2024年2月9日金曜日

職業倫理の劣化

この報道[^1]にあるように、日本の製造業を「低品質・低価格」から「高品質・中価格」に変えたのはデミング賞とPDCAです。PDCA自身は科学的管理手法として優れており、現状を測定して「改善策」という名の仮定を立て、実験(試行)の結果を再度測定して仮定と比較し、その改善策を受け入れるかどうかを決めます。つまり測定と仮定と実験という科学の3大要素を含んでいます。ところがAに相当するActionが貧弱な会社が多く、これは受注体質の欠点とされています。「言われた事だけやる」という無責任体質です。管理職が思考停止状態となり「不都合な真実を無視する」ようになると、その会社はもちません。ところが社長自身がそうした管理職上がりだと、自浄作用も期待できません。一連の不正事件には職業倫理の欠如という共通する原因があり、日本の製造業が曲がり角に来ています。またPDCAは定常的なプロセスを改善する手法であり、それ以外に役立つものではありません。管理職の職業倫理が欠如している会社では、まず社長を取り換えましょう。倫理はPDCA以前の問題であり、宗教や道徳が支配する分野です。「嘘をついてはいけない」という人の道です。それが揺らいでいるという事は、日本の宗教や道徳が劣化しているという事です。警官が物を盗むとか、教師が生徒を欺くとか、政治家が嘘をつくなど、許容してはいけない問題がとみに増えています。そうした不祥事を減らす方法の一つは内部通報であり、組織として当然備えていなければいけない制度です。もうひとつの方法はマスコミによる調査報道であり、国には社会正義を追求するマスコミが必要です。そのマスコミ自身に職業倫理がなければ、その国はおしまいです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD0714H0X00C24A2000000/

2024年02月14日追記
警視庁公安部とて例外ではないという事でしょうか。ああ恐ろしや。

2024年02月20日追記
倫理問題で会社内労組は役に立ちません。必要なのは内部通報制度です。

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