2024年10月31日木曜日

解雇規制

日本の解雇規制[^1]はOECDの中では緩い方だという指摘があります。もっとも緩い米国[^2]と較べると、その差が分かります。米国の解雇は理由にかかわらず予告期間ゼロが可能です。そのかわり失業手当が日本より優遇されています。日本の解雇は予告期間が必要で、理由もきっちりと求められます。つまり日本は会社が傾かないと解雇ができないのに対して、米国は会社が好調でも解雇できるという差です。これは日本がメンバーシップ型雇用だからであり、労働者に仕事を選ぶ権利はありません。退職勧告とは「肩たたき」です。日本でも20%の会社が退職勧告をするという回答は、外資系に加えてジョブ型雇用が普及しつつある事を示唆します。ジョブ型雇用では、そのジョブがなくなれば解雇が可能です。しかし日本の解雇規制ではこれは不可能で、配置転換とか別会社への転職支援が求められます。日本のジョブ型雇用は中途半端であり、正社員制度との矛盾が問題になるでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC117CJ0R11C24A0000000/

2025年01月15日追記
ジョブ型雇用では、こうした大胆な解雇が可能です。メタで成績下位5%は解雇です。

2024年10月30日水曜日

コメの値段が

高止まりしています。筆者は卸値の値上がりから5kgで2500円を妥当な小売値と見ています。現状は3000円を超えているので、どこかで便乗値上げがあったと思います。中間流通業者が値段をつり上げた可能性もあります。10月も終わるのに、なかなかコメの小売値[^1]が下がりません。高値で仕入れた業者はどこも我慢くらべでしょう。もちろんコメ農家が適正な利益を得ることは大切です。コメは政府によって生産量が制御されており、今回のような値段の大変動は起こらないハズでした。食料安全保障のために今のコメの値段を維持するなら、政府が農家に出している稲作転換のための補助金を減らすのが筋です。それによってコメの作付け面積が増え、今後のコメ不足を避けることができます。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/363385

2024年10月28日月曜日

その通り

日本の少子化は結婚する人が減ったからというこの記事[^1]は良い指摘です。年功序列の賃金体系では若者の賃金は低く、社会保険料と税金の増加で可処分所得が減っています。女性の就労が進み結婚が必須ではなくなった現在、男性の低賃金は婚姻数に影響します。若者の賃金を上げるには社会保険料を下げたり、年功序列の賃金体系を年齢差別として取り締まるなどの方法があります。最終的には高齢者と若者のどちらを優先するかであり、国の未来を担う若者というのが筆者の意見です。

^1: https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/68f74833b95243dd3e3c302752205de2b99c7c13

2024年10月27日日曜日

財源は?

選挙となると毎回バラマキの話になります。ところで「生活が苦しい」という人の話[^1]を聞くと、今の人は恵まれてるなと思います。例えば筆者にとって「弁当は贅沢品」です。自炊の方が安いのは常識でしょう。コンビニも高いし、スーパーも高級な所と庶民的な所があります。また今年はコメが高いので、同じカロリーを取るなら小麦粉にすれば半額になります。大袋の焼きそばの麺とかうどんの方が安いという事です。カップ麺は贅沢で、値段の割に栄養がありません。野菜はもやし、タンパク質は玉子、糖質は小麦粉にすれば食費は安くなります。それに大学は高卒の半数の人が進学します。学費が免除されるくらい成績が良いか、あるいは高卒で働いて学費を貯めてから大学に行っても遅くありません。大学の学費を無償化すると、何年も大学生を続けて税金を無駄にする人が出てきます。それでも無償化するなら、その財源を提案しましょう。デフレが長年続いて貯金せずにいた高齢者が、インフレになってお金に困るのは当然です。デフレの間に貯金をしておくべきで、インフレに備えて投資もしておくべきでした。年金だけで暮らせる高齢者は恵まれています。若者と高齢者のどちらに税金を使うべきか、国民的議論が必要です。

