2023年11月17日金曜日

ゾンビ企業

経済の素人である筆者から見ても、この記事[^1]にある「日本にゾンビ企業は一社もない」という主張には疑問符が付きます。そこでまず「ゾンビ企業」を定義しましょう。日本には税金を逃れるために意図的に赤字決算にしている会社も多く、ただ赤字というだけではゾンビ企業ではありません。では何がゾンビ企業かと言うと「借金の利払いを利益で賄えていない」企業です。こうした企業はコロナ禍において補助金や無担保融資で倒産を免れました。そこでコロナが終わった時点で、補助金や無担保融資から卒業できない企業が「ゾンビ企業」です。利益が得られる見込みがあれば、そうした企業は存続できます。ところがコロナ前から利益がない企業は、もはや退場してもらわねばなりません。政府はその企業が抱えていた資産や人材が解放され、ゾンビ企業でない企業に活用されるべく資本誘導を進めています。ゾンビ企業が雇用を守ると言っても、それは局所最適に過ぎません。全体最適にならないので、ゾンビ企業を税金で維持する事は間違いです。また、「日本は約400万社という中小企業に経済の基盤が支えられているから、今までの経済的クラッシュに耐えられている」という主張にも疑問があります。「今までの経済的クラッシュ」を悪化させたのは「もうからない仕事を続ける中小企業」です。それに日本は赤字国債を国民ひとり当たり一千万円も使って経済を支えています。この借金を返す当てはなく、ただ「経済的クラッシュ」を先延ばしにしているだけに過ぎません。中小企業の中にはちゃんと利益を出して成長している企業もあります。なので「日本にゾンビ企業は一社もない」という主張には筆者は同意しません。

^1: https://www.jiji.com/jc/v8?id=2023October-egami01

同日追記
同じ記事に「地方の観光事業を営む企業」が紹介されています。この企業は売上高の数字しかなく、コロナ前にどのくらいの利益を上げていたのか記載がありません。でも資産売却で生き延びたそうなので、それなりに利益を上げていたと仮定します。この企業が税金の免除を受けられなかったのは、まさにそれだけの資産を持っていたからです。もしこの資産がなければ、必要な税金の免除を受けられたか、あるいは倒産して民事再生法で資本家が入れ替わったでしょう。利益を上げている企業が資金繰りに困ったら、身売りするのがベストです。オーナーが変わっても、企業としては存続できます。もちろん利益のある企業はゾンビ企業ではありません。また「2200人の従業員を雇用」という規模から大企業に属します。

2024年01月19日追記
帝国データバンクによれは、日本のゾンビ企業の割合は2022年度に17%を超えました。

2024年04月08日追記
「平時の新陳代謝活発」ゾンビ企業には退場してもらわねばなりません。

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