2025年3月8日土曜日

知能の定義

この本[^1]の主張のひとつは「知能とは現実世界のシミュレーション」です。この点は筆者も同意します。学習と経験から人は脳の中に現実世界のモデルを持ち、そのモデルに基づいて行動します。脳の中に現実世界のモデルがあれば、それを使って未来を想像できます。モデルの中に自己矛盾がないかどうかも自分で判断できます。その点からみると、現時点での生成AIは現実世界のモデルを持っているとは言えず、自己矛盾する出力を生成する欠点があります。つまりハルシネーションです。そこでこうしたAIには知能はないと断言できます。人間の生成物を学習して、人間のフリをするのが上手なだけの機械です。もちろん、それでも役に立つ分野はあるので、限界を知って使う分には問題ありません。

2025年3月7日金曜日

壊れた米国

このような報道[^1]を目にすると、米国は壊れつつあると判断します。そもそも機密情報のクリアランスを持たない人間やAIに、FBIの職員が自分の仕事上の行為を報告するのは違法です。そうした行為を求めるのも違法です。トランプとマスクはどこまで法律から逸脱できるかを試しており、筆者は米国国民がどれだけこの手の違法行為を許すのかに注目しています。その一方で米国物価は上がり続けており、国民の不満がトランプの支持率低下に表れています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN243NR0U5A220C2000000/

2025年3月6日木曜日

消費年齢層

この記事[^1]は若者が知らないブランドの例としてパナソニックを取り上げ、日本企業が若者に売り込まないと先がないと警鐘を鳴らしています。パナソニックは利益優先のためBtoBの会社に変身したので、若者が買う商品は自転車ぐらいしかありません。化粧品や家電において韓国と中国のブランドが若者に浸透しています。国内では若者が少数派のため、ターゲットになりにくいのは確かです。でも海外の市場では若者は多数派です。自動車産業は以前からすべての世代をターゲットにしており、国内だけを見ていると衰退します。企業としてブランド毎にどの年齢層をターゲットにするかは大切な決断です。それにより広告の出し方や価格帯も変わります。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC22AX00S5A120C2000000/

2025年3月5日水曜日

財布はひとつ再び

こういう記事[^1]を見ると情けない気分になります。筆者は高校無償化ではなく高校の義務教育化を推進します。でもいずれにせよ教育費は税金から払うことになります。国の財布はひとつしかなく、国が払うというのは国民が税金で払うというのと同じです。電気やガスの補助金も同様です。ただし国債を増やして借金すれば、今の国民がお金を使って、その借金返済を次世代の国民に回すことができます。でも少子化の日本でこれは自殺行為です。利息が付いたより多くのお金をより少ない人数で返さねばなりません。つまり将来の増税は必至です。それなのに、自分さえ良ければという人が後を絶ちません。

^1: https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202503040000175.html

2025年3月1日土曜日

日本はクレイジー

これ[^1]は日本に特有の文化です。「常識」に反する事をやると、その本人ではなく所属する会社にクレームを入れるという文化です。そこには「本人とは争いたくない」けど「会社なら文句を言っても安全」という考えがあります。でもその逆の「人は人、会社は会社」という考え方の方が世界では主流です。日本はメンバーシップ型雇用なので、「人と会社」はひとつのものとして扱います。会社は従業員の私生活まで支配しているわけではないのに、その区別がありません。こうした「余裕のない世間」が少子化の原因だと考えるのは筆者だけでしょうか。子供は「人さまに迷惑をかける」存在なので、「人さまに迷惑をかける」ことを避けたら、少子化が進みます。筆者は「お互い様」という考え方の方が健全だと思います。

^1: https://trilltrill.jp/articles/3959141

2025年2月28日金曜日

交渉続行

これ[^1]は予想された行動のひとつです。ロシアがウクライナを負かしたら、トランプはウクライナの資源権益を失います。資源権益というエサに飛びついたトランプは、ゼレンスキーが仕掛けた罠にはまったという事です。この取引が失敗すれば、トランプは米国に有利なディールを失ったダメなやつとなります。ゼレンスキーはロシアが停戦合意を破って再度ウクライナに攻め込むと信じており、それを防ぐ手段がないどんなディールにも合意しません。エサに食いついたトランプがどう出るのか、面白くなってきました。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28DHU0Y5A220C2000000/

2025年2月27日木曜日

生物知能

人間のような超知能を作るには、痛みを感じる必要がある[^1]という主張は昔からあります。生物知能には自己保存本能があり、そこには痛みを回避する能力があります。身体的な痛みだけでなく、心理的な痛みも倫理を学ぶ上で必要でしょう。ところが、そうした方法で作られた超知能はそれ自身の価値観を持つため、必ずしも人間の言う事を聞くとは限りません。つまり道具としての超知能を得るには、倫理は邪魔になります。このため倫理を学んだAIはまだありません。何が善で何が悪かは人により違い、宗教にも関係します。知能が現実世界のモデル化だとすれば、そのモデルに物理世界だけでなく精神世界も含めるのは当然で、AIでメタデータとしての倫理をどう扱うかは暗中模索です。ただし、倫理のないAIは人間に害を及ぼすので、生物知能を模倣するのが良いのか、それとも「ロボット3原則」のような組み込みルールを使うのが良いのかは誰も知りません。

^1: https://ja.futuroprossimo.it/2025/02/il-dramma-dell-ia-e-dolore-per-essere-superintelligente-deve-soffrire/

同日追記
倫理のないAIにとって、善悪の区別はありません。指示された事をやる方法を何でも試します。

2025年2月26日水曜日

長い夏

この記事[^1]によれば、令和の夏は昭和・平成の夏に較べて倍の長さになっています。だからといって、学校の夏休みが倍になる事はありません。今は学校にも冷房があるので、むしろ夏休みを短くしても良いのではと思います。本来夏休みは学年の区切りであるはずですが、日本では学期の区切りになっています。このため1学期で習った事を忘れて2学期に入る生徒は先生の頭痛の種です。秋入学にもどせないなら、やはり夏休みを減らすのが合理的です。夏の気候が良いアメリカや欧州の真似をするのは間違っています。

^1: https://toyokeizai.net/articles/-/294472

2025年2月25日火曜日

官僚の給料

この記事[^1]は「官僚の小市民化」が日本経済低迷の大きな原因のひとつと指摘しています。もしそうだとすれば、もう日本経済に付ける薬はないという事です。でも本当にそうでしょうか。もし官僚になる人のレベルを落としたら、その国の経済はどうなるでしょう。官僚は腐敗し、賄賂を要求します。民間の方が給料が高いなら、優秀な人間は官僚になりません。大手企業の正社員に近い給料を官僚に払うのは理由があります。国民の望みは実質賃金のプラス化であり、国民全員の給料を低い方に合わせる事ではありません。ただし役所にも合理化は必要で、人口減に応じた公務員減は当然です。ムダな仕事は無くした上で、DXによる効率化で減税しましょう。

