I talk about interesting differences between US and Japan in Japanese from Silicon Valley and Tokyo.
2019年2月9日土曜日
二度手間
日本の税務署は、いつ誰にいくら給料を払ったかという情報を事業者から得ています。これは当然コンピュータで利用できる情報としてデータベースに格納してあるので、賃金統計にこの情報を使わない理由が分かりません。厚生労働省の賃金統計があてにならないというニュースを見て素人の筆者が思うのは、なぜ同じ情報を複数の省庁が事業者に別のルートで尋ねるのかという疑問です。大体、いまだに紙と人手で情報を集めるという発想そのものが時代遅れです。(事業所にエクセル・ファイルを送って、それにデータを記入してプリントした紙を役所に送れって何ですか。何でエクセル・ファイルをインターネットで受け取れないの。)それぞれの省庁が抱えている統計情報は国民の税金で集めた物で、もしそれがあてにならないなら税金の無駄です。より少ないコストでより正確な統計情報を集める方法は必ずあります。税金を払っている国民は、こうした無駄を見過ごしてはいけません。
2019年2月2日土曜日
どうして○○は××なのか?
ここ数年でウェブ上に「どうして○○は××なのか?」という題の記事をよく目にするようになりました。これは偽ニュースである事が多く、注意が必要です。なぜなら「○○は××だ」という部分を証明抜きで正しいとして、「それはどうしてか?」と問いかける記事が多いからです。例えば「どうしてラーメンはアメリカ人に人気なのか?」という題があるとして、「ラーメンはアメリカ人に人気」という部分は本当でしょうか。実は寿司の方がラーメンよりアメリカ人には人気があります。それに日本食に限定しなければ、ピザの方が寿司よりアメリカ人に人気があります。「ラーメンはアメリカ人に人気」という事を証明せずに、それを正しいとしてその理由を尋ねる題は読者の誤解を招きます。またこの手の記事は実質的に広告となっている事が多いので、そこにも注意が必要です。
2019年1月24日木曜日
ボイジャーとオポチュニティ
1977年に打ち上げられたNASAの惑星探査機ボイジャー(1号2号)と、もっと最近の2004年に打ち上げられたオポチュニティは対照的な探査機です。前者は木星を含む火星より外の惑星を探査する人工衛星なのに対して、後者は火星に着陸して14年にわたり火星の地表を観測してきた探査車です。両者には27年近い年の差があり、生き残りの方法も違います。ボイジャーはプルトニウムを熱源とする原子力電池を使い、40年以上も宇宙を旅しています。でもオポチュニティは太陽の光を太陽電池で電気に替えて、電池に貯めて使うロボットです。プルトニウム238の半減期は87年なので、その崩壊熱を使うボイジャーの発電量は2018年には当初の半分以下になっており、無線通信の他にはプラズマ検知器が働いているのみです。そのため2025年頃には発電量が足りなくなって、無線通信が止まるかもしれないと予想されています。一方オポチュニティは2018年に火星の大規模な砂嵐に巻き込まれて、太陽の光が届かなくなったので冬眠モードに入り、2019年1月現在通信が途絶しています。どちらのロボットも内部の電子機器を室温で動かすには熱源が必要で、ボイジャーはプルトニウム238を熱源として、またオポチュニティは電池に貯めた電気を熱源として内部を室温に維持しています。オポチュニティは長い間太陽の光を遮られたため、熱源となる電気が足りなくて電池や内部が凍ってしまった可能性があります。火星で砂嵐に巻き込まれたオポチュニティは寿命かもしれません。でもボイジャーは打ち上げから50年後の2027年になっても活動を続け、太陽系外のプラズマの様子を人類に教えてくれるものと期待します。
2019年1月14日月曜日
4年分のブログを本に
このブログの2015年から2018年までの4年分の内容を、キンドルの電子本にまとめて出版しました。右のリンクから「外枠文化」をクリックすると日本のアマゾンに飛びます。18日の金曜日まで無料ですので、良かったらダウンロードしてみてください。
2018年12月24日月曜日
2018年の話題
2018年の筆者のブログで最も読まれた記事は6月の「偽ニュース」です。この記事で筆者は人の話を疑う事の大切さを説きました。タダで手に入るニュースには、出所がいい加減な偽ニュースが高い割合で混じっています。前にも書いたように、民主主義がうまく機能するには万人に正確な情報が必要です。若い人には、お金を払ってまで新聞を読まない人も多いでしょう。インターネットでタダで手に入るニュースは所詮無価値、どうでもいい情報です。目の前のニュースが偽かどうか確認するにはそれほど難しい事ではありません。それは裏が取れるかが目安となります。つまり複数の有料媒体がそれぞれの取材で同じニュースを報道するかどうかが最初のテストです。次のテストは自分のそれまでの知識と矛盾するかどうかです。もし自分の知識がなくて矛盾するかどうか分からない時は、この判断はできません。このふたつのテストをパスすれば、そのニュースはおおむね正しいと言えるでしょう。でも自分の目で見て耳で聞いて確認するのが一番の基本です。これを現場主義と呼ぶのはご存じですね。
2018年12月16日日曜日
なぜ国境があるのか
海が自然の国境となっている日本では、なぜ国境が存在するのかあまり考える人はいません。でもアメリカのように隣国と陸続きの国では、何もない土地に国境という名前の壁が立っています。そこでなぜ国境があるのかを考えてみましょう。なぜ国境があるのかの答えは、なぜ国があるのかの答えと同じです。人間が集まって住むとき、言語が同じだったり、宗教が同じだったりと何か共通点を求めて集まります。それはその方が安心だからです。言葉が通じないと相手の気持ちが分かりません。宗教が違うと相手の宗教を潰そうとします。言い換えると仲が良い人たちだけで国を作ります。国境を作るのは仲が悪いからで、とくに隣同士の国は仲が悪いのが当たり前です。インドとパキスタンのように宗教が違ったり、ギリシャとトルコのように過去に領土争いした国が不仲なのは普通です。仲が良ければひとつの国になります。国境は仲の悪い国同士を隔てる緩衝なので、日本と韓国の仲が悪いのも当然です。仲が悪いから国境があるのです。だから隣国と仲が悪くても悩む必要はありません。隣の国と仲が悪いのは当たり前と割り切って、その上でお互いに利益のある交流をすれば十分です。日本と中国、日本とロシアも同じ事です。「隣国同士は仲が悪い」は世界史の常識なのです。
2018年12月9日日曜日
これからの日本に起きる事
年末は来年やその先を考える良い時期です。2019年の日本は元号の切り替えや消費税の増税が待っています。昭和生まれの筆者にとって平成は馴染みがありません。馴染みがないまま平成が終わり、日本特有の元号が新しくなります。西暦と元号の変換はいつもややこしく、筆者にとっては頭痛の種です。でもその先を見た場合、消費税の増税はこれからの日本を表す転換点となるでしょう。つまり日本のバブル処理はこれで終わり、今後はいろいろな税金を増やさなくてはなりません。10%と二桁になる消費税を始め、ガソリン税や自動車税など減少している税金を増やす方法を政府は模索しています。働く人が減り所得税が減る中、社会保障費用だけがうなぎ登りでは次世代が背負う借金は雪だるま式に増えます。政府の収入を増やし、支出を減らす以外に日本を維持する方法はありません。前期高齢者がしっかり働いて税金を納めないと、これからの日本は立ちゆかないのです。
2018年12月1日土曜日
アマゾン・エフェクト
