2024年8月13日火曜日

棄民思想

日本語の棄民思想という四字熟語の意味は、政府が自国民を無視するという考え方です。主に海外に送り出した日本人移民がその例とされます。この記事[^1]は能登半島地震の復興について、「過疎地の復興はムダ」であり「移住を考えよ」という財政制度等審議会の提言を棄民思想だと非難しています。ところが代案はありません。非難するなら代案を示さないと説得力がありません。人口減少の日本で過疎地は毎年増えており、国債残高が毎年過去最高となる借金財政の中で、税金の使い道は限られています。2011年の東日本大震災から日本が学んだのは、一度過疎地から若い人が避難すると、税金をかけて人が住めるようにしても、若い人は戻っては来ないという事実です。つまり「過疎地の復興はムダ」だという事です。これは事実ですから、否定はできません。つまり人口が減る日本では「賢く縮む」以外に国土を守る方法がありません。税金の使い道として、過疎地の復興費を移住費に使えという提言だと筆者は捉えています。つまり棄民ではありません。専門家なら棄民思想というレッテルを貼って思考停止するのではなく、ちゃんと代案を出しましょう。

^1: https://gendai.media/articles/-/135433

同日追記
代案のひとつとして、ウクライナに援助するお金を能登に回せという考えがあります。それは確かに代案になります。ただし、ウクライナへの援助費と能登の過疎地への復興費はどちらかひとつというものではありません。ウクライナへの援助はアメリカの同盟国としての出費であり、世界平和を目的としています。日本に最も近い外国はロシアであり、そのロシアが隣国に軍事侵攻した事を日本は容認しないという態度表明です。それには見返りがあり、日本の平和維持に役立ちます。ところが能登の過疎地への復興には、そうした見返りがありません。地震のような天災は保険でカバーすべきであり、税金を使うなら見返りが必要です。その見返りが提示できないから、移住すべきとなります。

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