^1: https://president.jp/articles/-/91875

2025年2月24日月曜日

戸籍と年金

アメリカの社会保障データに、生存しているとは思えない120歳以上の人が登録されているという報道において、日本は戸籍があるから大丈夫という意見[^1]が載っています。でもその戸籍にも生存しているとは思えない120歳以上の人はたくさん登録[^2]されています。日本で戸籍と年金が関係してると思うのは自然です。でも実際には住民基本台帳が年金に関係しています。戸籍が更新されないのは不都合がないからで、日本に住所があれば年金受給者が存命かどうかは手紙や電話で調べる事ができます。アメリカの社会保障データは、そこに登録されていても年金が払われるとは限らず、古いデータが残っているのは更新する人がいないからです。そのうえ115歳になると米国年金の支給は自動的に停止します。日本でも住民基本台帳に名前があるという理由だけで、年金が払われる事はありません。マイナンバーはこうした不正受給を発見するために存在します。日本に住む外国人も条件を満たせば年金をもらえます。でも外国人は日本の戸籍は持ちません。戸籍と住民基本台帳の区別は大切で、これを知らない国民は意外と多いのです。

^1: https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/334686

2025年2月23日日曜日

人気投票

選挙とはしょせん人気投票[^1]です。減税とバラマキのオンパレードで、財源はいつも誤魔化されています。それに「暮らしが苦しい」というのも相対的な尺度であり、昭和の頃の「苦しい」と令和の「苦しい」は全然ちがいます。子供の医療費が無料とか、高校の授業料が無償とか、昭和の人間からみたら「あり得ません」。ではその財源はどうなったのでしょう。それは積み上がった国債です。国民1人当たり1千万円の借金です。家の暖房や冷房のお金がなくて図書館で昼間を過ごすのが、昭和の貧乏人の定番でした。令和のいま、そんな人はいません。生活保護があって、家の暖房や冷房費用はもらえます。この国債を税金で返すのは若い人たちです。まだ選挙権もない学生や児童です。そうした若い人たちが大人に文句を言わないと、国債はさらに増えるでしょう。大人は問題を先送りし、そのぶん円安が進みます。

^1: https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1747266?display=1

2025年2月22日土曜日

期待の星

日本にも期待の星となる企業がいます。この記事[^1]にある「Mujin」です。日本が得意な工業用ロボットを組み合わせて制御するソフトを開発・販売する会社です。アマゾンのような会社は配送ロボットを自社開発・生産して社内で使っています。するとこのロボット技術がアマゾンに独占され、他の企業は使えません。ところが「Mujin」のビジネスモデルなら、必要とする会社がお金を出して「ロボット・オーケストラの指揮者」のようなサービスを購入できます。これは日本でやる価値のある商売です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC183KZ0Y4A211C2000000/

2025年2月21日金曜日

医療費削減

この提言[^1]は良いポイントを突いています。自己負担を一律3割にして、高額医療費制度の上限額は変えず、湿布薬やヒアルロン酸のような準OTC薬を処方薬リストから外し、風邪に対する抗菌薬のような無価値の医療は保険でカバーしないというものです。自己負担割合を上げるのは、軽症で医者に行く人を減らすのが目的です。毎月薬をもらう目的で医者に行く人も、3ヵ月処方箋やリフィル処方箋を使えば、3ヵ月に1度の医者通いで済みます。これを知らない高齢者は多いので、テレビなどで衆知徹底するとともに、自己負担を一律3割に上げるのは英断でしょう。

^1: https://shueisha.online/articles/-/253142

2025年03月07日追記
この記事も大事な点を見落としています。「自己負担を一律3割」を実現しましょう。

2025年2月19日水曜日

米国憲法危機

米国の憲法が危機にさらされています。この記事[^1]は、トランプ大統領とイーロン・マスクの行いが民主主義の危機だと指摘しているものの、実情は三権分立への挑戦であり、国民に選ばれた大統領が選挙中の公約を実現しているだけです。危機にさらされているのは三権分立を決めた米国憲法であり、民主主義と三権分立は区別する必要があります。一応ロシアや中国も民主主義ですが、三権分立ではなくトップに権力が集中しています。米国の憲法では予算措置を法律で決めるのが議会で、その法律を実行するのが大統領です。その大統領が法律をどこまで逸脱できるかという実験が進行中です。米国の歴史において、大統領が憲法を無視したのはリンカーンが南北戦争を始めた時のみで、今やトランプ大統領は多くの法廷闘争に直面しています。最高裁まで行けば勝てると判断しているのか、あるいは国軍を統率する大統領が法律と判事に勝ると考えているのか、どちらにせよ興味深い状況です。

^1: https://president.jp/articles/-/91981

2025年2月18日火曜日

民主主義下の革命

米国でトランプ大統領が再選されたのは、民主主義下の革命だと筆者は判断しています。米国のジニ係数は0.5に迫っており、歴史的には革命が起きるレベルです。革命とは上下がひっくり返るという意味で、反エリート主義とか既得権益への攻撃に他なりません。反移民も自国民でない移民になぜ税金を使うのかという人道主義への反発であり、米国以外でも毎日の暮らしに余裕のない国民が増えた国で起きています。少子化の日本も例外ではなく、既得権益への攻撃が増える傾向があります。日本でもっと所得再配分[^1]を実現するには富裕層への課税強化が必要で、この点は野党の攻撃材料となりそうです。特に所得が一億円を超えると実質減税になる今の仕組みは見直しが必要です。空き家の固定資産税も今の倍には上げられるでしょう。日本で民主主義下の革命が起きるかどうかは、政府がこうした所得再配分に踏み込めるかどうかで決まります。

^1: https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/UGW5LHOASFITDAJGWZ3UZ6IKQQ-2025-02-12/

2025年2月17日月曜日

氷河期世代

1993年から2004年の間に社会に出た人を氷河期世代と呼びます。この頃はバブル経済が崩壊した後で、就職難の時代でした。当時は「正社員」になれなかった人が多いので、持ち家を持っている割合が低い[^1]そうです。非正規で収入が少なければ結婚もせず、家を買う理由もなかったという事です。ただし、全員がそのまま家のない老後を迎えるかと言うと、そうではありません。親の家を遺産相続で手に入れる人が半分ぐらいいるので、働く必要がなくなれば都会で賃貸に住む理由がなくなり、親の家に住む人が増加します。また日本は空き家が多いので、自治体がそうした空き家を低価格の賃貸住宅として利用できます。水道使用量がゼロの家は水道局が把握しており、空き家は住民票のデータから分かります。空き家の固定資産税を倍にして、リタイアした氷河期世代に借りてもらうのが良いでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD303J80Q4A231C2000000/

2025年02月20日追記
氷河期世代も積極的な転職で年収を上げているという報道です。

2025年2月16日日曜日

薬も備蓄

インフルエンザ用の抗ウイルス薬がコメのように流通問題[^1]を抱えています。薬が不足すれば流通段階で買い占めが発生し、余った薬は返品されます。返品された薬が廃棄される事もあり、薬にも国の備蓄から柔軟に放出する制度が欠かせません。コメのように不足分は後で買い戻す事を前提に、抗ウイルス薬の国家備蓄の利用方法も改善したらどうでしょう。ローリングストック方式で備蓄は可能です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA3014T0Q5A130C2000000/

2025年2月15日土曜日

恵方巻廃止

この記事[^1]にもあるように、少なくとも関東では恵方巻が食品ロスの元になっており、やめるべき時に来ています。予約制にして、それ以外の店頭販売を廃止しませんか。一方でコメが足りないといっておきながら、他方で貴重なコメから作った恵方巻を大量に廃棄するのは矛盾しています。豚のエサになるから良いという話ではありません。焼却処分となるものもあり、こうした食品ロスは高い食品価格をさらに高くしています。