アメリカでオンライン・ショッピングと言えばアマゾンです。アマゾンがどんどん便利になるので、普通の小売店はどんどん潰れています。とくに本屋、おもちゃ屋、電気屋が減っています。生き残っているのは特色がある所で、珍しい中古本をアマゾンで売る本屋とか、電気屋なら返品が難しい大型テレビの店などです。共稼ぎで忙しい夫婦だと、時間の節約になるオンライン・ショッピングなしでは生きていけません。シアーズとか(アメリカの)トイザらスの倒産が示すのは、小売業において大事なのはもはや場所ではないという事です。旧態依然の店は消えていきます。むしろアマゾンを利用して売り上げを伸ばす中小企業に利があります。日本では楽天やヤフーが強いので、アマゾン・エフェクトはまだ感じられません。でもスタートアップ企業なら、既存の小売り網に載せるよりアマゾンで売った方が効率的でしょう。クラウド・ファンディングやユーチューブ、SNSでの宣伝も効果的です。テレビ局が持つ広告媒体としての地位も、いまやアマゾンとグーグルに脅かされています。ただし日本にもあるコストコは根強い人気があって、年末は普段より混んでいます。
2018年11月3日土曜日
仕事の意味
仕事には色々な意味があります。生活費を得る手段の他に、技術を学んだり人生を面白くするという側面もあります。でもお金を得る手段としての仕事には、対等に人からお金をもらうという意味が含まれています。ただお金をもらうなら生活保護でも乞食でも同じです。ところが仕事なら、そのお金に見合う仕事をした結果としてお金をもらうので、上下関係が生まれません。仕事の価値イコールお金です。一方的にいただくお金ではないので、労働者としてはプライドを損なうことなくお金をもらえます。雇い主と労働者の間に雇用関係はあっても、上下関係はありません。お互いがお互いを必要としているから手を結ぶだけです。労働者はお金と引き換えに人生を犠牲にする必要は全くなく、給料に見合う仕事をすれば十分です。プライドを損なうような仕事は、どれだけお金を積まれてもやる必要はありません。
2018年10月21日日曜日
無駄な努力
人生に無駄はないと人は言います。確かにどんな経験も、それなりに後で役立ちます。ただし無駄に近い経験もあります。それは一度経験すれば十分な、無駄な努力というものです。重箱の隅をつつくような議論とか、誰も読まない報告書作りとか、誰でもサラリーマンなら経験があるでしょう。もし貴方が仕事において「自分は無駄な努力をしている」と思うのであれば、上司に自分の仕事の意味について質問しましょう。もしその答えに納得出来なければ、それはその上司が貴方の邪魔をしているので、移動を願い出る時期です。もしそうした移動が不可能なら、他の会社に移るのも立派な選択肢です。無駄な努力を強いる会社は長続きしません。
2018年10月13日土曜日
電気も水も止まる
都会に住んでいる人は、電気や水がいつも手に入る事を当たり前のように思っています。だから台風や地震で電気や水が止まると、始めてそこで当たり前が当たり前ではないという事に気付きます。電気は誰かが発電所で電気を起こして、誰かが保守している電線を通って、家まで来ています。水も誰かが浄水場でキレイにして、電気を使ってポンプで圧力をかけて、誰かが保守している水道管を通って、家まで来ています。電車も同じく、誰かが保守している線路の上を、誰かが保守している電線を通った電気を使って、誰かが保守した電車が動いています。料金を払っているからサービスを受けるのは当たり前と思っていると、こうしたインフラが止まった時に驚きます。でもこうしたサービスは当然ながら止まることもあります。アメリカは工事や自然災害で電気がよく止まるので、停電しても誰も驚きません。またか、という感じ。日本はあまり停電しない国なので、停電に対する準備ができていません。インフラ・サービスの質を上げると、国が脆弱になるという例です。
2018年10月4日木曜日
善悪の基準
日本以外のほとんどの国で、宗教は善悪の基準となっています。宗教はもともと法律ができる前からありました。たとえば神からユダヤの民に与えられた「十戒」には、「盗んではいけない」とか「人を殺してはいけない」あるいは「嘘をついてはいけない」といった決まりが10個あります。これはそのままユダヤ教、キリスト教、イスラム教に受け継がれています。ところが日本にはこうした「法律以前の決まり」がありません。日本には善悪の基準として法律しかないのです。聖徳太子が作ったとされる「十七条憲法」は天皇が民を治める時のガイドラインであり、善悪の基準ではありません。こうした基準がないため、日本人は個人として善悪の判断をしないまま、上司や監督の言うことを実行してしまいます。宗教がなければ宗教戦争は避けられます。でも宗教がないと善悪の基準もないのです。このため法律に規定のない状況では、日本の道徳は役に立ちません。個人として善悪の判断ができないから、堂々と間違った事をしてしまいます。それは昔の特攻隊とか今の企業の不祥事を生んでいます。
2018年9月23日日曜日
芸術の存在理由
長いこと2カ国語の生活を続けていると、言葉の大切さがよく分かります。特に新しい表現を生み出すのは誰にでも出来る事ではないので、いっそう大事な行いです。世の中が変われば新しい表現が必要になります。何を表現するかと、どうそれを表現するかの両方において新しさが問われます。人類には常に新しい表現が必要で、芸術家以外の人は芸術家が創造した新しい表現を真似します。時代と共に新しい考えが生まれると、それに対応した新しい表現が必要となり、そこに芸術の存在理由があります。これは言葉に限らず、音楽でも絵画でも演劇でも同じです。芸術には「コロンブスの卵」のような性質があります。それまでにない新しい表現も、出来た物を見ると誰でも出来そうに思えます。でも2番手には価値がなく、始めてやるから価値があります。だからこそ芸術家は人類に必要であり、その著作権は利用者からの報酬として尊重しなければいけません。もし芸術家が芸術で食べていけなければ、新しい表現は生まれなくなってしまいます。そうなると今後は新しい考えを伝える手段がありません。人が人に新しい考えを伝えられなければ、そこで人類の進歩は止まります。
2018年9月9日日曜日
通年採用
日本の就活もおかしな制度です。世界標準は「通年採用」なのに、日本だけが3月大学卒業、4月就職という古い制度のままです。もはや終身雇用でもなければ年功序列でもなく、大学後の人生にレールはありません。海外に打って出ないと企業は成長できないのに、いつまで日本独自の時代遅れな制度を続けるのでしょうか。これも変われない日本の象徴のひとつです。日本の大学は海外との競争から9月入学を始めています。企業も通年採用に切り替えないと海外の優れた人材に来てもらえません。アメリカの場合、どの学期で卒業するかは学生が選べます。また6月に卒業したとして、それからすぐ企業に就職するとは限りません。通年採用が当たり前の国なので、お金が欲しい人はすぐ就職するし、学生時代にお金を貯めた人は別に急いで就職しません。海外にいる留学生にも不便な日本の就活は、さっさと通年採用に切り替えて欲しいですね。
2018年9月3日月曜日
日本はどこまで借金できるか
日本の国債残高[^1]は毎年増えています。では日本はどこまで国債残高を増やせるでしょうか。今や売り出される国債を買うのは主に日銀です。ところが日銀も過半数の国債を所有するのは避けています。日本の国民が持つ預貯金の総額は1000兆円あまりで、2018年度末の国債残高は883兆円、これに地方の長期債務を足すと1107兆円となります。つまり今年で国民の預貯金の総額と国の借金の総額がほぼ同じになります。この先さらに国債を発行しても、これを購入できるのは自分でお札を刷れる日銀か、あるいは外国の投資家だけになります。日銀が過半数の国債を所有すると国債の信用がゆらぎ、その利率の上昇を招きます。これに対して日銀は長期利率の上昇を抑えるためにさらに国債を買うので、悪循環となります。海外投資家は日本国債の利回りと円レートの両方を秤にかけて国債を買うので、日本の経常収支が黒字なら日本の国債を買う可能性があります。つまりこの先どれだけ日本が借金を続けられるかと言えば、日本の経常収支が黒字を続ける限りとなります。もし対外債務(海外投資家が買った国債)が対外資産を上回ってしまえば、円の暴落とハイパーインフレが起き、国家財政が破綻します。