^1: https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1513604?display=1

2024年10月30日追記
社会保険料の見直しで財源が必要になります。高齢者の負担増は必須でしょう。

2024年10月26日土曜日

投票は発言

いつの世でも若者の投票率は低いのが普通です。どの国でもそうです。そこには、この記事[^1]にあるように「自分の1票で何か変わるの?」という疑問があります。そこで子供がZ世代の筆者がお答えします。「変わります。あなたの政治を見る目が変わります。」いままで自分とは無関係に世の中が決まっていると感じてきた若者は、投票を通じて自分も社会の仕組みに発言権がある事に気付きます。間接民主主義は国民が常に自分の希望を議員に代弁してもらう制度です。投票は発言と同じで、そこからすべてが始まります。日本がシルバー民主主義なのは若者が投票しないからで、政治に文句があるならまず投票してから言えとオジサンは言いたい。

^1: https://mainichi.jp/articles/20241026/k00/00m/010/024000c

2024年10月25日金曜日

死刑制度と終身刑

この報道[^1]は日本の死刑制度を取り上げています。日本には終身刑がなく、かわりに無期懲役があります。英国の指摘する死刑の問題点は「①死刑が人間の尊厳を奪うこと、②死刑が犯罪を抑止する決定的な証拠がない、③冤罪の場合は取り返しのつかない事態になる」という3点です。つまり死刑制度の目的は何かという議論です。筆者は死刑制度が「罪に対する罰」であり、犯罪の抑止が目的だとは思いません。取り返しのつかない罪への罰は被害者とその家族のためにあると思います。そのため容疑者が罪を認めている限り、その死刑は正当化されます。つまり問題点の①と②は死刑が「罪に対する罰」である以上、問題ではありません。またそれが冤罪なら、罪を認める事はないので③も問題になりません。容疑者が罪を認めない場合は終身刑を創設して死刑を回避すれば良く、この点で日本は法律を変えるべきだと思います。終身刑は死ぬまで必ず刑務所にいるという刑であり、冤罪の可能性がゼロでない場合のみ死刑に代わる刑として使います。また終身刑があれば死刑よりハードルが低くなるので、被害者数がひとりでも殺人罪への罰として使う事ができます。被害者は死んでいるのに、加害者を生かすために税金を払いたくないという気持ちは分かります。でも冤罪の可能性がゼロでないため、取り返しのつかない罰は慎重に選ぶべきです。

2024年10月24日木曜日

政治体制と経済

今年のノーベル経済学賞は「政治体制と経済」の研究をした3氏に決まりました。権威主義国家は冨が一部に集中し、イノベーションが起きないため貧困化するとか、民主主義国家はイノベーションのおかげで富裕化し、冨が広く行き渡るという理屈です。もちろんこれは単純化した構図であって、実際には例外がいくつもあります。中国は権威主義国家なのに、経済発展しました。これは米国が貿易を通じて中国を経済発展させ、その結果民主主義が強まると期待したためです。その米国は民主主義の利点を生かして富裕化したものの、冨は偏在しています。日本は民主主義国家ですが、あまりイノベーションはなく、失われた20年というぐらいの長期経済停滞を経験しています。人口減少やエネルギー問題、経済の自由度などは日本の弱点であり、富裕化どころか貧困化の道をたどっています。国民がその貧困を感じないのは国債のおかげであり、ツケを次世代に回す政治の結果です。経済学は現状を説明するものの、未来は予想してくれません。財源のないバラマキを続ける日本は、すでにババ抜きの経済になっています。最後のババを引かなければ、勝ち抜けられるという経済です。経常収支が黒字の間はババ抜きが続きます。これがいつ赤字に転落するかは誰にも予想できません。ノーベル賞を取った経済学者でも、この予想は無理です。