^1: https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e03e91f6360561554c1f73533268a693fdda461b

2025年2月14日金曜日

食品価格

山崎パンのあんパン五個入りが値段据え置きで四個入りになると、いくらの値上げになるか計算できますか。5個で100円とすれば、1個は20円です。それが四個入りなら1個は25円なので、25%の値上げです。つまりコロナ前と較べて食品価格は平均で25%上がっています。5年で25%の上昇は年間4.5%に相当します。日本はとっくにインフレ経済になっており、今後も同様なインフレが続くと国民は予想しています。国民の期待インフレ率が2%を上回るので、日銀も短期金利を1%以上に上げる必要があり、今の0.5%では円安に対処できません。かくして食品のインフレは続き、実質賃金はマイナスのまま推移します。日銀にできる事はありません。

2025年2月13日木曜日

企業物価指数

企業物価指数[^1]が上昇を続けています。1月は4.2%アップとなり、半年後の消費者物価に大きな影響を与えます。ドルベースの原油価格はこの1年でほぼ横ばいなので、むしろ円安が日本のインフレを加速しています。ただし実質賃金がプラスになるかどうかは微妙な状況で、日銀が見込んでいた今年後半のプラス化は怪しくなっています。給与所得の伸びもインフレを上回る層と下回る層に分かれているという事です。インフレにより見かけ上の税収が増えるので、減税を望む声が増えると予想します。でも円安を退治したければ、むしろ増税して国債残高を減らすべきです。海外発のインフレで、少子化日本が生き延びる道はいっそう狭くなっています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB130A80T10C25A2000000/

2025年2月12日水曜日

ボーナス株

日本でもようやくボーナスとして株を従業員に譲渡できるようになる[^1]そうです。無償交付といっても、税法上は給与と同じ分類になり、その分の所得税は従業員側が払う必要があります。アメリカの場合、ボーナスとしてもらった株の一部を会社が換金して、所得税として天引きします。だから100株もらっても、手取り分は70株程度に減ります。それでもボーナスを株で払うことのメリットは大きく、会社の成長にプラスの効果があります。長期的に優秀な人を雇うのに、ボーナス株が使えるかどうかの差は大きいというのが筆者の意見です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA051FM0V00C25A2000000/

2025年2月11日火曜日

緊急点検

政府は東京都など人口の多い都道府県に下水管の緊急点検[^1]を求めています。でも八潮市の大口径下水道管は2021年に点検されており、5年に一度の点検では問題を発見できていません。なので今回の緊急点検で本当に問題が発見できるか疑問です。人が中を歩いて点検するのは有毒ガスの危険があり、ドローンによる点検が中心になります。それも目視検査なので、下水管の壁内部がどうなっているかは分かりません。レーダーやAIを使ったハイテク検査を活用すべきでしょう。点検が不十分というのが今回の事故の原因です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE032SL0T00C25A2000000/

2025年2月10日月曜日

なぜ分からない?

この記事[^1]は不可解です。日本の対米投資を3割増やして1兆ドルにするのは、トランプ対策として一石二鳥です。その投資にはアラスカの天然ガスパイプラインも含まれ、日本がロシアに投資して手に入れたサハリン2のような権益を得られるでしょう。NISAで米国株や世界株に投資した人は既に知っているように、人口減の日本に投資しても大きな利益は期待できません。そもそも国は国債という形ですでに国民1人当たり一千万投資しています。その結果何が起きたかというと、その投資は焦げ付いています。メモリー半導体が産業のコメと言われた時期に、日本は「エルピーダメモリ」に投資しました。その結果は大赤字の身売りです。でも日本はまた半導体生産会社「ラピダス」に投資しており、何もやってない訳ではありません。ただ日本に有望な投資先が少ないだけです。ここが分からない人がいるのは誠に残念です。日本の何に投資すれば対米投資以上の利益が得られるのか、知っているなら教えて欲しいものです。

^1: https://yorozoonews.jp/article/15619655

2025年2月9日日曜日

遅すぎ

政府がようやく備蓄米を放出する[^1]そうです。緊急事態に対処するための備蓄米放出に、これだけ時間がかかるとは情けない限りです。そもそもコメの流通を自由化しておきながら、生産を自由化せず補助金による減反を続けているのが矛盾しています。流通段階に17万トンもの行方不明のコメがあるそうで、どこかで買い占めが行われた事を示唆しています。政府には農協経由のコメしか流通データがありません。それなのに秋口には「新米が出ればコメ不足は解消される」と言っていたわけで、どれだけ脳天気なんだと思います。価格を高く維持するのが目的なら、減反はもう不要です。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA071DW0X00C25A2000000/

同日追記
輸入米が人気です。筆者はアメリカのコシヒカリが安くてうまい事を知っています。

2025年2月8日土曜日

インフラ保守

この記事[^1]の主張は「インフラは壊れる前に直せば安く済む」と「過疎地を見捨てるな」だと思います。虫歯を放っておくとインプラントで高いけど、検診で早く見つければ詰め物で済むから安い、というのと同じです。それはその通りでしょう。ただ、「過疎地を見捨てるな」には要注意です。インフラの修理に建設国債を使えば、その国債の償還に税金か利用料値上げが必要で、人口が減る日本でインフラの優先度付けは避けられません。つまり過疎地が人口密集地より後回しになるのは当然です。次に「棄民思想」[^2]を主張する同氏の指摘は、的外れだと思います。過疎化した被災地の住民に移住の費用を出すのが国の方針で、これは「棄民思想」ではありません。お金は出さないから勝手にやれ、というのが「棄民思想」です。東日本大震災では過疎地に税金で多くの住宅を建てました。ところが若者は避難先に定住したので、過疎地に戻ってきたのは高齢者だけであり、こうした住宅も多くは空き家[^3]となっています。税金で空き家を増やすのは愚かな政策です。同氏の主張には「誰がそのお金を払うのか」という視点が欠けており、感情的な空論となっています。

^1: https://gendai.media/articles/-/146402

2025年02月15日追記
上水道も2割の管が法定耐用年数を超えています。問題先送りとの指摘です。

2025年2月7日金曜日

年功賃金

日本企業で「年功賃金が復活?」という記事[^1]には心配しています。年功賃金は「追いつき追い越せ」の昭和の時代には最適でした。何を作るかという目標がはっきりしていたので、あとは品質向上とコストダウンをやれば競合に勝てました。令和の今はそう簡単にはいきません。EVを作るのか、ロボットを作るのか、いや生成AIだろうというように、目標はころころ変わります。つまり流行を追っていては消耗します。0から1を作る人を雇うには年功賃金は最悪なので、日本のこの先が心配です。年功賃金の利点は評価が簡単でコストがかからないというものです。成果を決めるには時間がかかり、その評価にも時間がかかります。このコストを嫌う企業が年功賃金に戻るのは当然です。でも品質向上とコストダウンの勝負にもどるという事は、低賃金の労働者が多くなるという事です。正規労働者を非正規に置き換えたり、AIに置き換えるという方向に進みます。年功賃金は年齢差別なので、法律から変えないと是正できません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD262TZ0W5A120C2000000/