2018年9月1日土曜日
高校還暦クラス会
高校卒業後始めて高校のクラス会に出ました。何でもこれで5回目だそうで、日本にいない事で3回ぐらい知らずに過ごしてしまいました。55人いた高校のクラスのうち既に4人が死亡しており、クラスのほぼ一割はいなくなっています。残りの九割の約半分が先日早稲田に集い、旧交を暖めました。もう一目で分かる年ではありません。白髪になったり太ったりと人それぞれです。でも生きているクラスメートの半分が参加できた事はすごいと思います。声を聞くと名前が浮かんできます。今60歳の我々はあと平均で30年生きると人口問題研究所の予想に出ています。その30年を健康で惚けずに生きる事が何よりも大事になりつつあります。最新の研究によれば、惚けないコツはよく眠る事です。
2018年8月25日土曜日
なぜ日本で少子化が進むのか
東京医科大の女子学生むけ入試減点事件が表すように、日本では女性の社会進出に多くの壁があります。働く女性に必要な保育施設も不足しています。こうして女性の収入を下げてしまうと、夫婦としての収入も減ってしまうので、子供の数が減ってしまいます。子供を持つ夫婦の収入と子供の数には明らかに正の相関があり、子育てにお金のかかる日本では収入が少ないと子供は増えません。そもそも女医が長時間働けないと言うなら、医者が長時間働かないと回らない現場の仕組みを変えなければいけません。医者は人の命を預かる仕事です。働き過ぎの医者にかかりたい患者はいません。頭の硬いオジサンが政治を牛耳っている限り、日本の少子化は進みます。
2018年8月18日土曜日
海上バスと英語
このあいだ隅田川の海上バスに乗りました。ここは浅草に近い土地柄、海外からの観光客もたくさん利用しています。ところが船上の英語のアナウンスがほんの少ししかありません。日本語だと川にかかる橋の名前をいちいち説明してくれるのに、英語だと番号だけです。英語のパンフレットに番号と説明があるのでしょう。生の英語は無理としても録音を流すだけで良いので、もっと英語の説明を増やしてほしいですね。日本語と同じ情報量の英語アナウンスが観光客には必要です。相手の身になって考えれば分かると思います。これは不親切を超えて不便という話です。英語の他に中国語と韓国語もあれば、なお良いでしょう。
2018年8月5日日曜日
人口と需要
経済学者がよく見落としがちな点が、ある国の人口増加率と需要の関係です。日本で言えば、高度経済成長の時期と人口が増えていた時期は一致しています。財務省統計局のグラフ[^1]によれば、人口増加率がピークに達したのは1973年頃で1・4%ほどありました。人口が増えるという事は需要が増えるという事ですから、何もしなくても売り上げが伸びます。よほどの事がない限り、誰が社長になってもその会社は売り上げを伸ばせた幸せな時代です。今のアメリカの人口増加率は0・7%位なので、日本の1982年頃に相当します。アメリカの需要は人口と共に増加しており、IT企業の躍進もあって景気は上向きです。ところが今の日本は人口増加率がマイナス0・2%となって、需要は毎年減っています。何もしなければ売り上げが減るので、雇われ社長には厳しい時代です。人口が減る中で需要を増やすのは難しいため、政府は海外から観光客を呼んだり、海外への農産物の輸出を増やそうとしています。しかし日銀がいくら国債を買ったり金利を操作しても、人口増加率は変わりません。
^1: http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/
^1: http://www.stat.go.jp/data/jinsui/2017np/
2018年7月29日日曜日
外国人を受け入れるという事
日本に労働者としての外国人を受け入れるという事は、外国の文化や考え方、宗教や習慣も受け入れるという事です。労働者はロボットではありません。これを読んでいる皆さんと同じ生身の人間です。共生するという事です。よそ者扱いでは上手くいきません。話し合いによりお互いに納得する妥協点を見いだす事が必要です。いずれ彼らは日本人と同じ権利と義務を要求するようになります。10年たって母国に帰らない人も出てきます。老後を日本で過ごす外国人も増えるし、不景気になったら仕事がない外国人に生活保護も必要となります。安い労働力抜きに成り立たない産業は、もはや日本で続ける事は無理なのです。
2018年7月22日日曜日
日本の夏は危険
これだけ日本の夏が暑くなると、これまでの常識は通じません。命の危険を感じるほどの暑さなので、慣習を変えて対処する必要があります。例えば学校は夏休みを長くして、その分他の休みを減らすとか、甲子園の高校野球は夏ではなく秋にやるとか、あるいはNHKの男性アナウンサーはスーツとネクタイの代わりに、クールビズでニュースを読むとか、出来ることはたくさんあります。合理的に考えて常識を変えないと、酷暑の夏はますます辛くなります。30度を超えたら水泳以外の体育の授業は止めにして、教室にエアコンのない学校は休みにする位の変化が必要です。変われない日本をそのままにしておいたら、熱中症の犠牲者が増えるだけです。
2018年7月14日土曜日
地球温暖化対策
この7月に西日本を襲った大雨は平成30年7月豪雨という名前だそうで、数十年に一度というこの大雨の原因は恐らく地球温暖化です。それにまだ7月なのに連日35度を超える猛暑日が日本で続くのも地球温暖化が原因です。トランプが何と言おうと、地球温暖化は確実に地球の天候を変えています。他の国の政策が日本の天候に影響するという事実を前に、我々はどうしたら良いでしょう。原発は地球温暖化の対策にはなりません。なぜなら原発は発電に使うエネルギーの倍のエネルギーを廃熱として海や空に捨てているからです。政府には太陽光発電を増やすように求め、個人としては避難指示が出る前に自己判断で避難する事を勧めます。太陽光発電は日陰を作る一方、温室効果ガスを出さずに国産のエネルギー源となるので、地球温暖化とエネルギー問題には一石二鳥です。
2018年7月7日土曜日
過労死をなくすには
過労死は恐らく日本だけの社会現象です。他の国でこの問題が起きない理由は簡単で、死ぬほど働かせたら従業員はさっさとそんな会社を辞めるからです。日本以外の国には、正社員・終身雇用・年功序列という制度がありません。この三点セットの代わりに、年収ベース(残業代なし)・いつでも退職可・実力主義で働くのがアメリカなどの先進国です。退職するのに会社の合意は要りません。これは会社と従業員の双方に利点があって、会社は逆にいつでも従業員を解雇できます。本人の合意は要りません。このため従業員を長時間働かせるブラック企業は存続できません。また就職に際して年齢・生年月日・性別による差別は法律で厳しく禁じられています。余剰人員を抱えておく必要がないので、利益のある会社は常に新しい人を探しています。レイオフがあっても手切れ金と雇用保険で数ヶ月は暮らせるので、不況業種でない限り次の仕事はその間に見つかります。さらに定年が無いので、会社に役立つ人は実力次第でいつまででも働けます。こうしたアメリカの働き方は労使双方に利点が多いと思いませんか。正社員・終身雇用・年功序列という制度はただの慣行です。年功序列は年齢による差別なので憲法違反ですらあります。法律を変えて、いつでも退職可能な社会にすれば過労死はなくなります。
2018年7月2日月曜日
静かな災厄