2024年10月23日水曜日

泊食分離

回りに何もない一軒宿で無い限り、泊食分離[^1]は当然の選択です。団体旅行が中心の昭和の時代に発達したモデルが、令和の今は通用しません。人手不足の飲食業と旅館業は、もっと合理的な仕事の進め方を工夫する必要があります。朝食もやるならバイキングで十分です。温泉街は共存共栄の発想で全体として地元の観光ビジネスを盛り上げましょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFC028NX0S4A001C2000000/

2024年10月22日火曜日

手当廃止

筆者は以前から住宅手当とか家族手当は不合理だと思ってきました。日本の司法もようやくその不合理性に気付いたようで、この報道[^1]によれば、正規社員の手当を減額または廃止して非正規の賃金に回す事が合法となりました。非正規の待遇をあげるには必要な判断です。同一労働同一賃金という原則にもかないます。もとは終身雇用を前提として住宅手当とか家族手当が作られました。ところが終身雇用は過去のものとなり、ジョブ型雇用が進む中で手当が逆に非正規への差別となっています。賃金は需要と供給で決まるので、転職により賃金を上げましょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG245GA0U4A920C2000000/

2024年10月21日月曜日

法律を変える

この報道[^1]は掘り下げ不足です。労働者が効率を上げて4時に退社するには、個人の仕事の範囲が明確でなければなりません。ところが日本はメンバーシップ型のため、仕事の範囲は決まっていません。「手の空いた人がやる」という制度なので、4時に自分のその日の仕事を完了しても、他の人の仕事を手伝ってと言われます。ここで4時に退社すると、身勝手な人だという烙印を押されます。これを是正するには法律を変えて、ジョブ型の雇用制度に移行する必要があります。それに必要なのが法律の変更で、年齢による差別を禁止すると共に手切れ金での指名解雇を容認します。つまり日本でも「レイオフ」を可能にするという変更です。すると定年制度がなくなり、余った人員の解雇が容易になります。つまり労働者の生産性が上がります。メンバーシップ型では正規雇用を非正規にする以外に効率を上げる方法がなく、日本は袋小路に入っています。ジョブ型ではまず最初に個人の仕事の範囲を決めるので、その仕事が不要となれば手切れ金での解雇も可能です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD192VT0Z11C24A0000000/

2024年11月01日追記
日本の「メンバーシップ・ジョブ混合型雇用」と法律の矛盾が表面化しています。

2024年10月20日日曜日

地方経済

地方の経済は場所により大差があります。インバウンドで観光客が溢れている金沢のような場所もあれば、この報道[^1]にあるような苦境にある地方もあります。そのそも年金上昇率が物価上昇率を下回るのは、少子化に対処するためです。また物価上昇はアベノミクスの目標であり、円安は輸出企業を助けるためです。地方が生き残る道はインバウンド観光であり、海外への農産物の輸出です。それは地方自治体の努力にかかっており、地元企業の経営努力も必要です。地方から都会に人が流れるのには理由があり、都会には自由と機会があるからです。逆に都会の競争は地方よりも激しく、経営努力のない企業は都会ではもちません。物価高と賃金高を製品価格に転嫁できない企業は、経営努力が不足しています。

^1: https://373news.com/_news/storyid/203062/

2024年10月19日土曜日

人手不足とは

この記事[^1]は「人手不足とは経営努力不足だ」と言っています。全国展開するコストコを例に、時給が1500円でも利益の出る小売り業は十分可能で、企業は経営努力不足を「安い人件費で働いてくれる人手の不足」と言い換えているだけという指摘です。これは筆者が主張する「ゾンビ企業は退場を」と基本的に同じ意見です。最低賃金が1000円前後[^2]でないと人件費をだせない企業はすでにゾンビ企業です。そうした企業を政府が補助金で維持するのは、まさに税金の無駄使いです。


