2024年7月30日火曜日

プールの水管理

何度も日本各地同じミスが起きています。学校のプールで水道水を出し続け、数百万円の水を無駄にするという事故[^1]です。これだけ何度も起きるという事は、これが構造的な問題だと示しています。昔の学校には用務員という人がいて、そうした雑事を専門にこなしていました。令和の今、そうした人はいません。忙しい教諭が片手間にやるからミスが起きます。文科省は、そうしたミスを無くすためにプールの管理を外注に任せる予算を付けましょう。プールの清掃や水張りは教諭の仕事ではありません。毎日やる仕事でもないので、そうしたサービスを提供する会社に夏だけやってもらえば十分です。

2024年7月27日土曜日

米大統領選

バイデン氏の撤退で、米大統領選が面白くなりました。ハリス副大統領とトランプ元大統領は対照的な候補者なので、その論戦は見物です。一方は若くて女性で非白人であり、もう一方は高齢で男性で白人です。世代間の戦いでもあるし、ジェンダー間の戦いでもあるし、人種間の戦いにもなっています。特にトランプ側が白人の副大統領候補を選んだため、ハリス側が白人の副大統領候補を選べば、ハリス氏はより幅広い層にその主張を訴えることができます。もと検事のハリス氏は弁舌がうまく、トランプのような人を扱い慣れています。9月の大統領候補者どうしのテレビ論戦が楽しみです。

2024年7月26日金曜日

円安限界論

この記事[^1]は、円安が期待したほど日本の業績を伸ばさなかった事実を指摘しています。円レートが100円/$から150円/$まで50%も安くなったのに、輸出企業の売り上げは50%も伸びていません。輸出数量はむしろ過去15年間で減り続けており、輸入原料の値上げにより利益が引き下げられた形になっています。輸出品が値段を下げればより多く売れるという低価格の商品ではない事や、円高だった間に海外に工場を移した事などが理由です。また他の海外企業にくらべて商品の競争力が落ちているという問題もあります。昭和の家電、平成のカメラなど過去に日本を助けた輸出品はもはやなく、自動車や電子部品などが外貨を稼いでいます。そのかわりインバウンド観光と海外への投資が国際収支の黒字を維持しており、国債残高がGDPの2倍超でもこの程度の円安で済んでいるとも言えます。アベノミクスは不動産と株価を引き上げ、国債残高を大幅に増やしました。円安に頼らない筋肉質の経済になれるかどうかに日本の未来がかかっています。

^1: https://gendai.media/articles/-/134289

2024年7月23日火曜日

日銀のジレンマ

消費者物価指数が27カ月連続で2%を超える[^1]ものの、実質賃金は26カ月連続のマイナスとなっています。本来ならば日銀は利上げに踏み切るべきですが、その結果実質賃金がさらにマイナスを続ける事を恐れています。6月のワンタイム減税と4月からの賃上げでそろそろ実質賃金がプラスに振れるはずなので、それを見届けてからの利上げシナリオです。ところがこの半年で円安がさらに進み、また物価上昇の秋が待ち受けています。利上げしてすぐ実質賃金が再度マイナスに沈むのも都合が悪い日銀としては、利率を上げるに上げられないという状況です。どちらにしても非難されるなら、利率を上げて企業の新陳代謝を促すのが王道でしょう。7月中の英断を望みます。

2024年7月22日月曜日

タクシー無線

これも時代の流れです。タクシー無線がなくなり、携帯電話網を利用したタクシー呼び出しに世の中が移っています。むしろ今だにタクシー無線が使われていた事に驚きます。この記事[^1]には「効率ばかりを優先していいのか」という反論があります。これこそが日本をダメにした原因です。「効率を優先」しなくて、どうやって生産性を上げるのでしょうか。すでに日本には、複数のタクシー会社から依頼を受けてそれぞれの電話番号で顧客の電話を受けて、それぞれのタクシー会社のタクシーのタブレットに呼び出しを知らせるサービスをしている会社[^2]があります。タクシー版コールセンターのような仕事です。とても効率的で、顧客にもタクシー会社にも好評です。もう時代遅れのタクシー無線は不要なのに、効率優先への疑問を口にする人がいるから日本はダメなのです。