日本の人口問題は静かな災厄です。すでに1990年には予想されていた事なのに、時の政権が本気で対策を立てなかったため、いまや大きな問題になっています。要は労働人口の減少が激しいため、日本の税金や年金システムが維持できないという問題です。子供や孫の承諾なしに3世代ローンを組んだお父さんが、借金を返す当てもないのに浪費を続けているのが日本の現状なのです。日本の労働者の可処分所得はこれから毎年減って行きます。税金を増やさざるを得ない事情が日本の政府にあるからです。日本のサラリーマンにできる事は海外のファンドに投資する位しかありません。日本にはあまりリスクを取って投資するという人がいません。でも有望な投資先は海外にあります。もし貴方が日本のサラリーマンなら、海外のファンドに投資する事をお勧めします。
2018年6月29日金曜日
育ての親
カンヌで賞を取った「万引き家族」という日本映画を視ました。日本の映画はアメリカ映画に較べると「オチ」がないという傾向があって、この映画も物語にこれといった結末はなく、後は皆さんご自分で考えてという終わり方をしています。それはそれで良いとして、個人的に気になったのが「育ての親」と「生みの親」との対比です。アメリカは養子が一般化しているので、育ての親が生みの親より大切という社会常識があります。これに対して映画では血縁が強調されているので、日本では今でも生みの親が育ての親より大事なのでしょうか。まあこれは映画の中では曖昧なので、疑似家族となった貧乏人の人情話として視れば色々と考えさせられる良い作品です。子役の演技が光ってます。
2018年6月16日土曜日
読解力不足
先週「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」という本を読みました。いや〜衝撃的な話です。日本人の学力低下の噂は前から聞いていました。でもこれほどとは知りませんでした。著者の新井紀子氏が「小学校から英語やプログラミングを習う前に日本語の読解力を」という提言をするのも、もっともです。大学に入る学生の学力低下は、希望すれば誰でもどこかの大学に入れる以上避けられません。それより中学卒業までに基本的な読解力を付け損ねている今の教育って何なんでしょう。教育の目的そのものが的を外しているのでしょうか。漫画しか読まない若者や子供の将来と、その人たちが背負う国の未来が不安です。AIにできない仕事は読解力を必要とするか、あるいは手足を必要とする仕事です。以前筆者が書いたように、世の中にはコンピュータを使う仕事か、コンピュータに使われる仕事しかありません。
2018年6月5日火曜日
偽ニュース
インターネットが普及した結果、いわゆる偽ニュースが社会問題になりました。自分の意見を持たず、耳障りの良い話を無条件に信じてしまう人はたくさんいます。そこで偽ニュースに騙されないためには、人の話を疑うという教育が必要です。もし「〜と言われています」と話す人に出会ったら、「誰がそういったの?」と訊いてみましょう。出所が不明な話は偽ニュースである可能性が高いのです。そもそもテレビや新聞の広告は、その手の出所不明な話だらけです。たとえば「いまアメリカで話題の」という枕詞があれば、その後に偽ニュースが続くと思って間違いありません。裏が取れない話を鵜呑みにしていては危険です。
2018年5月28日月曜日
水道水が飲める国
筆者が訪れた国の中で言うと、ペルーと中国は水道水がバクテリアで汚染されているので飲めません。上水道の浄水システムが不十分なのです。同じく水洗トイレで紙を流せないのも両国の不便な点です。でも日本やアメリカのように水道水がキレイで飲めるとか、水洗トイレに紙を流して良いという国は実は世界の少数派です。水道水が飲める国は世界でほぼ25カ国しかないそうで、大部分はヨーロッパにあります。アジアでは日本とUAEだけ、オーストラリアとニュージーランドは大丈夫です。日本人にとって当たり前の「水道水が飲める」という常識は、実は日本と一部の国以外では通用しません。ドイツも水が安全とはいえ硬水でまずいので、ビールを水代わりに飲みます。イギリスの水も石灰の多い硬水なので、緑茶はうまく入れることができません。ただし紅茶ならイギリスの水でも大丈夫です。日本で緑茶が普及したのは、美味しい軟水が簡単に手に入るからです。
2018年5月19日土曜日
実質GDPがマイナス
日本の1月から3月までの実質GDPがマイナス[^1]となりました。野菜やガソリンの値上がりが国内消費を減らした事が主な原因だとされています。これ自体は消費税増税と同じく一時的な現象のようです。ところがこうした生活必需品の値上がりが消費を減らすと困る事があります。政府と日銀は毎年2%前後の物価上昇を狙っています。でも物価上昇の分だけ消費が減ると、結局売り上げは伸びません。つまり毎年2%の物価上昇が実現されると、人口減少を無視しても毎年2%の売り上げ減少が起きてしまいます。今の企業はコストが上がったので価格を上げているのであって、需要に供給が追いつかないから物価が上がるのではありません。こうしたコスト増のインフレでは庶民の生活は逆に苦しくなります。儲かっている企業が内部留保を賃金の増加に回し、なおかつ次の成長分野に投資する事が必要です。賃金の伸びを上回るインフレは生活苦につながる事を庶民は忘れてはいません。日本は海を利用した食料事業と、地産地消の自然エネルギー事業にもっと投資するべきでしょう。
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30567790W8A510C1MM0000/
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30567790W8A510C1MM0000/
2018年5月5日土曜日
日本はお金を使いすぎ
日本の人口減少は止まりません。人口の減少はこれからペースを上げ、日本の人口が一億人を切るのは2050年ごろと予想されています。今からたったの32年後です。今60歳以下の人はほぼその頃まで生きて、この減少を目撃することになります。2050年には65歳以上が人口の4割になります。そこで人口減少よりも大きな問題は労働人口の減少です。働いて税金や年金を払う人の数が減るという事は、今の税制や年金制度を維持できないという事です。ではどうすれば良いでしょう。道はふたつです。移民を受け入れて労働人口を増やすか、あるいは財政支出と年金支出を減らすかです。今の日本人は移民に消極的なので、可能なのは財政支出と年金支出を減らす事です。いかに支出を減らしつつ、日本という国を維持するかという話です。これは誰も聞きたくない話なので、政治家はこの話はしません。官僚も問題先送りで、国民も「いかに上手に縮むか」という議論を避けてきました。でも市町村の合併や増税は続きます。消費税だって25%まで上げないと財政は単年度で黒字化できません。今の日本はお金を使いすぎなのです。
2018年4月29日日曜日
日銀の白旗
日銀がついに年間の物価上昇率2%という目標[^1]を取り下げました。日銀がインフレを起こすという、おかしな目標を立てて始めた異次元の大量緩和に限界が見えたという事です。世の中に出回る国債をほぼすべて日銀が買い取るという異常な状況は長くは続けられません。発行された国債の過半数を日銀が所有するという事態は、日銀としても避けたい[^2]のでしょう。日本のような人口が減る国でインフレを起こすのは無理ですし、そもそもインフレを起こして景気が良くなる事などありません。大量緩和には円安を作り出すという隠れた目的もあるので、今すぐには止められません。でも東京オリンピックの建設特需はもうすぐ終わり、他に日本で需要を生み出す機会は見当たらないので、以前のデフレの経済に戻ります。いかに上手に縮むかというのが、人口減少日本の本当の課題なのです。
^1: https://www.jiji.com/jc/article?k=2018042700909&g=eco
^2: https://www.asahi.com/articles/ASK9N351NK9NULFA006.html
^1: https://www.jiji.com/jc/article?k=2018042700909&g=eco
^2: https://www.asahi.com/articles/ASK9N351NK9NULFA006.html