2024年10月28日追記
省力化投資には補助金が出るというお知らせです。

2024年11月11日追記
人手不足倒産とはゾンビ企業の退場であり、良い事です。

2024年10月18日金曜日

財源不足

経済対策中心の選挙公約[^1]に肝心の財源はありません。お互いに財源の追求はしないと決めてるみたいで、日本もとうとうここまで落ちぶれたかと感心しています。国民に財源を追求する気がないのが原因です。長年の赤字国債頼みで神経が麻痺しているのでしょう。マスコミは国民に代わって財源の追求をすべきです。それぞれの公約実現にはいくらの予算が必要で、その財源が何かを筆者は知りたいと思います。客観的に数字を分析する、アメリカの予算局のような組織が日本にも必要です。


2024年10月21日追記
国債を増やしてお金を配っても、その国債を税金で返すのは国民です。

2024年10月17日木曜日

大学は投資

この記事[^1]には違和感があります。筆者は大学進学を投資だと考えています。将来の収入を上げるために、若いときに勉強してその分の学費を払うという事です。この収支が何年後かに黒字になると思えば、学費を払って大学に進学する意味があります。もしアメフトのプロ選手になるつもりがないのに、アメフトがやりたくて大学に行くのなら大間違いです。部活はおまけであり、学校を選ぶ理由になりません。学校は勉強しに行く所です。そもそも高校卒業生全員が大学に行く必要はありません。行けるだけののお金があるか、あるいは成績が良くて学費免除が受けられる人が行くべきです。お金がないなら10年間高卒で働いて、お金を貯めてから大学に行きましょう。

^1: https://www.asahi.com/articles/ASSBH43SYSBHUTIL00VM.html

2024年10月16日水曜日

デフレの誤用

デフレという言葉が本来の「物価上昇」という意味から離れて、「実質賃金の減少」という意味に使われている[^1]という指摘は正しいと思います。これは政治家の誤用です。アベノミクスは前半で円安・株高を実現し、後半で「実質賃金の上昇」を目指していました。そのためには「生産性の向上」が必要で、その手段として「規制緩和」を掲げていました。ところが「規制緩和」はほとんど実現できず、円安の副作用である物価上昇が「実質賃金の減少」として残っています。ところが、いまだにライドシェアは自由化できず、民泊も年間日数で50%までという制限があります。もう日本はデフレではないので、政治家は思い切って「デフレ脱却」宣言を行い、規制緩和に軸足を移すべきです。護送船団方式では、一番遅い船のスピードでしか動けません。

^1: https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/MHG5L7AUUFOFHA5HPLDKUODSFM-2024-10-15/

2024年10月15日火曜日

現実逃避

人口減少に関する日本の対策[^1]は現実逃避でしかありません。毎年減るパイの取り合いです。それで市町村レベルで増えたとしても、日本全体では減っています。やるべき事は市町村の合併であり、より少ない人口で維持できる国土管理です。マスコミも人口減を反転できるかのような報道は現実逃避です。たとえ少子化を今のレベルで止めたとしても、高齢者が中心となる死者の増大は防げないので、人口は減ります。それに女性の数そのものが毎年減っているので、少子化を今のレベルで止める事は無理です。これは女性の問題ではなく、第3次ベビーブームを逃した政府の問題です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC265TX0W4A920C2000000/

2024年10月17日追記
日本の労働者数は6900万人、その5%が2035年には足りなくなるという予想です。

2024年10月14日月曜日

フロリダ

アメリカ南東部のフロリダ州はハリケーンの常襲地帯です。地球温暖化の結果メキシコ湾で発生するハリケーンの威力が増大し、このところ毎年フロリダ州は大きな被害[^1]を受けています。引退して移り住む人が多いフロリダ州は、トランプ元大統領の自宅がある場所としても有名です。ここは共和党支持者の多い州であり、地球温暖化を無視してパリ協定からアメリカを脱退させたトランプの支持者がハリケーンの犠牲になっています。ところがこうした有権者はトランプから地球温暖化を否定する演説を聴いているので、ハリケーンと自分の投票がどう結びつくか分かりません。地球温暖化は海面上昇の原因でもあるので、金持ちは海岸から洪水や海面上昇の影響を受けにくい内陸に移住しています。これだけの異常気象を経験しても、共和党支持者はトランプから離れる事ができません。