^1: https://dot.asahi.com/articles/-/228676

2024年7月20日土曜日

花火大会

都会の花火大会は燃えかす問題[^1]で中止する例が増えています。筆者が子供の頃は今ほど数多くの場所で花火大会は行われておらず、せいぜい豊島園ぐらいでした。その豊島園でも燃えかす問題は深刻で、お詫びとして回りの家にプールのタダ券を配っていたほどです。屋根にソーラーパネルがあったり、庭に車を駐車している人が増えた現代で、人口密集地域の花火はもう不可能です。残るのは広大な私有地で行う花火か、あるいは隅田川や熱海のような場所になります。それに花火大会の経費も高騰しているので、タダで見られる花火大会は今後ますます減るでしょう。時代が変わったという事です。

^1: https://dot.asahi.com/articles/-/227984?page=1

2024年7月19日金曜日

市長の悩みの種

日本で若い市長が当選すると、動きの鈍い市議会と対立して思うように公約を実現できないという事がよく起きます。それだけならまだしも、年功序列に慣れた役人まで敵に回すと酷いことになります。パワハラで役人をいじめるか、市長だけで独断専行を続けて役人が疲弊します。この意味で夕張市長から北海道知事になった鈴木直道さんは上手に立ち回ったと思います。議会を説得するのは骨の折れる仕事であり、時間の無駄に思う人もいるでしょう。ただし議員や役人も市民の一部なので、彼らを説得できないようでは市長として失格です。年齢が上の人に自動的に従うという日本の文化は、同時に年齢が下の人には自動的に従わないという反応になりがちで、若い市長の悩みの種となっています。

2024年7月18日木曜日

ざっくり言うと

日本の労働者の5%が公務員で、70%が中小企業で働く人[^1]、残りの25%が大企業で働く人です。なお正規と非正規の区別はしていません。一般に中小企業の生産性は大企業よりも低く、ゾンビ企業も中小企業に集中しています。日本は失業を恐れるあまり左派経済に陥っており、中小企業の数が多すぎます。財務省にもその認識はあるものの、政治がゾンビ企業に補助金を出して経済の足を引っ張っています。国債を発行してこうした中小企業を維持するのは間違いで、日本が貧しくなる大きな原因です。利上げと補助金の廃止を決断すべきです。

^1: https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00299/

2024年07月21日追記
「日本では6社に1社がゾンビ企業」と言われる中で、政府もようやく企業新陳代謝にカジを切ったようで、中小企業のM&Aを促すそうです。

2024年7月17日水曜日

年金は税金か

「基礎年金は財源の2分の1を国庫負担で賄う」[^1]ので、年金と税金は明確な区別ができません。これは日本の年金制度の欠陥となっています。話題となった「国民年金の保険料納付期間の5年延長」も、今の年金制度が健全と言うならば説得力を持ちません。年金は払う方から見れば税金ですから、延長にはこうした反発が起きます。ただし今でも任意加入という制度で、60歳を超えても年金を払う事は可能[^2]です。そこで払いたい人だけ65歳まで払えるという形にするのも案です。ただし、国民年金の分が払い損[^3]にならないような変更は必要でしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA022O30S4A700C2000000/

2024年7月16日火曜日

去年より暑い今年

2023年は異常に暑い年でした。でも2024年はさらに暑くなりそうで、世界の気温はIPCCの予想より速く上昇しています。これが何を意味するかと言うと、①IPCCの気候モデルに足りない部分がある、②IPCCが予想したより気候変動の危機は早くやってくる、という事です。温暖化ガスの排出国トップは中国と米国で、これにインドとロシアが続きます。特に中国の排出量は米国よりも一桁多く、まず中国と米国が化石燃料の消費を抑えることが必要です。でも実際にはコストの面からむしろ化石燃料の消費は増えており、それは日本も同じです。夏が暑い分エアコンの電力消費も増え、より多くの火力発電が使われるという悪循環に入っています。現実に温暖化を止められない以上、個人レベルでは温暖化でも「死なない」工夫が必要です。短パンにポロシャツで働くサラリーマンとか、学校(体育館も含む)や公共施設への冷房完備を当然とする社会に変わるという事です。もはや真夏で一番涼しい都道府県は沖縄県であり、その沖縄の服装を真似しましょうという考え方です。変化に適応するしか生き延びる道はありません。

2024年09月07日追記
やはり2024年は2023年より暑く、気候モデルの予想を超えています。

2024年7月15日月曜日

左派経済

日本では失業を恐れるあまり経済が左寄りです。退場させるべき企業に補助金を出し、自由化すべき電力市場に余計な規制をかけています。この記事[^1]にある「昼間の電力料金がマイナス」は、日本では起きません。日本の電力料金には入札上の下限[^2]があって、マイナスにはならないのです。太陽光発電のおかげで昼間の電気が余る傾向があります。つまり以前は深夜電力が安かったのに、今は昼間電力の方が安いという状況が生まれています。余っても貯められない電気は使わなくては無駄になるので、日本でもマイナスを許容するべきです。市場に自由な価格形成をゆだねれば無駄がなくなります。今はこうした無駄があるので国債残高が増え続けています。人手不足の日本で失業は問題になりません。こうした左派経済は日本をより貧しくします。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1041D0Q4A710C2000000/