2018年4月15日日曜日
変われない日本の象徴
日本の自家用車はオートマ車が過半数を占めています。それなのに右足でアクセル、左足でブレーキという両足運転を教習所が採用しないのはなぜでしょう。特にAT限定免許なら両足運転を教えない理由がありません。両足運転ならブレーキと間違えてアクセルを踏むという事故も防げます。筆者には、これが「変われない日本」の象徴に見えます。合理的な判断ができない理由は何でしょう。制度を変えると何か問題が起きたときに変えた人の責任になるからでしょうか。今の制度が生む問題は、その制度を変えない人の責任です。役所ではなく立法府である議員が動かねばなりません。何もしなければ、高齢化とともに「ブレーキと間違えてアクセルを踏む」という事故は増え続けます。
2018年4月2日月曜日
自動運転はまだ先の話
自動運転の車が事故を起こした時に誰が責任を取るかは、まだ法律上決まっていません。建前として今の自動運転はあくまでも運転支援であり、車には免許を持った人間が責任者として運転席に座っている必要があります。自動運転の試験中に死亡事故を起こしたウーバーは、おそらく会社と運転者の両方が責任を取ることになるでしょう。自動運転は人間の運転より安全でなくては意味がありません。IT業界は自動運転の実用化を急いでいます。でも人間の運転より安全な自動運転はまだまだ先の話です。
2018年3月25日日曜日
バスの代わりに白タク
日本で自家用車が普及し地方の人口が減るにつれて、儲からないバス路線をどうするかという議論が始まっています。結論は誰の目にも明白です。儲からないバス路線は廃止です。では代わりの足をどう確保したらいいでしょう。そこで必要なのがウーバーのような自家用車を使ったタクシーサービスです。旧態依然の古い法律をなかなか変えない日本は世界の流れに取り残されています。IT技術が個人の信用度を記録する世界では、自家用車を使ったタクシーがプロのタクシーに安全性で劣る理由がありません。それにだれでも「白タク」ができるわけではなく、ウーバーなどの会社は最初に車と運転者を検査してからメンバーに加えます。ウーバーとリフトという二つの会社がタクシーサービスを提供するアメリカで、タクシー会社のタクシーを使う人は減っています。東京、名古屋、大阪といった大都市以外は「白タク」を解禁するべきです。自己責任という発想がない日本では、なかなか新しい事ができません。でも税金で赤字路線を維持するのは税金の無駄遣いなので、法律を変えましょう。
2018年3月3日土曜日
男女同権に必要なもの
アメリカにいると、男女同権について日本との違いによく気付きます。アメリカも最初から男女同権だったわけではありません。建国当時のアメリカ人女性には参政権がなかったし、サン・フランシスコの有名なケーブル・カーだって外のステップに乗れるのは男性だけでした。女性が発言する事で権利を獲得し、さらに実績を積み上げてきた歴史があります。アメリカで女性が大統領になるもの時間の問題です。この国では大学に入ると親元を離れて大学の寮に入るのが普通です。これは大学の方で決まりとして新入生に寮生活を義務づけているので、ほとんどの大学生は18歳で親元を離れます。その後は大学周辺のアパートに住む学生が多く、自炊して学生を続ける人が多くなります。つまり大学入学とともに親が子供と物理的に分かれるので、母親が毎日の息子の食事を作るのも18歳までです。日本では母親が成人した息子の面倒を見てしまうので、結婚しても女性が家事をする姿に男性は疑問を持ちません。それに普段から自炊の経験がなければ、男性が食事を作ることはできません。日本で男女同権を進めるには、まず母親が成人した息子の面倒をみるのをやめたらどうでしょう。小さい頃から家事を手伝わせておけば、成人しても家事をする男になります。これは離婚率を下げるので、母子家庭を減らして少子化と貧困の両方を同時に解決できる可能性があります。
2018年2月24日土曜日
日本の財政赤字問題
日本の累積財政赤字額は、2017年に国と地方の合計では1100兆円まで膨らみました。日本の名目GDPは544兆円なので、赤字額はGDPのほぼ2倍に相当します。アメリカの財政赤字はアメリカのGDPにほぼ等しいので、日本の赤字額はGDP比でアメリカの倍になります。しかも日本の累積財政赤字額は毎年増えており、減る目処がまったく立ちません。経済学者は人口の影響を過小評価しがちで、日本のような経済規模の大きな国で急速に人口が減る事例も過去になかったために、的外れの議論ばかりしています。日本の財政を維持するには方法は二つしかありません。納税者を増やすか、老人を減らすかです。今のままでは増税をしても納税者が減るので、累積赤字額は減りません。納税者は増やせないし老人は減らせないのであれば、財政の維持をあきらめて支出を大幅に削減しなければいけません。もし財政赤字問題をこのまま解決できなければ、日本中が夕張のようになってしまいます。
2018年2月6日火曜日
2017年の実質賃金は0・2%の減少
今日の日経記事[^1]によれば、2017年の実質賃金は0・2%の減少となりました。エネルギー価格の上昇が物価高につながる「悪いインフレ」が日本で起きた反面、賃金があまり上がらなかったのが原因です。エネルギーを自給できない日本の弱点が露呈しています。法律を変えて手切れ金による解雇を許し、そのかわり定年などの年齢(生年月日)による差別を処罰する法律が必要です。終身雇用や年功序列を止めることで賃金を増やし、人口減少を上回る需要増加を実現するのが目的です。雇用を生み出す責任は国にあり、企業にはありません。戦時中に兵隊に取られた労働者には、戦後に元の仕事に戻れるという終身雇用制度が必要でした。でも平時の日本では終身雇用という判例は誰の役にも立っていません。企業には人材の固定化と人件費の高止まりをもたらし、労働者には非正規労働の増加と賃金の低下を押しつけています。儲からない仕事はすぐやめて、もうかる仕事に人を投入できる制度が必要です。変わり身の早い企業でなければ21世紀は生き残れません。国内需要だけで生きていける時代はもう終わったのです。
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26621980X00C18A2MM0000/
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26621980X00C18A2MM0000/
2018年1月27日土曜日
現金大国日本
2018年4月からイオンのお店で、デビット・カードを使うと銀行口座からレジで現金を下ろせる[^1]という報道がありました。1986年に筆者がアメリカで働き始めた時、アメリカの銀行口座からお金を下ろすにはATMに行くか、スーパーのレジで下ろすという手段がありました。その頃のアメリカで当たり前だったデビット・カードを使う方法がやっと日本でも始まったという事です。その後アメリカは現金離れが進み、今やスーパーでもクレジット・カードかデビット・カードを主に使います。小切手を使う場面も少なくなり、かわりにApple Payのようなスマホで払う人が出てきました。スーパーとしては現金を銀行に持って行く頻度が減るので、レジで現金を下ろせるのはスーパーとお客の両方に利点があります。日本はクレジット・カードがあまり普及していないので、現金を使う場面はまだたくさんあります。ATMの維持費や現金配送のコストは銀行にとってなるべく減らしたいコストなので、レジで現金を下ろす際には1回あたり上限を1万円までとして、手数料は無料にするのが良いでしょう。
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24737860W7A211C1MM8000/
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24737860W7A211C1MM8000/