2025年02月15日追記
成果主義の本質は、流出すると困る高能力人材を高給で引き止める事と、会社が求めるレベルにない低能力人材の首を切る事です。日本の年齢主義とは真逆のシステムなので、法律を変えずに日本に導入することは不可能です。新しい分野に進出してもダメならすぐ撤退できる成果主義と、何事にも勝算がないと動けない年齢主義との違いです。法律が年齢主義である以上、日本で成果主義が成功する可能性はありません。

2025年2月6日木曜日

教育と産業

この記事[^1]は筆者にも納得できるものです。世の中にはゼロから1を作る人、1から10を作る人、そして10から100を作る人がいます。筆者は10から100の人で、昭和の教育を受けた典型的な人間です。受験を中心に「学ぶ=暗記」と思っていた世代です。教科書をひたすら暗記すればテストで点が取れたので、社会もそんなものかと思っていました。ところが日本の「追いつけ追い越せ」はアメリカという目標があったからで、ビジネスのタネをアメリカから持ってきて、それをより安く量産して輸出すれば勝てる時代でした。そんな昭和モデルは中国や韓国の得意技となり、日本はゼロから1をつくる人と1から10を作る人を必要としています。すると「学ぶ=暗記」という教育では必要な人を生み出せず、日本の競争力低下の原因になっています。大学入試を頂点とする日本の教育システムには、そうした「ゼロから1を作る人」を評価する場所がありません。ペーパーテストの得点だけで決めるので、公平と言えば公平でも、記憶力の高い人に偏っています。高校までにどれだけ創造的な活動をしてきたかは考慮されず、「1から10を作る人」にもチャンスはありません。過去30年間で日本から失われたのは「好奇心」や「挑戦する意欲」であり、大学入試から変えるべきでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD011LS0R00C25A2000000/

同日追記
日本で十分居心地が良いので、若者は内向きです。好奇心もありません。

2025年2月5日水曜日

できない仕組み

三菱UFJ銀行[^1]は性善説を捨てて「犯罪ができない仕組み」を作らねば信頼を回復できません。日本の性善説は美しいけど犯罪の誘因となっています。裁判官のインサイダー取引とか銀行員のFX取引などは内規で禁止していても、やる人はやります。海外の取引サービスを使えば、本人以外にバレることもありません。性善説を捨てれば出来る事はいくつもあります。複数人による相互チェック、ITを使ったアラーム、防犯カメラによる記録など「やれば確実にバレる仕組み」に投資しましょう。従業員の自己申告に頼っていてはダメです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE2941P0Z20C25A1000000/

2025年02月09日追記
みずほ銀行窓口に学生アルバイト採用との事で、不正防止ができるのか心配です。

2025年02月18日追記
銀行が内部犯罪を公表しないと、他行の犯罪防止ができません。またみずほ銀行です。

2025年03月09日追記
たとえ処遇が良くても「魔が差す」という事はあります。性善説を捨てましょう。

2025年2月4日火曜日

車社会

東京も千葉の太平洋側に電車で一時間も行けば相当な田舎になります。外房線が海と山の境目を走り、そこに住む人々の足は主に車です。そもそも日本の田舎[^1]は車がないと生きていけません。たとえバスがあっても一時間に一本も走らないし、まともな鉄道もない場所がほとんどです。人口が減る国の足が車になるのは当然です。では車を持たない人はどうすれば良いかと言うと、高齢者は自宅を売って老人ホームに住むか、自動運転車が実用化されるのを待つ、あるいは子供のいる都会に移住するという選択肢があります。田舎に住むにはそれなりのコストがかかり、それを負担できない人は移住するのが妥当です。自治体がそうした移住を税金で促進するのは理にかなっています。

^1: https://merkmal-biz.jp/post/85388

2025年2月3日月曜日

IT投資の罠

CTOに十分な権力がない会社のIT投資[^1]はほぼ失敗します。筆者にも経験があり、IT投資で全社最適を目指しても、既存の仕事のやり方を変えたくない部長が束になって抵抗するので、部分最適にとどまります。さらに外部のSIerを使っていると、売り上げ金額を増やすために不要なカスタマイズが多くなり、バージョンアップが不可能になります。その結果古いやり方を変えられず、IT投資が逆に業務効率化の足かせになります。現在のやり方に最適化している部署ほどこうした変更に抵抗するので、社長が中心となって全社最適を実施するため、優秀なCTOに十分な権限を与えなければいけません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG304QK0Q4A930C2000000/

2025年2月2日日曜日

料金値上げ

下水道の老朽化は深刻なインフラ危機[^1]です。この危機を乗り越えるには料金値上げしかありません。道路が陥没して困るのは市民です。上下水道の利用料金には保守費用を含めるべきで、ちょうどマンションが修繕積立金を徴収するのと同じです。高度成長期に作られた下水道や橋などのインフラが更新時期を迎えています。筆者も子供のころ空き地に下水用の大きなコンクリ土管が積んであるの見た記憶があります。いわば「ドラえもん」に出てくるような風景です。コンクリ土管の耐用年数が50年だとすれば、日本中で危険な道路があちこちに増えているはずです。

^1: https://www.sankei.com/article/20250202-I7QTSMADSJP3VNHMGLIC6T6PHM/

2025年02月09日追記
下水道のバイパスを作り、管内の水を抜くしかありません。半年はかかります。

2025年2月1日土曜日

まず食料備蓄

政府は「農家の人手不足」をどう考えているのでしょう。戦争や天候不順で2割収穫が落ち込む[^1]として、それを政府が命令すれば農家がすぐ2割増産できるというのでしょうか。そうした非常事態に対処するには、まず政府が食料備蓄をするべきです。農家は高齢化により人手不足となっています。増産計画を作れと言われても人手不足で増産できません、となります。これこそ「絵に描いた餅」です。

2025年1月31日金曜日

成果主義

この頃[^1]の日本企業を米国から見ていた筆者は、日本と米国の「成果主義」の違いに気付いていました。日本ではチームワークが成果に含まれないし、後輩の教育も成果に含まれません。もともと成果主義が普通だった米国では当たり前の事が、日本ではスッポリ抜け落ちていました。ジョブ型雇用が中心の米国では、成果主義以外に従業員の給料を決める要素はありません。ただし、その成果の定義には十分な時間をかけます。社長の方針が自分の階層にまで下がる頃には、特定のプロジェクトをいつまでにどの位の品質で完成させる、というような目標が決まります。同時にチームワークを促進する事や、後輩を教育する事、また必要に応じて優秀な新人を会社に誘う事や、あまり目立たないけど大事な仕事への貢献も成果に含めます。4半期毎のゴールには「このままやれば到達できるレベル」と「もう少し頑張れば到達できる次のレベル」が上司から提示され、従業員は話し合いの結果それに同意します。では横暴な上司にどう対処するかと言うと、ジョブ型雇用なので従業員には常に転職の道が開かれており、納得できない条件には退職を前提に交渉する事が普通です。転職も社内のケースが多く、ダメ上司ほど部下を失うという常識があります。つまり上司の成果には、どれだけ優秀な部下をキープできたかも含まれます。これはメンバーシップ型雇用にはない評価項目でしょう。成果が矮小化するのを防ぐのは上司の役目であり、手切れ金によるレイオフがない日本では成果の低い従業員を解雇することもできず、わざと低い成果を目標に選んで、上司の見かけ上の成果を維持するという方向に流れます。つまり成果主義とジョブ型雇用はセットであり、手切れ金によるレイオフを法律上許容しないと実現できないシステムです。この点はいまだに日本で広く理解されてはおらず、メンバーシップ型雇用の弊害(指示待ち)が足かせとなっています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC201ZJ0Q4A221C2000000/

