2024年3月19日火曜日

名目GDP1000兆円

岸田首相がぶち上げた「21世紀前半の名目国内総生産(GDP)1000兆円」[^1]の実現には何が必要でしょう。2024年の日本の名目国内総生産は600兆円と予想され、これが25年後の2049年に1000兆円になるには毎年平均で2%の増加が必要です。名目GDPは物価の影響を受けるので、これから日銀が希望するように毎年2%のインフレが定着すれば達成可能です。ただしその間に日本の労働人口は6200万人から4700万人に減る[^2]と予想され、これは毎年平均で1%余りの減少に相当します。つまり1人当たりの生産性でみると毎年1%余りの上昇がないと労働人口減少を補えません。またインフレを上回る賃上げがないと2%のインフレは続かないので、最低でも毎年3%あまりの生産性向上が必要という計算になります。実際には社会保障費の自然増による可処分所得の減少や温暖化による災害増加もあるので、少なくとも毎年4%が必要です。これだけの生産性向上には合理化と新たな市場の開拓が必須で、同時に規制緩和も求められます。なおこの計算には南海トラフ地震のような大災害は含まれず、為替レートの変動もないと仮定しています。物価と賃金がほぼ同じペースで上がっていくという予想なので、国民の暮らし向きは不変です。名目国内総生産が上がっても、国民の可処分所得が増えるとは限りません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA181SO0Y4A310C2000000/

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