2018年1月13日土曜日
AI時代の人間
人工知能(AI)が人間を置き換える未来という予測があります。その未来では普通の人間には仕事がありません。AIを搭載したロボットが必要な仕事をすべてやってしまうので、週に40時間しか働けない人間はお払い箱なのです。そうしたロボットには税金をかけるので、仕事のない人間はベーシック・インカムという生活保護的なお金をロボットからもらいます。さてこれで飢える心配はないとして、やる事のない人間は暇で仕方ありません。働かなくても食べられるという楽園のような生活が実現したとして、暇な人間は何をしたらいいでしょうか。ゲームですか。芸術活動ですか。それとも人助け?人間の基本的な承認要求を満たすにはどうしたらいいでしょう。人から「ありがとう」と言われるには何が必要でしょう。頭を使わなくなった人間は猿に戻ります。AIを使う一部の人間だけが頭を使い、他の人間が朝から晩までゲーム漬けという未来は歓迎できません。
2018年1月7日日曜日
ペルーの様子
年末年始の休みを利用してペルーに家族旅行してきました。ペルーはスペイン語の国なので、英語はあまり通じません。首都リマの国内線のカウンターで、荷物を預ける時に英語が使えなかったのにはびっくりしました。挨拶とか数詞とかの初歩的なスペイン語を少し知っていると便利です。旅行には英語が話せる現地のガイドを雇いました。貧富の差が大きく人口も増え続ける、いわば発展途上の国がペルーです。「センデロ・ルミノソ」によるテロの危険がなくなった今、旅行で訪れる南米の国としてはペルーはお勧めです。トイレで紙を流せないので、日本からウォシュレットを富裕層に売り込むと良いでしょう。自動車はすべて輸入品です。リマの交通渋滞はひどく、公共交通機関が人口の増加に追いついていません。リマにはバスの専用道路と駅があって、地下鉄のかわりを勤めています。
2017年12月17日日曜日
国会と喫煙
日本の国会は喫煙自由だそうで、どうりで日本で公共の場での禁煙が進まないワケだと納得しました。国会議員自身がタバコ好きである以上、禁煙の議論が進まないのも分かります。まず国会を禁煙にする所から始めないとダメです。タバコが煙害を他人に及ぼす公害である以上、法律で規制すべきですし日本はその点でアメリカに遅れています。州によって多少違うものの、公共の場での禁煙はアメリカだと普通になりつつあります。それは喫煙者が少数派になったからで、タバコの税金を思い切って上げた結果です。タバコは健康を害し火事の元にもなり、税収以上の損失を日本に与えています。タバコが原因で病気になり健康保険が圧迫されるなら、高い税金でタバコの消費を減らし健康保険の赤字を防げば一石二鳥でしょう。タバコ農家には転作奨励金を3年出して、人の健康に役立つ作物に切り替えてもらえば良いかと思います。
2017年12月1日金曜日
少子高齢化は不可避
「少子高齢化を克服する」ためには何々が必要という意見をよく聞きます。でも少子高齢化は止まりません。高齢化は人が長生きする事と同じですから、時間が経てば経つほど高齢者の数が増えます。また子供を産む女性の数が減っているうえ、ひとりの女性が生む子供の数が平均1・2人ですから、時間と共に子供の数も減ります。このさき人口の半分が高齢者となる日本で、一体誰が働いて税金を納めてくれるのか、年金を稼いでくれるのかという問題です。「少子高齢化を克服する」という命題は立派です。でも現実には「少子高齢化」は克服できません。あたかも「少子高齢化」を防げるような議論は時間の無駄です。
2017年11月18日土曜日
日本がなくなる
林修先生おすすめの「未来の年表」という本を読んだ事がありますか。副題にあるように「人口減少日本でこれから起きること」が年表の形で書いてあります。人口の推移は移民に門戸を開かない限りほぼ予測できるので、この本にある事はまず間違いなく起きるでしょう。筆者にとって衝撃的だったのは、日本の人口減少はもはや阻止できないという事実です。これは子供を産む女性の減少が原因です。ひとりの女性が生む子供の数が平均で1・2人と少ない上、女性の数そのものが減っています。この結果指数関数的に日本の人口が減っていくのです。東京でオリンピックが行われる2020年ですでに女性の過半数が50歳以上になります。2025年には東京都の人口も減り始めます。いずれ日本人がみな死に絶えて日本人がゼロになるまでの時間すら分かっています。もちろんその前に日本は外国に乗っ取られるでしょうけど、今の若者はこうした現状をどれだけ分かっているでしょうか。人口の減少は労働者と消費者の減少につながり、国力を減らします。いくら自衛隊があっても、入隊する若者がいなければ日本は守れません。残り少ない老人ではなく、未来がある若者が考えなければいけない問題です。
2017年11月10日金曜日
博物館にもっと英語を
日本滞在中に上野の科学博物館に行ってきました。特別展のアンデス文明展は及第点、常設展は落第でした。いえ展示内容ではなく説明に英語があるかどうかという話です。上野の博物館なら外国人が来るのが当たり前、それなのに展示の説明が日本語のみで、あれでは外国人はがっかりです。今の科学博物館は旧館で日本の地質や動物を、新館でそれ以外の展示をしています。日本の地質や動物について知りたい外国人が旧館に来ても、説明が日本語だけだと何の助けにもなりません。展示の説明を英語でも表示すると海外からのお客が増えるだけでなく、日本人にとって英語の勉強にもなります。上野の博物館は日本を代表する知識の館です。ぜひ英語の説明を完備して下さい。
2017年11月6日月曜日
9月の実質賃金0.1%減
日経によると日本の実質賃金は4カ月連続でマイナス[^1]だそうです。巷では景気が良いような話も聞く一方で、労働者の実質賃金は下がる傾向があります。これには非正規労働者の増加という面と格差の拡大という面があります。非正規労働者の増加が源で、格差の拡大がその結果です。日銀が大量にお札を刷って国債を買ったため、政府の思惑通り円安になりました。円安は輸出額の増加と輸入物価の上昇をもたらし、一時的に「景気が良い」ような錯覚を日本国民に与える事に成功しています。しかし実質賃金が上がらなければ労働者の生活は楽になりません。日本で株高の恩恵を受けているのは一部の投資家のみで、大部分の国民には大量の国債がツケとして残されています。日本のような急激に人口が減少する国では「いかに上手に縮む」かが問われるのに、既存の経済学にはその答えがありません。それは「人口が時間と共に増える」というのが経済学の前提になっているからです。もし日本人が経済学でノーベル賞を取りたければ、世にも稀な人口減少下の経済をきっちり研究すると良いでしょう。
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23178360X01C17A1EAF000/
^1: https://www.nikkei.com/article/DGXMZO23178360X01C17A1EAF000/
2017年10月21日土曜日
日食と天気
皆既日食の時には気温が摂氏で10度ぐらい下がります。1時間ぐらいかけて太陽が月に隠れていくと、肉眼では分からないものの肌に受ける太陽のエネルギーは着実に減っていきます。つまり太陽の光を浴びても暖かく感じなくなっていくのです。これは他にはない体験です。夏の日差しが冬の日差しになるような、明るいのに暖かくない光に変わる現象です。半袖では寒くて仕方ないので、長袖の上着を着ました。それとともに風が吹きます。気温が下がるという事は気圧が下がるという事ですから、周りの暖かい場所から空気が入ってきます。皆既日食ではもちろんそこが一時的に夜になり、真っ黒な太陽が見えるという事は知っていました。でもこれほど気温が下がって太陽の有り難みを感じるとは思いませんでした。何も知らない昔の人はさぞかし日食が怖かったろうと思います。
2017年10月14日土曜日
2大政党制?