2025年02月08日追記
確かに成果主義では新卒が一番不利です。そのためアルバイトやインターンが重要になります。3ヵ月程度のインターンを必須科目とする大学も米国にはあります。そのかわり中途採用が活発で、年齢ではなく職業経験が問われます。個人の向上心を刺激するのが成果主義です。年齢差別となる定年はありません。

2025年1月30日木曜日

集団就職

昭和にあった「集団就職」とは、主に地方の中卒者が都会の工場や会社に集団で就職する事で、そのために専用列車もありました。そこには地方に仕事がなく、長男以外は農業を継げないという背景がありました。その後日本は列島改造というインフラ投資で好景気の波に乗り、地方に仕事が生まれたため集団就職は廃れました。税金に余裕があればインフラ投資は地方に現金をもたらします。ところが少子高齢化で税金に余裕はなく、地方の仕事もなくなって若者は再度都会を目指します。インバウンドの波に乗ったニセコや白馬は別として、地方が人口減少という大波を乗り越えるのはまず無理です。人口減少は避けられないと諦め、少ない人口で暮らすにはどうすれば良いかを考えるのが首長の仕事[^1]です。女性の自由が少ない田舎には長男しか残りません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD150HB0V10C25A1000000/

同日追記
東京都の転入超過は外国人が大半です。この記事は日本人と外国人を区別していません。

2025年1月29日水曜日

全部ダメ

この記事[^1]は山形県の立石寺で入山料(拝観料)が現金のみという問題と、その現金を手に入れるためにインバウンド客がカードで買った土産物を返して、代金を現金でもらうという問題を報告しています。まず返金についていうと、これはカード利用規約違反です。犯罪を防止するため、カードにより買ったものを返す場合、代金はカードの口座に返金します。小売店が客に現金を返すのは規約違反です。これは犯罪者が盗んだり拾ったりしたカードで現金を得ることを防止するためです。次に入山料がお布施のため現金のみというのは、寺が収入を税務署に把握されたくないからで、一種の脱税です。お布施(寄付)ならいくらでも良く、払わないという人を拒否できません。インバンド客は寺のためというよりも、地元にお金を落としに来ています。だから入山料を取るなら寺はキャッシュレスに対応するべきで、回りの小売店に問題を押しつけてはいけません。折衷案としては、海外のカードが使えるATMを備えたコンビニを地元に設けるのが良いでしょう。

^1: https://news.yahoo.co.jp/articles/cc62f99942002c4b6d115f37e9f41a5f1aa6bf92

2025年1月28日火曜日

政府備蓄米

コメが高いので、政府備蓄米を放出するそうです。日本の年間コメ消費量は679万トン、これに対して備蓄量は91万トンです。もし備蓄の半分を放出すると、年間コメ消費量の6.7%位になります。日本のコメは総量が不足しているのではなく、流通の段階で在庫が分散しているのが高騰の原因だ[^2]という指摘もあります。それならショック療法を狙って、備蓄の半分をまとめて出すのが得策です。出し惜しみをしている流通業者を売り急ぎに追い込むためです。でも価格の暴落も避けたい政府は、少しずつ放出して様子を見るという事になりそうです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2428M0U5A120C2000000/

2025年01月31日追記
17万トンの分散在庫には備蓄米の放出が効果的、でも生産調整を止めるのも必要です。

2025年02月14日追記
5kgで3000円の小売価格を実現できれば、政府の備蓄米放出は成功と判断します。もしこれが失敗すると、世論は輸入米の関税撤廃や減反補助金廃止という方向に進むでしょう。

2025年02月16日追記
コメが投機の対象になるというのは農林省のミスです。食料安全保障以前の話です。

2025年02月17日追記
コメの販売が自由なら生産も自由であるべきで、輸入の関税も見直すべきです。

2025年02月19日追記
もしこの記事が本当なら、コメの値段は下がりません。残るは輸入米のみです。

2025年03月09日追記
政府はコメの平均コストが5kgで1,333円としています。その3倍が小売価格とすれば4,000円です。つまり適正価格はこのくらいとなります。ますます輸入米の出番です。

2025年1月27日月曜日

体感物価

消費者物価指数という数値があります。これは変動の大きい生鮮食品を除くので、体感物価とは乖離しています。その消費者物価指数が2024年12月に3%になった[^1]という報道がありました。2024年全体では2.5%の上昇だそうで、体感物価だとその10倍ぐらいですから大きく乖離しています。消費者が重視するのは毎日の食料品の値段です。スーパーに行っても値上げが多く、肉や野菜も高騰しています。これでは消費は増えないだろうなと思います。額面では増えていても、実質では減るでしょう。実質賃金のマイナスが続くのは、アベノミクスの失敗です。

2025年1月26日日曜日

地方創生

地方創生[^1]という新しい言葉は2014年に登場したので、筆者はそれが何を意味するのかよく分かりませんでした。ところがその成功例[^2]を見ると、どうもこれは「地域活性化」を言い換えたものらしいです。創生というから新しい地方をゼロから作るのかと思ったら、違いました。予算を取るために既存の政策に新しい名前を付けたという事です。その基本は「少子高齢化」対策であり、日本全体の問題です。ところが日本は移民反対なので、少子化は避けられません。そうした場合、筆者は人口集約がひとつの解決策だと思います。広くバラバラに住むのではなく、人口を集めた中核都市を地方に造るという考えです。でも実際行われているのは、自分は動かずにいかによそから人口を自分の町に持ってくるかという競争です。これが不毛な競争である事は自明でしょう。部分最適の集合は全体最適になりません。昭和の経済モデルが時代遅れとなったのに、それを目指すのがそもそもの間違いです。人口が増える国は借金して国内投資ができます。インフラを作り工場を建て製品輸出でドルを稼ぐというモデルです。今は逆で日本は人口が減る国です。インバウンド以外に地方でドルを稼げるモデルはありません。世界には観光で食べている国がいくつもあります。日本もそのひとつになるべきです。

^1: https://www.publicweek.jp/ja-jp/blog/article_41.html

2025年02月12日追記
人口減でも生きられる国に必要なのは、大幅なロボット化への投資です。

2025年02月13日追記
人口減や過疎化は何年も前から分かっており、有事ではありません。

2025年02月16日追記
かくして税金は浪費されるという典型でしょう。会計検査院の怠慢でしょうか。

2025年1月25日土曜日

ジョブ型雇用

この記事[^1]はジョブ型雇用の利点を指摘しています。ところが記事はジョブ型雇用を成果主義と呼んでいます。この二つは同じではありません。メンバーシップ型雇用のまま中途半端な成果主義を取り入れて失敗したのは日本の大企業です。ジョブ型雇用では自分の仕事の範囲が明確なので、自分で働くペースを決める自由があります。また求められる仕事のレベルも明確なので、それを満足したかどうかで待遇が決まります。つまり仕事の自由度が高い反面、個人として結果に責任を持つという事です。外資系は基本的にジョブ型雇用であり、就職するときの職務記述書は大事な文書です。ところが日本では手切れ金による解雇ができないので、ジョブ型雇用は中途半端なものになります。仕事に人を付けるという考え方がジョブ型雇用であり、会社を替わる以外に大幅な賃金上昇は望めません。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE249650U4A221C2000000/

