ無駄になってもお金が入れば文句は言いません。実際には役人が最新の民間法令データベースからコピペで「新旧対照表」を作るので、人手によるミスが多発します。まさに才能の無駄遣いであり、同時に税金の無駄遣いです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0222H0S1A600C2000000/

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