アメリカには共和党と民主党という2大政党があり、一般には2大政党制の国となっています。なぜふたつの大政党があるかと言えば、そこには国を2分する課題があるからです。共和党は「小さな政府」と「自助努力」を目標とし、その反対に民主党は「大きな政府」と「社会福祉」を目標としています。「小さな政府」とは税金が少ないし社会福祉も少ない、いわば「究極の資本主義」を表しています。一方「大きな政府」では税金が多いけど社会福祉も多いという「社会主義的資本主義」を狙っています。アメリカはこの「小さな政府」と「大きな政府」の間を常に揺れ動いています。ひるがえって日本の現状はどうでしょう。日本には国を2分する課題があるでしょうか。国民全員が「少ない税金」と「手厚い福祉」を求めていませんか。サウジアラビアのようなオイル・マネーのある国ならいざしらず、日本には無理な相談です。その結果日本の選挙では憲法改正とか原発問題が取り上げられています。でもそれは国を2分するような課題ではありません。憲法改正しなくたって自衛隊は存在するし、原発だってこれから何年も稼働し続けます。すべての政党が「歯止めのない財政赤字」という大問題に背を向ける限り、将来の日本は一部のお金持ちと貧乏人だらけになってしまいます。
2017年10月7日土曜日
医者のシステム
アメリカの医者は予約制がほとんどで、急患の場合は平日の昼間ならクリニックの救急外来に行き、夜間や休日だと病院の緊急室に行きます。子供の発熱程度だとまず担当の看護師に電話で相談して、医者に診せた方が良いとなると急ぎの予約を入れるケースもあります。予約はすぐには取れない場合があり、そのかわり処方箋なしで買える薬は種類も多く安いので、医療費の高いアメリカで安易に医者にかかる人はいません。病院は看護師とボランティアが中心で、医者は必要に応じて病院にやってきます。病院は主に手術する所であり入院する所です。クリニックは検査をしたり診断する所で、病院とは棲み分けができています。個人で開業している医者は、近くの病院やクリニックと契約を結んで、自分のオフィスでは不可能な検査を外注します。X線CTやMRIなどの高価な検査機器は病院やクリニックにあるので、開業医が所有する必要はありません。
2017年10月5日木曜日
また過労死?
アメリカで働いていて良かったと思えるものは、ここには過労死がないという事です。日本のような悲壮感を持って働いている人はいません。人を雇うのもクビにするのも簡単にできるアメリカでは、労働者から見ればクビになってもすぐまた次の仕事が見つかるという話です。過労死が起きるほどの長時間労働をさせると、たいていのアメリカ人労働者は他の会社に移ってしまいます。もちろん若者は暇なので、朝昼晩の食事をタダで提供すれば毎日12時間ぐらい働いてくれます。でも家族持ちはそうはいきません。子供の送り迎えや育児などで夜は誰も会社で働きません。家からインターネットで働く人もせいぜい夜の8時でいなくなります。それに長時間労働だと仕事も現状維持がせいぜいで、画期的なアイデアは浮かびません。日本の生産性が上がらないのは、経営者の頭が硬くて長時間労働の欠点が見えていないからだと筆者は思います。
2017年9月20日水曜日
さらに国債を増やす日本
日銀が2%の物価上昇を諦める中で、今度は政府が2020年度のプライマリー・バランスという目標を引っ込めました。つまり国債を増やせるだけ増やして子供や孫への借金を増やしたあげく、消費税増税によって増える税収を国債を減らす事に使うのではなく、選挙で反対の少ない「教育費の無料化」に使うという話です。今まで日本はどちらかと言うと「アリとキリギリス」のアリの生き方をする国だと思っていたのに、こうなるとキリギリスの生き方をする国になったかとガッカリです。人口が増えるアメリカと同じ事をやっても、人口が減る日本はアメリカのような経済成長はできません。増税と支出削減を同時にやって累積赤字を減らさないと、日本の将来に希望を持てない若者が増えるだけです。借金まみれの日本を子孫に残すのは、今の大人が無責任だからです。
2017年9月9日土曜日
第一世代の移民
アメリカの強みは移民のハングリーさにあります。アメリカに来てすぐの移民は第一世代の移民と呼ばれ、なんらかの理由があって祖国からアメリカに来た人たちです。戦争、迫害、弾圧、貧困など命の危険を感じて祖国を去る人は昔も今も変わりません。こうした人たちは言葉に不自由しながらも、アメリカで自立するために死ぬ気でがんばります。第一世代の移民に独特のこのやる気は貴重です。彼らが経済的に成功して子供を大学にやると、このやる気はそこで失われます。第二世代はもう言葉にも不自由せず自己認識も十分にアメリカ人なので、移民特有のハングリーさはもうありません。つまり移民による経済の活性化は一世代しか続かないので、アメリカは常にある程度の移民を必要としています。
2017年9月1日金曜日
日食の混雑から学んだ事
オレゴンの日食旅行には実はおまけが付きました。帰りの高速道路がめちゃくちゃ混んだため、なんと予定の飛行機に乗り遅れてしまったのです。そのためポートランドにさらに一泊して、ロス経由で6時間かけて帰る始末。これだけ道が混むとグーグル、アップルやウェイズの地図アプリはまったく役に立ちません。高速道路で2時間かかるとアプリは言うのに、渋滞のため6時間かけてもまだ飛行場には着きませんでした。明らかに過去のデータに頼るAIの限界です。またオレゴン州にとっても史上始めての混雑だったと思います。ただいつも我々が信用して使っている地図アプリなので、人間の方が自分の頭で判断する事を止めていました。ラジオで言っている混雑状況とアプリが言っている予想到着時刻が矛盾した場合、ラジオで言っている事を信じるべきなのです。いつもAIに頼るのではなく、いつAIを使うのを止めるかを考えるのも人間の責任です。今回は自分の判断力がアプリのせいでかなり衰退している事に気が付いた旅行でした。こうした地図アプリは普段は便利でも、天変地異や皆既日食のような大きな事件が起きると頼りにならないという事がよく分かりました。
2017年8月23日水曜日
皆既日食2017
カリフォルニアのすぐ北にあるオレゴン州で皆既日食が観られるとあって、一年前から宿を予約して週末にオレゴンに行ってきました。筆者にとって生まれて始めての皆既日食は本当に素晴らしい体験となりました。ただ残念なことにカメラではそのすべてをお伝えすることができません。プロの撮った写真は確かに肉眼で観た太陽に近いけれど、やっぱり違います。黒い太陽の周りに広がる白い糸のようなコロナを写真では表現できません。以下の短いビデオは筆者が携帯で撮ったものです。太陽は露出過多になり、実物よりも明るく写ってます。目の感度が昼間のまま周りだけ夜になるので、実際にはもっと暗い空に太陽が浮かんで見えます。双眼鏡で赤いプロミネンスもしっかり見えました。人間の目は見える明るさの範囲がカメラより広いという事ですね。1分以内に昼から夜に変わります。全方向に夕焼けが出現する不思議な景色です。
https://youtu.be/_PMEviqGOqA
https://youtu.be/_PMEviqGOqA
2017年8月15日火曜日
アメリカの宅配事情
アメリカの場合、宅配業者は届け先が不在ならどんどん玄関先に配達した箱を置いていきます。よほど高価なものでないかぎり受け取りのサインは要らないので、再配達は要りません。また郵便の場合は、不在だと箱のかわりにピンクの紙を置いて受取人に郵便局まで取りに来させるので、やはり再配達は要りません。このため郵便局は土曜日も開いています。さらにアパートやマンションだと宅配ボックスがあるので、ある程度の大きさなら宅配ボックスに入ります。自分の勤め先の会社のサービスとして、会社に配達してもらって会社で受け取るという事もできます。再配達が必要になるのはパソコンなど高価な物を注文した時で、この場合はFedexに電話して受け取りの日時を調整します。ふだんの通販で再配達が必要になる場合はありません。
2017年8月12日土曜日
日銀の時間稼ぎ