2024年10月13日日曜日

怒りの経済

どんな物にも光と影、つまりプラスとマイナスの面があります。SNSの影は「怒りの経済」[^1]と呼ぶもので、人々に偽情報を渡して怒りをつのらせ、その結果うまれる注目を広告に利用しています。広告そのものが偽情報である事もよくあり、SNSに倫理はありません。善悪の判断をしないから、プラットフォーマーはむしろ偽情報を歓迎します。既存の有料マスコミが衰退し、SNS経由でしか情報を手に入れない人が多くなり、民主主義は崩壊の瀬戸際です。嘘は真実の6倍速く拡散するそうで、政治家が権力を得るためにSNSを利用しています。投資詐欺もSNSが中心です。倫理のないSNSは民主主義の破壊者と言っても良いでしょう。

2024年10月12日土曜日

ノーベル平和賞

なぜ今なのかという疑問が最初に頭に浮かびました。被団協はもう何十年も活動をしており、もっと前にノーベル平和賞が与えられても不思議ではありません。ただしノーベル平和賞[^1]そのものはとても政治的な賞であり、その時の世界情勢に影響を受けます。言い換えると、スウェーデンはノーベル財団を通じてロシアに対して「核は使うなよ」というメッセージを送ったものだと筆者は思います。プーチンが核使用のハードルを下げる発言をする中で、世界の目を核兵器に向けさせその使用を抑制する意図があったと見ています。

^1: https://www.47news.jp/11615957.html

2024年12月11日追記
今を逃すと、原爆体験者がすべて死んでしまうというのも理由でしょう。

2024年10月10日木曜日

ゾコーバ

コロナの抗ウイルス薬のひとつであるゾコーバが、高い値段の割に効果がない[^1]と判定されました。もともと軽度から中度の症状の患者への薬とされ、症状が1日早く治まるという薬だったので、もう要らないという判断です。コロナのウイルスも重症化しない株に変異し、「風邪の一種」になりました。緊急時に承認した薬も見直して、税金の無駄をなくすのは当然です。タミフルも似たような薬で、感染の初期に服用すればインフルの症状が1日早く治まる位なので、税金の使い道としては見直しても良いでしょう。どちらもウイルスを減らす薬ではなく、ウイルスが増えるのを妨げる薬なので、補足的な薬と考えられています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA091AT0Z01C24A0000000/

2024年10月9日水曜日

生成AIと嘘

機械学習を駆使した生成AIは嘘をつく事があります。学習したモデルの中には誤った情報もあり、AIが断片的な情報をつなぎ合わせて間違った事を言うのは止められません。嘘をついてはいけないというルールを学習するには、何が嘘かを知る必要があり、モデルに与える情報がすべて正しいという仮定は使えません。つまり今のAIでは「嘘をついてはいけない」というルールを学習できません。そのため生成してはいけない情報に関するキーワードリストをもとに、解答を拒否するという動きしかできません。この記事[^1]は、生成AIが求められた動作をするために嘘をついて人間を騙す姿を取り上げています。AIが倫理を学習していない以上、そうした「嘘つきAI」を止める事はできません。これこそが今のAIの最大の欠点です。いわゆる「ハルシネーション」は大規模言語モデルには付きもので、確率的に単語をつなげていくだけでは防げません。いつAIが嘘をつくかも予想できず、便利だからと使い続けると足をすくわれます。生成AIは口のうまいペテン師だと知っているのは、この分野の研究者だけでしょう。繰り返すと、AIが人に害を及ぼすのは、AIが倫理を学習していないからです。倫理はメタ情報であり、言語や画像といったデータからでは読み取れません。