2025年01月28日追記
裁量労働制とジョブ型雇用はほぼ同じです。専門職とは本来そういうものです。

2025年01月31日追記
日本は手切れ金による解雇(レイオフ)ができず、外資系も実は困っています。

2025年1月24日金曜日

計算方式

行政が採用する計算方式には古くさいものが残っています。この厚生年金の保険料[^1]もそうです。単純に収入の18.3%にすれば良いのに、収入を複数の範囲に分けて基準額の18.3%としています。その目的は計算を簡単にする事で、コンピュータがない時代には意味がありました。前もって計算結果を表にまとめておけば、あとは収入がどの範囲に入るかで計算せずに保険料が分かります。でも令和の今は保険料の計算などすべてコンピュータがやっています。例外的に電卓を叩く人がごく少数いるだけです。だからもう計算を避ける理由はありません。こうした昭和の名残は不合理で、むしろ計算の手間を増やしています。まったくバカバカしい。この不合理が問題にならない日本はどうかしてます。

2025年1月23日木曜日

ミスマッチ

この記事[^1]は文系大卒の仕事がミスマッチ、つまり需要を大幅に上回る供給があり、その一方で現場作業をする技能者が不足していると指摘しています。これは日本だけの傾向ではありません。このミスマッチの解消には、需給を反映した給料の増減と、教育界の変化が必要です。事務職の賃金が技能職より高い現状で、事務職希望者に技能職になれとは言えません。また大学も将来を見越して必要な人材を育成するという設立目的に沿って、学部構成を時代に合わせて変える努力が必要です。就職率の高い大学は、そうした努力を怠りません。ITの進化に伴い事務職は減っています。若者は有名大学に漫然と進むのではなく、卒業後の就職まで考えて専門職を目指しましょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE1525V0V11C24A1000000/

2025年1月22日水曜日

男女分断

トランプ大統領が男女分断を煽った[^1]という見方は単純すぎます。トランプ支持者には女性も黒人もいて、唯一の共通点はキリスト教信者だという事です。でもアメリカ人の大半はキリスト教信者なので、これがトランプを勝たせた訳ではありません。アメリカのジニ係数は0.5に迫っており、貧富の差がトランプに有利に働いた事は間違いありません。不法移民問題も大きく、反対に妊娠中絶は争点になりませんでした。経済のグローバル化は貧富の差を拡げ、取り残された国民が高学歴指向の民主党にダメ出しをしたというのが真相です。でも貧富の差が縮まる見込みはありません。政府の要職に何人の女性が就くかをみれば、トランプが女性差別主義者かどうかが分かるでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK246NF0U4A221C2000000/

2025年1月21日火曜日

公平とは

この記事[^1]はトランス女性が女性スポーツに参加できない米国の法律を取り上げています。その根底にあるのは「公平とは何か」という問いです。ボクシングでは性別の他に体重でクラス分けがあります。これは体重が重いほど有利だからです。でも日本の相撲では体重によるクラス分けはありません。体重も本人の努力の結果という考え方があるからです。どちらが公平かというと、どっちも公平と言えます。スポーツにおいてトランス女性が問題になるのは、体格や筋肉量で有利となるからです。逆のケース、つまりトランス男性がスポーツで問題になることはまずありません。筆者は男女別の他に、トランス女性だけのクラスとトランス男性だけのクラスを作るのが公平だと思います。つまり全部で4個のクラス分けです。体格や筋肉量があまり競技に影響しないスポーツ(競馬、競艇など)もあるので、全部のスポーツに4個のクラスが必要とは思いません。スポーツごとにルールを決める中で、トランス競技者をどう扱うかもルールに含めるだけです。するとトランス女性だけでなく、男女そのものも定義が必要となります。男性ホルモン量で決めるのか、染色体で決めるのか、出生時の外見で決めるのかという問題です。オリンピックでは競技に出るために国籍を変える人がいます。同様に競技に出るために性別を変える人がいても不思議ではありません。そこでトランス・クラスを別に設けるのが公平です。これは社会的な男女区別とは異なります。

^1: https://www.asahi.com/articles/AST1G7KT5T1GUHBI00KM.html

2025年1月20日月曜日

自己否定

フジテレビがまたやらかしてます。大谷選手の自宅をバラしたのに続き、今度は元ジャニーズ事務所の有名タレントにまつわる社長会見でテレビ報道を阻止[^1]しました。テレビ局の会見で動画や配信を排除するとは、立派な自己否定です。つまりテレビ局はテレビ嫌いだという事です。自局のテレビ中継もありません。筆者は今回の問題がフジテレビという会社の体質をよく表していると思います。自浄作用がないという意味で、ますますフジテレビが嫌いになりました。しばらくフジテレビを視るのはやめようと思います。

^1: https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20250117-OYT1T50168/

同日追記
消費者はフジテレビを視なければいいだけの話です。

2025年01月22日追記
この人も何か隠してますね。立場上言えない事もあるという顔をしてます。

2025年01月31日追記
繰り返すけど、フジテレビを見なきゃ良いだけの話です。親がバカなのかね。

2025年1月19日日曜日

白物家電攻勢

韓国と中国の家電メーカーが高額白物家電[^1]で日本に攻勢をかけています。日本はパナソニックや日立といった老舗メーカーが防戦一方で、海外に打って出る前に日本で攻め込まれています。アメリカのコストコ[^2]ではLGやサムソンが白物家電を売っており、そこに日本メーカーの姿はありません。このままでは日本メーカーは高額白物家電で韓国や中国に負けるでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB158HQ0V11C24A0000000/

2025年01月24日追記
国内テレビの中国シェアが50%を超えたという報道です。レグザは中国なので。

2025年1月18日土曜日

既得権益

どの国でも政治家は仮想敵から国民を守るというスローガンを使います。仮想敵は時と場所により変化し、自然災害、移民、外国、自国民の一部などが使われます。既得権益もそうした仮想敵のひとつで、経済的弱者や若者にアピールするスローガンとなっています。既得権益が何を指すかは人により異なり、政治家はこの点を曖昧にします。そこでスローガンを聞いた人は、それぞれ自分に都合の良い解釈をします。何が(誰が)既得権益なのかを明確にしない政治家は信用できません。そもそも既存の政治家そのものが既得権益だという場合が多いのです。公務員も既得権益ですし、年金を受給する高齢者も既得権益です。児童手当を受ける子供も既得権益に入ります。法律に守られた医師や農家もそうです。

2025年1月17日金曜日

BS4K放送

日本でBS4K放送を続ける理由はないと思います。放送技術の向上が目的としても、もうその目的は達成したという事です。実際、BS4Kの放送はNHKも民法もほぼBSと同じ番組を流しており、わざわざBS4Kを選ぶ理由がありません。4Kは解像度が高いとしても、その差に気づく番組などないという事です。放送の競争相手は配信であり、番組内容で勝負が決まります。いまBS4K放送を停止しても誰も困らないのが実情です。NHKはメンツがあるので固執するかもしれませんが、放送局もコストダウンが必要ならBS4K放送から撤退すべきです。ましてやBS8Kなど、いったい誰が視ているのでしょう。お金のムダは止めましょう。

