アメリカは機会均等を旨とする社会的公平さを大切にしています。そのアメリカで7月に「affirmative action」[^1]という政策が連邦最高裁にとって憲法違反と判断されました。この政策は(州によって違いはあるものの)大学や軍士官学校などで国民の人種割合に応じて少数受験者に加点する制度で、以前は少数派である黒人が入試で有利になっていました。それが憲法違反と判断されたので、そもそもこの政策が目指していたものは何かという論争がアメリカで起きています。人種的多様性を増やすのが目的なのか、それとも経済的多様性を増やすのが目的なのか、という論争です。教育には金持ちに有利になる要素があり、歴史的に貧困だった黒人は大学入試で不利でした。それを是正するべく生まれたのが「affirmative action」です。でもこれは逆差別にもなり、特に成績が良いアジア系アメリカ人には不利な制度でした。入試において受験者ふたりの成績がまったく同じなら、何をもってそのうちひとりを選ぶのが公平かという問題です。軍隊のように黒人の割合が多い組織だと、指揮官にも黒人が必要です。アメリカの大学は、入学者の人種ではなく経済的多様性を増やす方向にカジを切ったようです。
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