2024年07月17日追記
「ゾンビ企業に退場を促すこと」は財務省の認識でもあります。先送りしてはいけません。

2024年07月21日追記
「失業率が上がらない水準」では遅すぎます。もっとM&Aを促進すべきでしょう。何度も言うように、人手不足の日本で失業は問題になりません。

2024年08月17日追記
中小企業が価格転嫁できないのは大企業が意地悪だからではありません。他の企業でも納品できる製品を作っているからで、だからこそM&Aでムダな競争を減らすべきです。

2024年09月16日追記
解雇規制緩和は鬼門となりました。給料分働いてないという人が多いという事ですね。人を雇って教育するにはお金がかかるので、企業は給料分働いている人はクビにしません。

2024年7月14日日曜日

就学義務と国際学校

国際学校(インターナショナル・スクール)と就学義務の関係を扱ったこの記事[^1]は、良い問題提起です。文科省の説明[^2]によれば、「保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナル・スクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません。」とあり、保護者が就学義務違反になります。もちろん子供が外国に居住する場合は、この法律が外国には適用されないので関係ありません。ところが小学校まで海外で過ごし、中学から日本の公立に通う場合はグレーゾーンになります。理想的にはインターナショナル・スクールに最低の基準を設け、それを満足するインターナショナル・スクールは一条校に準じるものとして扱うのが良いでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE148QW0U4A610C2000000/

2024年7月13日土曜日

マンション投資

庶民にできる一番確実な投資は、自分の住む家への投資[^1]です。値上がりが期待できる自己物件に住めば、賃貸費を節約しつつローン減税や固定資産税の節約ができます。問題はそうした家を買えるかどうかで、ローン返済に回せる収入と家の値段(場所)との比較が大切です。アベノミクスが始まってから都市部マンションの値上がりが始まり、株で得た資金でマンションに投資した結果、日本のお金持ちが増えました。また最近の円安は特に中国からの不動産投資を招いており、都市部のマンションがさらに値上がりする要因となっています。値上がりする不動産は、元手があれば誰にでもできる確実な投資です。東京の不動産は利便性で判断され、郊外の一軒家よりも都心のタワマンの方が人気です。大地震でタワマンが陸の孤島になるまで、この傾向は続きます。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC29DG40Z20C24A5000000/

2024年7月12日金曜日

不人気の前払い

キャッシュレスで使われる決済手段トップ3[^1]は、クレジットカード、QRコード、電子マネー(交通系ICカード、nanacoなど)の順です。このうち人気が落ちているのが電子マネー[^2]だそうで、前もって入金が必要というひと手間が嫌われています。もちろん入金という意味ではQRコードのPayPayでも必要です。でもそれは銀行口座と連携させておけば、オンラインですぐ入金できます。この点で、現金を銀行から下ろして駅やコンビニの機械でチャージする電子マネーとは違います。その反面、QRコードはネットが繋がらないと使えないという弱点があり、電子マネーがバスなどネットがなくても使えるという点に負けています。クレジットカードがタッチレス決済に進化しているので、電子マネーは現金だけでなく、クレジットカードの追い上げを受けています。電子マネーがこのまま廃れていくのか、それとも別の形に進化するのかに注目しています。個人的には、交通系ICカード以外の電子マネーは必要ないと思っています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC179CN0X10C24A6000000/

2024年10月16日
路線バスは交通系ICカードのみで十分です。コンビニで交通系ICカードを買ったり、現金をチャージできるので、車内での現金の支払いは廃止しましょう。

2024年7月10日水曜日

日本の安月給

ITエンジニアの給料を国際比較したこの図[^1]によれば、2023年の日本はついに中国より安月給になりました。アメリカの約3分の1が日本で、その日本を超えたのが中国です。円安もあるので、今年はさらに差が開いている事でしょう。そろそろアメリカの外注先として日本が有利となるかもしれません。インドと較べると時差が少ないし、仕事は納期厳守ですから。でも同じIT産業なのに、日本はどうしてこれほどアメリカと差があるのでしょう。同じレベルの仕事でも、国が違うと給料が違います。ITエンジニアの仕事は普遍性があるので、同じ働くならアメリカとなります。いつか日本のITエンジニアがアメリカ並みの給料を手にする日が来るでしょうか。