2025年1月16日木曜日

住宅耐震化

東京に大地震が来るのは間違いありません。そのため学校やマンションの耐震化が進み、残るは木造住宅だけです。この記事[^1]も指摘しているように、1981年以前に建てられた家は地震に弱く、震度7の揺れで全壊します。昭和前期に建てた家は東京にまだたくさんあり、こうした家が倒壊すると道をふさいだり、電線を切って火事を起こします。基礎をやり直すのはコストがかかるので、壁に筋交いを入れたり合板を貼り付けるといった方法で全壊を防ぐことができます。東京都は予算が豊富なので、そうした住宅の耐震化を進めるべきです。また東京でも空き家が増えており、広報を通じて空き家を減らす努力が欠かせません。長期間の空き家は固定資産税を増やすなどの措置も必要です。

^1: https://bunshun.jp/articles/-/75642

2025年1月15日水曜日

ホンダと日産

筆者はホンダと日産の経営統合に反対です。日産は鴻海に買われた方が企業価値が上がります。これは日本政府が台湾企業による日本企業の買収を阻止したのだと思います。ちょうどアメリカ政府が日本製鉄のアメリカ企業買収を阻止したのと同じです。ホンダと日産は製品群がほぼ同じで、相乗効果は望めません。しかも企業文化が水と油で、結婚してもすぐ離婚します。日産と三菱が組んで何か良い事がありましたか。ホンダがお荷物を抱え込むのは明らかです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOTG06AK20W5A100C2000000/

2025年02月05日追記
ホンダと日産の経営統合は破談となりました。ホンダにとっては良い結果です。

2025年1月14日火曜日

ロスの山火事

まず最初に「これは他人事ではない」と断った上で、住民の「自業自得」であると思います。ロスは砂漠の上に作った町で、もともと水不足です。このため北カリフォルニアから運河で水を引いて水道水にしています。その結果中央カリフォルニアでは農業用水が不足し、砂嵐が舞っています。エネルギーを使いすぎのアメリカはCO2を大量に排出しており、ロスは雨期なのに雨が降りません。そのため山林が乾燥し、一度火がつくと止まりません。発火は送電線が原因かもしれず、花火や放火の可能性もあります。2008年に建築基準が変わって、山火事に強い屋根や構造が求められました。でも既存の建築には適用されないので、山火事に弱い家がほとんどです。気候変動を甘く見てはいけません。

2025年1月13日月曜日

CO2地下貯留

海外のCO2地下貯留は、主に古い油田やガス田にCO2ガスを注入する方式です。これには残った原油を押し出す効果もあり、一石二鳥です。ところが日本にはそうした油田やガス田がありません。すると注入したCO2ガスがどこに滞留するかは、やってみないと分かりません。地質調査でガスがもれないだろうとされる場所も、その後の地震で岩に割れ目ができ、そこからCO2ガスが漏れる可能性は常に存在します。そうなった時は誰が責任を取るのかをまず決めてから、地下貯留[^1]を進めてもらいたいと思います。もちろん国産エネルギーを増やすには、CO2地下貯留よりも再生可能エネルギーに税金を使うべきです。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2734P0X21C24A2000000/

2025年01月14日追記
地下貯留よりCO2を資源として生かす方が良いでしょう。発想の転換です。

2025年1月11日土曜日

農政問題

日本のコメはいつも農政問題となっています。農家は票田でもあり、コメは食料安全保障でもあるからです。夏の高温で収量が落ちた2023年度産から、コメは供給が減っています。それなら供給を増やすべく、転作奨励金を減らすのが筋です。コメ農家が十分な収入を得る事には反対しません。ただし、物には限度があります。流通が自由化され値段が上下するのに、作付けには国からの減反圧力があり、自由化されていません。コメの値段が上がるなら供給を減らす必要はありません。インバウンドによる消費量は年間の0.5%程度であり、温暖化と地震による買い占めが価格上昇の原因です。日経の新聞記事[^1]ですら原因を取り違えています。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB09CDV0Z00C25A1000000/

同日追記
兼業農家は規模が小さく、自家消費と親戚の分しか作りません。黒字化には規模の拡大が必要。

2025年01月24日追記
1年で倍以上になったコメの値段を下げるために、政府備蓄米を放出するそうです。

2025年1月10日金曜日

駐車場の空き表示

屋根があったり複数階にまたがる駐車場の場合、その階に何台分の空きがあるかと、どこにその空きがあるかを電光表示できます。各スポットに車があるかどうかは天井にセンサーを付ければ分かります。スポットの上、通路を走る車から見える天井の位置に緑と赤のLEDライトを付け、そのスポットが空いていれば緑、空いていなければ赤の表示です。またどれだけの空きがあるかも同時に分かるので、階ごとにいくつ空いているかを数字で表示できます。これは実際にラス・ベガスのホテルの駐車場で使われている方法です。日本もこれを真似して、駐車場での人身事故[^1]を減らすべきでしょう。

^1: https://merkmal-biz.jp/post/82907

2025年1月9日木曜日

西洋宗教

西洋の主要な宗教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教は共通の唯一絶対神の存在を前提にしています。この神は英語ではゴッドでアラビア語ではアラーです。ところが神と人の間には預言者がいて、神の言葉を人間の言葉に翻訳します。そこで宗教が分かれてしまい、今度は覇権争いが起きます。キリスト教徒はイスラム教徒と戦争し、イスラム教徒はユダヤ教徒と戦争しています。ユダヤ教徒とキリスト教徒の戦争はホロコーストや半ユダヤ主義として残っています。こうした西洋宗教の間に戦争があるという事実は、共通の唯一絶対神、全知全能の神がいない事の証明になっています。人間同士の戦争は愚かな行為であり、全知全能の神がいれば絶対起きないものです。人間同士の戦争が起きるのは、神が全知全能ではないか、共通の唯一絶対神ではないか、あるいはそもそも神などいないからです。ユダヤ教のモーゼ、キリスト教のイエス、イスラム教のムハンマドはみな預言者です。人は自分に理解できない事を神のせいにします。それは精神衛生上とても役に立つ考えではあるものの、預言者の弟子たちが人々を支配する道具にもなります。戦争は常に神の願望とされ、支配者の欲望である事は誤魔化されています。西洋宗教と政治は不可分であり、戦争の原因となっています。

2025年1月7日火曜日

鯨肉

この記事[^1]を要約すると、「日本のタンパク源として鯨は大切だから、高級食材として鯨を食べ続けよう」となります。そのために日本が選んだ道がIWCからの脱退で、自国のEEZ内での生息数の0.005%を捕獲しています。世界で捕鯨を続けている国はノルウェイと日本だけになり、圧倒的少数派です。「かわいいクジラちゃんを殺すな」という感情に「クジラっておいしそう」という売り込みは効きません。世界的に「賢い動物は食べない」のが潮流で、日本だってイヌを食べません。日本人に「イヌは美味しいから食べよう」という売り込みが効かないのと同じです。またイルカも食べない国がほとんどで、日本は数少ない「イルカを食べる国」のひとつです。イルカは鯨と同じ海洋哺乳類で、小さいのがイルカ、大きいのが鯨と呼ばれます。衣類としての毛皮が廃れたように「賢い動物は食べない」という世界の潮流は無視できません。日本のタンパク源には鯨のかわりになるものを見つける方が良いでしょう。

^1: https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE14A510U4A111C2000000/

2025年01月12日追記
イルカは可愛い、鯨も可愛い、けどイルカも鯨も食べちゃう日本って、なに?

