この報道[^1]は、日本の大学病院の経営危機を伝えています。その地域でのベストの医療を実現するはずの大学病院が赤字続きでは続けられません。日本は公立病院と私立病院が混じり、それを税金と保険料で支えています。そこで医療資源の最適化が難しく、事情が異なる公立病院と私立病院の経営を一元化する事もできません。患者から見た医療資源の最適化の例として、筆者はアメリカのメディカル・グループをご紹介します。アメリカは民間病院のみであり、それを民間の保険会社が支えています。地域ごとにメディカル・グループがあり、その頂点には中核病院があります。手術や入院や救急は病院の仕事です。病院にいるのは主にナースであり、医者は病院の外に自分のオフィスを持っています。高価なMRIや手術ロボットは病院が所有し、医者は必要に応じて病院に来て手術などの仕事をします。病院の下にはクリニックがあり、そこにはクリニックに所属する医者のオフィスと血液検査などを行うラボがあります。X線CTの機械を持つクリニックもあり、診療と検査がその場でおおむね終了します。ただしMRIのような高価な検査は、患者に病院まで行ってもらう必要があります。クリニックの下には開業医のオフィスがあり、問診や検査結果の通知、薬の処方などを担当します。クリニックと開業医のオフィスの違いは、クリニックは規模が大きく複数の医師が常駐している点で、いわば手術と入院と救急がない病院という立ち位置です。メディカル・グループに属する病院・クリニック・開業医の間で役割分担があり、レントゲン装置、血液分析装置、CT、MRI、手術ロボットといった高価な医療資源を効率良く使っています。患者が最初に行くのは開業医かクリニックであり、医者の評判と移動距離で選びます。頂点に立つ病院は大学病院の場合もあれば、私立病院の場合もあります。こうした役割分担とグループ化は民間の保険会社との協働で行われ、医療のコスパを上げる効果があります。日本では開業医がレントゲン装置や血液分析装置を所有するケースがあり、患者にはすぐ検査を受けられるメリットがあるものの、そうした装置がどれだけ稼働しているかを見ると、もったいない場合が多いと思います。大学病院は中核病院なので設備費がかかります。また医学生の教育や病気の研究という仕事もあるので、薄利多売というわけには行きません。そこがクリニックと大学病院との違いで、日本ではこの違いが曖昧なため大学病院が赤字経営を強いられています。大学病院とクリニックではコスト構造が違うので、同じ保険収入では無理があります。もちろん患者にとってのデメリットもあり、アメリカだと必要な検査をすぐ受けられない場合があります。救急以外ではMRI検査の予約がひと月後というケースもざらです。アメリカの医療費が高いのは民間の保険会社が多大な利益を取るからであり、その点は日本の健康保険制度が優れています。
2025年07月25日追記
大学病院は研修病院、患者は手術の練習台、でも普通は指導医がそばで見ています。
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