2023年5月4日木曜日

NHK受信料

この寄稿[^1]にはNHK受信料の歴史が述べられています。その中でNHKのスクランブル化が無理筋で、受信料を下げるために規模を縮小せよとあり、これにはおおむね同意します。ただしGHQが正しいという前提なので、NHKと比較するならBBC[^2]の方が妥当だと思う筆者から、アメリカの放送について補足します。まず現在のアメリカにおいて「政治的に公平」は存在しません。どの放送局も右か左に偏っています。それはお金のためです。視聴者は自分の政治信条に近い放送局を選ぶので、有料か無料かに関係なく自然と国民の好みを反映した放送局になります。それでも一番公平な放送局とされているのがPBSです。PBSは主に個人と企業の寄付で運営されており、財政的にはいつも火の車です。広告を流さないという建前ですが、寄付した企業の名前は流しています。どこが経費を負担するかという見方からすると、放送局は国営(税金)、民営(広告料)、公共(受信料・寄付)に分かれます。ロシアや中国は国営放送が強く、アメリカは民営放送が強く、日本は公共放送が強いという現状です。ではアメリカのように日本も公共放送は寄付のみで運営するべきでしょうか。これには「民主主義のコスト」を誰が負担するのかという視点が必要です。民主主義を続けるには、定期的に選挙を行うだけでなく、選挙権を持つ国民に真実を知らせる放送が必要です。独裁主義や権威主義の国には自由な報道はありません。それはロシアや中国をみれば分かるでしょう。税金で運営される放送局は政権批判ができませんし、民営ではスポンサーを批判する番組は作れません。つまりBBCのような公共放送局は国民の知る権利を担保するために存在し、これは民主主義に必要なコストだと筆者は考えます。もちろん受信料の使い道をガラス張りにして、それぞれの支出を国民が精査できるようにする事は大切です。電波(周波数帯域)は国民の資産だから、その使用には料金を取ります。「公共の電波」とはそういう意味です。NHKの受信料は電波の使用料と国民の知る権利を担保するための経費であり、NHK職員がカラ出張で不当所得を得る原資ではありません。秋からは衛星放送を減らすなどNHKもコスト削減に乗り出します。NHK自身がなぜ日本に受信料を取る公共放送が必要かを国民に知らせる努力がもっと必要でしょう。お金がない若者がNHK受信料を払いたくないのは当然で、チューナーレス・テレビなら受信料は不要です。アメリカにも民主主義には報道の自由が必要だという常識はあります。日本は自力で民主主義を勝ち取っていないため、民主主義や報道の自由はあって当たり前と思っている人が多く、NHK廃止論が生まれます。筆者は受信料を取る公共放送は必要だと思っており、NHKにはもっと細かい支出額の内訳を公表する事を望みます。

^1: https://president.jp/articles/-/68998

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