^1: https://mainichi.jp/graphs/20240704/mpj/00m/020/129000f/20240628k0000m020002000p

2024年7月9日火曜日

LLMとロボット

ついにLLM(大規模言語モデル)がロボットを動かす日[^1]が来ました。まだ簡単な動きしか許されていないものの、こうした結合は雪崩のように進むと思います。すると最初に心配なのは、安全性はだれが担保するのかという事です。おもちゃならまだしも、仕事で使うような大きなロボットならLLMが指示した動作で誰かがケガする可能性があります。製造者責任としてロボットのメーカーが責任を負うのか、それともLLMのAPIを提供する会社が責任を負うのか、はたまたそのロボットを購入した人が責任を負うのか、さらにはそのロボットを使う人が責任を負うのか、いずれ判例を通じて明確化されるでしょう。行き着く先はスカイネットです。LLMだって幻覚を持つので、複合的なエラーで致命的な事故が起きる可能性は排除できません。こうしたロボットには、せめてすぐに動作を止めるキルスイッチを設けるべきです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2738N0X20C24A6000000/ 

2024年7月8日月曜日

政教分離

建前として政教分離を掲げる国はたくさんあります。でも実際に100%これができている国はありません。米国はキリスト教の国、トルコはイスラム教の国、イスラエルはユダヤ教の国です。特にイスラム教と政教分離は相性が悪く、世俗的とされるトルコでもイスラム教は国の中心思想となっています。このためイスラム教徒を移民として受け入れたフランスのような欧米諸国で、イスラム教の戒律と国のキリスト教的価値観が衝突するという事態が起きています。日本ではまだイスラム教徒の数が少ないので、こうした衝突は起きていません。でも潜在的には、海外からの労働者が増えると起きる可能性があります。経済のグローバル化が貧富の差を拡大し、資源の相互依存が戦争の原因になると分かったので、先進国はみな保守回帰です。自国第一主義を取り、多数派以外の宗教を弾圧する傾向にあります。宗教は法律以前の善悪を決める思想なので、妥協する余地の少ない領域です。こうした宗教の排他性や攻撃性は、日本人には馴染みがありません。

2024年7月6日土曜日

年金水準

この記事[^1]は年金水準と経済成長の関係を扱っています。この試算から分かるのは、経済成長しなければ所得代替率が50%を下回るという見込みです。現状維持ではダメで、単純に物価が上がれば所得代替率が下がります。日本の労働人口は毎年1%減っているので、経済成長するには生産性を毎年1%以上上げる必要があります。また人口減少による国内需要の縮小を補うには生産性を上げるだけでは不十分で、海外への輸出増が必須となります。個人が年金だけで暮らすのは無理で、貯蓄を取り崩すか不動産を売る事が必要です。このため、若い頃からNISAやiDeCoを使った資産形成が肝心となります。年金という国の制度に頼らず、自分で老後の資金を貯めておけという事です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA3003R0Q4A630C2000000/

2024年7月5日金曜日

思い込み

この記事[^1]は「感性」という科学的に未定義なものと母語の関係を取り上げています。特に「日本語を母語として育つと、母音と自然音を左脳で聴くようになり、特有の感性が磨かれる。」という主張には科学的根拠がありません。そもそも耳は頭の左右両方に付いており、脳の片側だけで音を聴くという事はありません。筆者はアメリカと日本に住み、子供2人を英日バイリンガルに育てたので、言語と育ちの関係には強い意見を持っています。それはこの記事の結論と同じで、母語の次に第2言語を習うのは急がなくて良い、というものです。3歳どころか10歳でも遅くありません。まず母語をちゃんと学ばないと、どっちも下手という事になりかねません。ただし、日本で日本語に囲まれて育てば、どんな人でも日本人的なオノマトペを使用できるようになります。これが「感性」というなら、日本人特有のものではないと言えます。おそらくAIでも似たような能力は示せるでしょう。それは言わば経験の差であって、「母音と自然音を左脳で聴く」かどうかとは無関係です。そうした思い込みは科学の世界では「仮説」と呼び、それを実験で証明して反論の余地がない事を同じ分野の博士号を持つ科学者の大半に納得させられれば、ようやく「科学的事実」になります。それまでは、思い込みに過ぎません。

^1: https://president.jp/articles/-/83110