2024年10月24日木曜日

政治体制と経済

今年のノーベル経済学賞は「政治体制と経済」の研究をした3氏に決まりました。権威主義国家は冨が一部に集中し、イノベーションが起きないため貧困化するとか、民主主義国家はイノベーションのおかげで富裕化し、冨が広く行き渡るという理屈です。もちろんこれは単純化した構図であって、実際には例外がいくつもあります。中国は権威主義国家なのに、経済発展しました。これは米国が貿易を通じて中国を経済発展させ、その結果民主主義が強まると期待したためです。その米国は民主主義の利点を生かして富裕化したものの、冨は偏在しています。日本は民主主義国家ですが、あまりイノベーションはなく、失われた20年というぐらいの長期経済停滞を経験しています。人口減少やエネルギー問題、経済の自由度などは日本の弱点であり、富裕化どころか貧困化の道をたどっています。国民がその貧困を感じないのは国債のおかげであり、ツケを次世代に回す政治の結果です。経済学は現状を説明するものの、未来は予想してくれません。財源のないバラマキを続ける日本は、すでにババ抜きの経済になっています。最後のババを引かなければ、勝ち抜けられるという経済です。経常収支が黒字の間はババ抜きが続きます。これがいつ赤字に転落するかは誰にも予想できません。ノーベル賞を取った経済学者でも、この予想は無理です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。