親が住んでいた家は築50年ぐらいで、当時流行の「セントラルヒーティング」がウリの建て売り住宅でした。ところがなぜか大工さんが設計した家で、「セントラルヒーティング」を単に「家の真ん中にひとつだけ暖房器具がある」と誤解して建てたため、恐ろしく住みにくい家でした。家の外に石油のボイラーがあり、そこで作ったお湯を一階のリビングに置いたラジエーターで温風に変え、その温風を階段を使って自然に2階に送るという設計で、暖かいのは1階のラジエーターの回りだけ、2階は部屋の扉を開けないと暖まらないというシロモノでした。そのうえ冷房はなく、結局このボイラーを廃止して各部屋にエアコンを入れる羽目になりました。その後筆者はアメリカに留学し、本当の「セントラルヒーティング」[^1]がどんなものかを知りました。それはボイラーが作った温水または温風を各部屋や廊下やトイレにパイプで送り、それぞれの部屋や廊下やトイレを直接暖めるというもので、温水の場合は部屋の数だけラジエーターがあり、温風の場合は部屋の数だけ送風口があるという設計です。つまり親の家は設計が完全に間違っていました。また最近は温水ではなく空気を使って冷房と暖房の両方ができるヒートポンプを冷熱源にする傾向があり、家の断熱を良くする事で家の中をどこでも一定の温度としています。つまり物を知らずに家を設計してはいけないし、家の設計は大工ではなく建築士がやるべきという事です。1970年ごろの東京の建て売り住宅には、そんなひどい設計の家もありました。
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