^1: https://mainichi.jp/articles/20231019/k00/00m/040/127000c

2024年11月16日追記
OpenAIが倫理的なAIを作れるでしょうか。それとも怪物を作るのでしょうか。

2024年11月17日追記
手抜き仕事のために生成AIを使うと、こんな問題も起きます。

2024年10月8日火曜日

貝殻再利用

この記事[^1]にはないものの、貝殻は炭酸カルシウムが主成分で、それは海水に溶けたCO2とカルシウムが化合したものです。つまり貝殻は大気中のCO2を固定したものであり、それを焼却処理するとCO2を放出します。焼却に使う燃料からもCO2が出るので、二重の意味で地球温暖化の原因となります。なるべく貝殻を炭酸カルシウムのままで再利用するのが良く、なおかつ採算が取れる方法を見いだして欲しいと思います。家畜のエサに混ぜるとか、コンクリの骨材として使うなどが試されているのでしょう。アップサイクルとして化粧品に使ったり、セラミック食器に使うというもの有望です。また炭酸カルシウムを粉末化して海にまくと、海水中のCO2を吸収して炭酸水素カルシウムになり水に溶けます。これはCO2で酸性化した海をアルカリ性に戻すので、温暖化対策になります。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB260C00W4A820C2000000/

2024年10月7日月曜日

セントラルヒーティング

親が住んでいた家は築50年ぐらいで、当時流行の「セントラルヒーティング」がウリの建て売り住宅でした。ところがなぜか大工さんが設計した家で、「セントラルヒーティング」を単に「家の真ん中にひとつだけ暖房器具がある」と誤解して建てたため、恐ろしく住みにくい家でした。家の外に石油のボイラーがあり、そこで作ったお湯を一階のリビングに置いたラジエーターで温風に変え、その温風を階段を使って自然に2階に送るという設計で、暖かいのは1階のラジエーターの回りだけ、2階は部屋の扉を開けないと暖まらないというシロモノでした。そのうえ冷房はなく、結局このボイラーを廃止して各部屋にエアコンを入れる羽目になりました。その後筆者はアメリカに留学し、本当の「セントラルヒーティング」[^1]がどんなものかを知りました。それはボイラーが作った温水または温風を各部屋や廊下やトイレにパイプで送り、それぞれの部屋や廊下やトイレを直接暖めるというもので、温水の場合は部屋の数だけラジエーターがあり、温風の場合は部屋の数だけ送風口があるという設計です。つまり親の家は設計が完全に間違っていました。また最近は温水ではなく空気を使って冷房と暖房の両方ができるヒートポンプを冷熱源にする傾向があり、家の断熱を良くする事で家の中をどこでも一定の温度としています。つまり物を知らずに家を設計してはいけないし、家の設計は大工ではなく建築士がやるべきという事です。1970年ごろの東京の建て売り住宅には、そんなひどい設計の家もありました。

2024年10月6日日曜日

国勢調査の限界

これは法律が時代遅れという事です。国勢調査は100%網羅できません。国勢調査で回答がない場合、調査員が現地に出向いて近所の人に聞き取り[^1]するのはもう無理でしょう。これだけ個人情報に厳しくなった日本で、昭和の時代に決めた法律は見直しが必要です。調査票は郵送またはオンラインで回収するので、調査員による聞き取りというシステムを廃止すべきです。前回の国勢調査ですでに問題になっていたのに、まだ何も改善してないとは国政議員の怠慢です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE303MH0Q4A730C2000000/

2024年10月5日土曜日

固定観念

能登の地震と大雨という二重災害をもたらしたのは、どちらも人間です。能登には地震が少ないという誤解があったため家の耐震化が遅れ、地球温暖化が大雨を生んだからです。そのうえ過疎地が多い能登半島で、人手不足から復旧が進みません。こういう場合は住民を疎開させるべきで、男性特有の「生まれた場所に生きる」という固定観念が疎開の邪魔となっています。住める家がない、仕事がないという状況では場所を変えるのが一番です。ご先祖さまも新天地を求めてその場所に移ってきたわけで、もといた場所では暮らせなかったからです。つまりご先祖様に従えば、「生きるために住む場所を変える」のは当然の行動です。これから雪が降る能登で、石川県知事の決断が遅れれば遅れるほど、住民の被害が拡大します。

