2023年7月31日月曜日

退職金と終身雇用

このブログで何度も取り上げたので、耳タコになる人もいるでしょう。それでもまた取り上げるのは、日本人の誤解が心配だからです。今はやりの「ジョブ型雇用」の最大の利点は「いつでも手切れ金で人をクビにできる」という事です。つまり新しい分野に進出して失敗しても、それが会社の屋台骨を揺るがす前に損切り出来るという事です。人材の流動性を高めるというのは、儲からない仕事から儲かる仕事に人材を動かすという目的があるので、「終身雇用と退職金」という慣行[^1]とは合いません。外国のパクリが中心の「追いつけ追い越せ」という昭和モデルにおいて有用だった「終身雇用と退職金」が、変わり身の速さで勝負する今の時代に合わないという事です。日本の雇用システムをひっくり返すつもりで法律を変えないと「ジョブ型雇用」は成功しません。具体的には「雇用の年齢差別を禁止して、手切れ金による無条件の指名解雇を許可する」という法律変更です。こうすれば「終身雇用と退職金」は消失し、年功序列も無意味になります。年齢による就職差別も違法となり、年齢給もなくなります。仕事の能力と経験だけで給料が決まる社会になると、新人よりも経験者が大事になります。「ジョブ型雇用」では仕事と給料が密接に関係するので、同じ仕事を続ける限り給料は変わりません。同じ会社で同じ仕事を長く続けるより、より給料の多い会社に人を誘導する仕組みです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2067N0Q3A720C2000000/

2023年08月09日追記
「6カ月分の給料を支払えば解雇できるという条件を入れるといいのでは」に賛成。ただし「雇用の年齢差別禁止」も同時に入れないと労働者に不利です。

2023年09月20日追記
ジョブ型雇用は終身雇用と矛盾します。終身雇用の廃止に触れないのは理解できません。

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