2024年3月21日木曜日

社会保障ギャップ

日本の一般歳出に占める社会保障費の割合[^1]は年々上がっており、令和5年度は51%と過半数になりました。一般歳出とは歳出から国債費と地方交付税交付金等を除いたもので、いわば国の可処分所得です。その過半数が社会保障費というのは異常です。公共事業費は6%ぐらいなので、皆さんが思うほど大きくありません。この記事[^2]には世論調査の結果として、56%の人が社会保障サービスを十分受けていないと回答しています。社会保障は健康保険や年金、介護保険や生活保護を含みます。健康保険は保険料収入だけでは不十分なため、税金で赤字を補填しています。現役の労働者が受け取る社会保障サービスはまず健康保険です。日本の医療費は世界的にみてとても安く、かつ質も高いので外国人は日本で医療を受けたがります。上記の56%の人は健康なので医者にも行かず、保険料を払うばかりなのでしょう。でも家族がいれば恐らくそのうちの誰かは医者にかかっているでしょう。また子供の定期予防接種は自治体が払うので、タダで受けられます。税金を取られる時は細かい数字が分かるので、税金の使い道についても個人レベルで数字が分かると良いでしょう。例えば医療費は自分が払った額のみ通知され、税金や保険料からいくら出たのかは分かりません。なお消費税と所得税を合わせると、社会保障費と公共事業費を足したぐらいになります。残りの43%は法人税とたばこ税や酒税などでまかない、一般歳出外の国債費と地方交付税交付金等は赤字国債(借金)で払っている勘定になります。日本はすでに借金で借金を返す状況にあり、社会保障費の削減は必須です。払った税金と受けた行政サービスの間に認識ギャップがある限り、財政赤字の原因が「政治の無駄使い」や「公務員の人件費」という誤解は続きます。政府は歳出の説明が不十分すぎます。歯止めのない社会保障費こそが財政赤字の最大の原因です。

^2: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD128QS0S4A310C2000000/

同日追記
このコラムは、高齢者医療費や介護費が高齢者の家族をも助けるものだと指摘しています。
社会保障の削減に妙案はありません。どうにかして健康寿命を延ばすぐらいです。

2024年03月28日追記
医療費の38%が税金から出ています。保険料は50%、残りは患者負担です。

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