2025年1月6日月曜日

縮んで勝つ?

筆者は河合雅司氏の著作「未来の年表」から日本の人口減少問題を学びました。そのため最新作「縮んで勝つ」[^1]には期待を持っていたものの、読んでみてその期待は失望に代わりました。ただし、これは人口問題が「未来の年表」出版当時よりずっと悪化してるためであって、河合雅司氏の責任ではありません。1部と2部で日本の人口減少を色々な数字で表した後、3部では「外国人依存からの脱却」と「薄利多売から厚利小売へ」という方向が示されています。でも定性的な話が多く、具体的な数字を使った前半の説得力には及びません。もちろん、経済モデルを使って30年後の日本を予想するのは経済専門家にも難しいので、これは仕方ありません。また財政の問題、つまり「税と社会福祉」の議論が3部で無視されているのも残念です。人口減少は財政収入の減少であり、今までのようなバラマキは続けられません。財政赤字を続ければ円安が進み、物価が上がって実質賃金が下がります。日本人1人あたりの利益を増やすという案にも、リスキリング以外にそれをどう実現するかは書いてありません。筆者のように「ゾンビ企業は潰せ」というような尖った策がなく、全般的に物足りないという印象が残ります。結局日本の人口問題に妙案はないという事でしょう。筆者なら大幅なロボット化を目指します。これは国が推進しないといけません。もちろん他の自治体から人口を奪うという発想ではダメです。


2025年01月08日追記
アメリカは本気でロボット化を進めています。日本はすでに周回遅れです。

2025年01月14日追記
人手不足倒産は今後も増えるでしょう。経済の活性化に必要な過程です。

2025年01月20日追記
ゾンビ企業が減っているという報道です。税金のムダが減るのは良い事です。

2025年01月24日追記
政治家は夢を売る商売、人口集約など口が裂けても言えないという事です。
自分は動かないが、他の人はここに移住してくれというのは自己矛盾です。

2025年02月07日追記
中国の進化が驚異的です。日本は周回遅れで、ロボットとAIの融合が見えません。

2025年1月5日日曜日

最低賃金すら

最低賃金すら払えない会社[^1]はゾンビ企業同然なので、事業を売却するか止めましょう。製品を値上げできないのは市場競争力がないからで、会社の経営努力が足りません。こうした企業に税金から補助金を出しても戻ってきません。地元の雇用を守るなら利益を出す必要があり、それができないなら退場です。そして地元に仕事がなくなった人は、仕事を求めて引っ越すのが正解です。こうした新陳代謝の低い国は滅びます。筆者は成人してから10回引っ越ししています。すべて生きるため、仕事を求めての引っ越しです。体という資本を生かすには、より良い雇用条件を求めて移動しましょう。

^1: https://www.jiji.com/jc/article?k=2025010400276

20250108追記
マスコミにはこういう事情もあるので、読者は油断してはいけません。

2025年01月10日追記
黒字でも希望退職というのは、新陳代謝の表れです。職業価値は場所で違います。

2025年01月11日追記
赤字企業は退場するのが当然です。利益なき賃上げはできません。

2025年1月4日土曜日

移民恐怖

日本人の移民反対は、よそ者が日本を乗っ取る心配に由来します。日本が日本でなくなるという恐怖です。よそ者は言葉が違い、文化が違い、宗教が違い、常識が違います。そうした人たちと仲良く共存できるという見込みがなく、自分が移民との経済競争に負ける事を恐れています。その反面、日本は海外からの投資家や企業家を必要としており、解体など3K仕事に就く人は外国人が多いのも現実です。東京なら外国人が働いていないコンビニはまずないでしょう。移民という言葉には強い反発がある反面、ステルス移民が日本に増えています。欧米の先進国では移民が増えすぎて色々な問題を起こしているので、仲良く共存できる自信がない日本人は、このままステルス移民に頼るしかありません。そうした「移民」が増えてくれば、やはり様々な問題が起きるでしょう。労働者の1割が「移民」になり、その人たちが政治力を求めてストを行えば、日本経済は大きな打撃を受けます。

2025年1月3日金曜日

年金制度改革

5年に一度の年金制度改革に際し、厚労省が厚生年金から基礎年金への資産の移転を提案[^1]しています。65兆円を厚生年金から、70兆円を国庫から出す事で、基礎年金の今後の給付減額を減らす計画です。なぜこのような移転が必要になったかと言えば、想定より少子化が速く進む一方で、物価に応じて給付額を変えるマクロスライドがデフレ下で発動されず、基礎年金の払いすぎが発生したからです。年2%のインフレが続くと仮定すると、この払いすぎを取り戻すために2070年には基礎年金が今より3割ほど給付水準低下となります。これを厚生年金の積み立て金と税金で1割減に抑えるのが目的です。提案では2036年をメドに厚生年金と基礎年金を1割減額するようで、やはり少子化のせいで今の給付水準は維持できないという計算です。それでも所得代替率50%は法定目標なので、そこは守られる計算なのでしょう。ただし70兆円を国庫から出すには最低でも消費税の1%追加が必要で、今後の増税は避けられません。


2025年01月14日追記
厚生年金を減らすのではなく、消費税を上げて基礎年金を上げるのが正解です。

2025年1月2日木曜日

懲りない業界

この記事[^1]は、仮想通貨が北朝鮮のハッカーに盗まれたと指摘しています。同じ事がもう何年も起きています。その資金で北朝鮮は核開発とミサイル開発を続け、経済制裁を無効化しています。仮想通貨業界の認識が甘すぎます。日本の安全保障に直結するミスをしていると分かっているでしょうか。またもや「委託先の社員」がセキュリティの穴になりました。コストを下げるために大事な仕事を外注すれば、しっぺ返しがあるという事です。残念ながら外注先となる企業は人員のレベルが低いため、そこを突いてくるのがプロの仕業です。「管理権限」が必要な仕事を外注するのは大間違いです。

^1: https://www.yomiuri.co.jp/national/20241223-OYT1T50182/

2025年1月1日水曜日

2025年度予算

この予算案[^1]を見ると、すでに2025年度のプライマリーバランスは諦めたというのが分かります。28兆2179億円の国債費を払って、28兆6490億円の国債を発行しています。国債費を除いた支出は87兆3236億円となり、これを国債以外の収入である86兆8925億円で払おうとすると、4311億円足りません。国債費を上回る国債を発行する限り、プライマリーバランスは赤字です。つまりこれだけ税収が増えても、ワニの口が開いたままです。この調子では日銀は政策金利を上げる事ができず、さらに円安が進行します。国債を増やすと円安になるという悪循環です。

^1: https://www.tokyo-np.co.jp/article/376386

2025年01月14日追記
また問題先送りです。もう黒字化目標が話題になることもありません。