2021年6月16日水曜日

前後関係と因果関係

前後関係と因果関係の違いは分かりますか。例えばコロナワクチンを接種した人の何人かは、接種後に死亡します。65歳以上の人から注射しているので、中には何もしなくても老衰で死ぬ人もいます。何もしなくても脳梗塞で倒れる人もいます。何もしなくても認知症が進む人もいます。これらはワクチンが原因ではないにも関わらず、前後関係があるので疑われる例です。ところがワクチンが原因の体調不良もあります。例えば接種後にアナフィラキシー反応が起きると、これには因果関係があります。その時たまたま起きたアレルギー反応ではなく、ワクチンが引き起こした副反応だからです。では前後関係と因果関係をどうやって区別したら良いでしょうか。それを調べるのが治験で、今までmRNAベースワクチンの副反応で知られているのは、アナフィラキシー反応のみです。つまりこのワクチンで死んだ人はいない、というのが医学上の見解です。それでもワクチンを接種した人の何人かは接種後に死亡します。それがたまたま偶然そうなったのか、それともワクチンが原因なのかは統計的に判断する必要があります。日本は何もしなくても年間に国民の1%が死ぬ国です。2月から5月末までの日本のワクチン接種者が9,774,029人でそのうち死亡者が85人。すると9,774,029人の国民が2月から5月末までの4ヵ月間で0.3%死ぬはずなので、本来29,322人が死ぬはずです。でも実際に死んだのは85人なので、ワクチンを打った事で死者が大幅に減ったように見えます。これは最初に接種を受けたのが医療関係者だったので、普通の人より健康な人が多かったというのがその理由です。前後関係と因果関係の違いは中学で学ぶべき題材です。ヨーロッパで使われているアストラゼネカのウイルスベクター式ワクチンでは、ごくまれに「血小板の減少を伴う血栓症」で死ぬ人がいます。その割合は百万分の一くらいなので、数万人単位の治験では発見できませんでした。これは死因を分析した結果分かったので、さっきの死亡者85人の分析結果[^1]を見てみると、年齢相応の死因しかありません。つまり日本でコロナワクチンが原因で死んだ人はいないという事です。今後ワクチンを接種した人が増えれば接種後に死亡した人の数も増えます。その割合がどのくらいなのかが大切で、接種後に死亡した人の数だけ見てもそれがワクチンの副反応かどうかは分かりません。ネットには前後関係と因果関係の違いを無視した記事が多いので、母数はいくらかという事まで書いていない記事は読者をミスリードしてしまいます。


2021年6月23日追記
例えばこういう記事が読者をミスリードします。
母数が書いてない上、94歳男性ならいつ死んでもおかしくありません。

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