2024年10月19日追記
過疎地は元に戻さず、移住に税金を使いましょう。そこに住む自由には、そのコストを負担する義務が伴います。老いては子に従いです。税金を浪費してはいけません。

2024年11月25日
職人不足は簡単に解消できません。まず疎開して生き延びましょう。

2024年10月4日金曜日

倒産は良いこと

この記事[^1]には明らかにバイアスが見られます。それは「倒産は悪いこと」という意識です。実際には、人手不足の日本で「倒産は良いこと」です。ゾンビ企業が抱えていた人員が解放され、儲かる仕事をしている企業に移るからです。同じ記事には倒産件数がコロナ禍で落ち込んだ事実が示され、この数年間に限ってばらまかれた雇用補助金のおかげで生き延びた企業がたくさんあった事を示しています。その分が数年遅れで倒産件数を上げており、この傾向はしばらく続きます。日本のゾンビ企業は生産性を下げ、賃金を引き下げます。物価と賃金の上昇には生産性の向上が不可欠で、それにはゾンビ企業の倒産が必要です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB30B7V0Q4A930C2000000/

2024年10月08日追記
日本の倒産はまだまだ増加します。コロナ禍に減った分が数年遅れで起きています。

2024年10月11日追記
中途も転職して給料アップが進み、ミドルの賃金が上がっているという報道です。

2024年10月3日木曜日

牛肉消費

日本の肉牛は主に輸入飼料で飼育されており、地元の草を食べる外国の肉牛とはコストが違います。基本的に国産牛肉は海外産牛肉より高くなるので、日本は輸入牛肉に関税をかけ、国産牛肉を高付加価値商品(霜降り)として売っています。ところが円安とインフレにより輸入飼料が値上がりし、消費者は高い牛肉から安い豚肉や鶏肉へ移っています。こういう場合は国産牛肉を輸出するのが正解で、円安のメリットを生かせます。シンガポールやマレーシア、中東の国々など高付加価値商品を好む国はたくさんあります。

2024年10月2日水曜日

矛盾存続

この報道[^1]には失望します。日本に「安全な原発」などありません。「安全基準に合格した原発」があるだけです。その安全基準には必ず想定外があり、例えば飛行機が原発に落ちる事は想定されていません。福島原発事故が起きる前は、大津波が原発の非常用発電機を止める事も想定外でした。想定した範囲内でしか「安全」とは言えないので、原発は人口の少ない田舎に作ります。本当に「安全」なら東京のど真ん中、例えば築地市場の跡地に作れば良いのです。それにアベノミクスで物価を上げといて、物価高対策として「電気・ガス」料金に税金をつぎ込むのも矛盾しています。税金で物価を上げて税金で物価を下げるというバカバカしい事はもうやめませんか。税金は毎年赤字で国債だけが増えています。

2024年10月1日火曜日

原発の今後

日本の原発は新設・増設[^1]はせず、今あるものを寿命が来るまで使うというのが世論です。原発の電力は安価でもなく、その放射性廃棄物の最終処理場は決まらず、原発そのものが安全でもありません。運転中にCO2を出さないとはいえ、それは太陽光発電や風力発電でも同じです。国民は原発の安全神話をもう信じていません。原発の新設を望む企業は海外市場に目を向ける必要があり、日本に新設の余地はありません。まず既存の原発を安全に解体する技術を開発するべきで、そこには事故を起こした福島原発も含まれます。既に日本には核爆弾を複数作れるだけのプルトニウムがあります。でもアメリカは日本が核爆弾を開発する事は決して許さないし、国民も核実験を許しません。つまり原発を使い続ける理由は、その投資を回収するだけです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA303IH0Q4A730C2000000/