この記事[^1]は「感性」という科学的に未定義なものと母語の関係を取り上げています。特に「日本語を母語として育つと、母音と自然音を左脳で聴くようになり、特有の感性が磨かれる。」という主張には科学的根拠がありません。そもそも耳は頭の左右両方に付いており、脳の片側だけで音を聴くという事はありません。筆者はアメリカと日本に住み、子供2人を英日バイリンガルに育てたので、言語と育ちの関係には強い意見を持っています。それはこの記事の結論と同じで、母語の次に第2言語を習うのは急がなくて良い、というものです。3歳どころか10歳でも遅くありません。まず母語をちゃんと学ばないと、どっちも下手という事になりかねません。ただし、日本で日本語に囲まれて育てば、どんな人でも日本人的なオノマトペを使用できるようになります。これが「感性」というなら、日本人特有のものではないと言えます。おそらくAIでも似たような能力は示せるでしょう。それは言わば経験の差であって、「母音と自然音を左脳で聴く」かどうかとは無関係です。そうした思い込みは科学の世界では「仮説」と呼び、それを実験で証明して反論の余地がない事を同じ分野の博士号を持つ科学者の大半に納得させられれば、ようやく「科学的事実」になります。それまでは、思い込みに過ぎません。
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