日銀が2%物価目標の達成時期をまた1年遅らせ、2019年度ごろと発表しました。オオカミ少年の物語を思い出すまでもなく、もう世間の関心は日銀の物価目標から離れています。基本的に日銀のやっている事は時間稼ぎです。お札を刷って銀行から国債を買う事で日本に出回る円の量を増やし、インフレ期待を煽りました。その一方で昨年からは国債の10年物の利率をゼロパーセントに誘導するという方法で、国債の利払いを抑制しています。国債発行残高は着実に増えているので、政府の赤字財政を日銀が間接的に支えている構図です。国債の利率がゼロだと銀行の預金利率もほぼゼロとなり、それにつられて物価も上がりません。つまり日銀はあえて矛盾した施策をやっているわけで、それは政府に時間を与えるためです。この間に消費税を上げて社会保障費を減らす事ができれば日本の成長期待が上向きます。ところが2年ごとに選挙がある日本では、落選が怖くて不人気な政策を実行できません。高齢化による人手不足を補うため賃金の上昇が続く一方、コストの増大に耐えられない企業はAIやロボットを使って雇う人の数を減らそうとします。こうして神風が吹くのを待っている間にも、日本の基礎体力は確実に落ちていきます。
2017年8月5日土曜日
やる気は最低の日本社員
読売新聞の記事[^1]にあるように、日本の会社員のやる気は世界の最低レベルです。それでも日本のGNPはそれなりに高いので、やる気とGNPに直接の関係はなさそうです。筆者はむしろこのやる気の低さが生産性の低さにつながり、それが日本の労働時間の長さを生んでいるのかなと思います。日本はご存じのように就職ではなく就社なので、本人の希望と実際の仕事が一致する事は稀です。つまりほとんどの会社員はお金のために働いているので、仕事へのやる気が低いのは当然とも言えます。アメリカの真似をしていれば食べられた時代が終わり、お手本がない時代にやる気の低い社員ばかりでは会社は傾きます。過去の成功体験を単に模倣するだけでは売り上げは伸びません。日本の雇用慣習はもはや賞味期限切れなのです。時代の変化に対応するには、終身雇用を止めて人が転職しやすい雇用体系にする必要があります。手切れ金による解雇の容認と、年齢(生年月日)や性別、家族構成など本人の仕事の能力以外での差別を禁止する法律が求められています。
^1: http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170714-OYT8T50014.html?page_no=1
^1: http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170714-OYT8T50014.html?page_no=1
2017年7月31日月曜日
富裕層のお金
九州をめぐる列車の旅が100万円とか、腕時計ひとつで200万円とかいう話を聞くと、ホントに日本にはお金が余っている富裕層がいるんだなと感じます。そうした富裕層がお金を使うのは日本の経済には良いことなので、高額列車の旅や実用を超えた値段の腕時計があってもかまいません。ただもしあなたがそうした富裕層のひとりで、使い道のないお金を持て余しているのなら、ぜひあなたのお名前で社会貢献にお金を使ってみてはいかがでしょう。お金が使えるのは生きている間だけです。お金に生き金と死に金があると言ったのは龍馬伝の坂本龍馬です。同じ100万円や200万円でも、人に自慢するために使うのではなく社会に役立つために使えば生き金になります。自分へのご褒美というなら何も言いません。でもそのお金の使い方、生き金になっていますか。
2017年7月22日土曜日
若手の提言
中長期的な日本の社会の在り方に関する次官・若手プロジェクトの提言「不安な個人、立ちすくむ国家」という報告[^1]が経済産業省のサイトにあります。少子高齢化の荒波をもろに受ける世代の提言として、これはとても興味深いものです。政治から中立であろうと努力した若手の苦労も忍ばれます。若者に活躍の場がないというなら、若者の投票率の低さにも言及して欲しかったのですが、それはともかく報告の6ページにある『かつて、人生には目指すべきモデルがあり、 自然と人生設計ができていた。今は、何をやったら「合格」「100点」か分からない中で、 人生100年、自分の生き方を自分で決断しなければならない。』という指摘には苦笑してしまいました。いかにも日本人らしい発想です。一体どんなモデルが目指すべき人生だったのでしょう。60年近く生きてきた筆者は今までそうしたモデルを見たことがありません。もちろんこの報告の骨子はこの部分ではないので、ツッコミはここまでにします。彼らの提言は「年金の支給は75歳にからにして、老人にかかるお金を減らそう」という事であり、少子化を止められない以上、「前期高齢者には働いてもっと税金を納めてもらい、現役世代にもっとお金を回そう」という事です。筆者はこれに異論はありません。そしてその実現には大きな政治力が必要な事も確かです。問題の指摘と解決策の半分はこの報告にあります。残りの半分はその解決策を実現するために必要な政治力をどう手に入れるかです。そうした政治力を少数派の若者に持たせるには、1歳以上のすべての国民に選挙権を与え、その保護者に代理で選挙権を行使させるのが良いと筆者は考えます。ツケを支払う世代にも選挙権を持たせるのは、今のシルバー民主主義を是正する良い方法だと思います。
^1: http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf
^1: http://www.meti.go.jp/committee/summary/eic0009/pdf/020_02_00.pdf
2017年7月15日土曜日
年金は誰が稼ぐのか
日本の会社では新卒を面接して誰を選ぶかを決める一つの基準として、「この人は自分の厚生年金を稼いでくれるのか?」という見方をします。これはなにも厚生年金に限りません。世代間の仕送り制度に基づく国民年金でも同じです。日本のように子持ちに不利な社会では少子化が進み、将来の年金の払い手がいなくなります。保育士の給料を低いままに抑えたり、子供のいる女性を職場から排除するという事を続けた結果が日本の少子化です。そこで世のオジサンたちに質問します。あなたが年老いた時、誰があなたの年金を稼いでくれるのでしょう?
2017年7月8日土曜日
歯科医療の違い
アメリカの歯科医療は予防に力点を置いています。歯周病予防のため半年に一度のクリーニング(歯垢除去)には保険が使えます。加入しているデンタル保険の種類によっては、無料でクリーニングできる事もあります。虫歯を治療する場合、かぶせる物(クラウン)は歯と同じ色のセラミックを使います。日本でよく目にする銀歯はニッケルを含むので、金属アレルギーを避けるため使いません。クラウンの内側は柔らかい金を使い、歯の土台になじむように作ります。歯科治療が日本より高度で高価なため、アメリカ人は子供のころから虫歯にならないよう気を付けていて、毎食後にフロスしたり歯を磨く人は珍しくありません。子供の歯にフッ素を塗るのも保険が使えますし、歯並びが悪いと虫歯になりやすいので、歯の矯正にも年間千ドルまで保険が使えます。
2017年7月1日土曜日
格差拡大のもうひとつの理由
同じぐらいの年収の人の結婚がアメリカで増えています。女性の教育レベルが上がり、収入の高い仕事につく人が増えると、教育レベルや収入が同じ人同士が結婚する事には明らかに利点があります。まずどちらかが仕事を失っても、経済的にはすぐに困る事はありません。健康保険も勤め先を通じてお互いに配偶者として加入しているので、アメリカで失業した時に一番問題になる「健康保険がない」という事は避けられます。また教育レベルが同じなら話も合うし、お互いの知り合いが集まっても話題に困るという事がありません。つまり離婚の可能性がぐっと減るという事です。ところがこの結果カップルの格差が拡大するという新たな問題が起きています。大卒と高卒という組み合わせが減り、大卒と大卒、高卒と高卒というカップルが増えるからです。高卒のカップルの子供が大学に行くのは経済的にとても難しいのがアメリカの現実です。
2017年6月25日日曜日
日本問題の解決策
前回は、増大する累積財政赤字、制度的に維持できない年金、止まらない少子化の三つが日本問題だと定義しました。今回はその解決策を考えます。政策的に可能かどうかはひとまず置いて、まず選挙制度を変えます。1歳以上18歳未満の子供にも選挙権を与え、その保護者に代理で投票してもらいます。財政赤字や税による年金補填問題は子供や孫のお金を横取りする行為なので、子供や孫にも意見表明をしてもらうためです。次に年間10兆円もの税金を国民年金に回す事をやめ、そのお金を子育てと教育に使います。国民年金の支払い額がこれで今の半分になるので、それで足りない人は生活保護で救います。増大する生活保護費用は、防衛費を削ることで捻出します。財政赤字を減らすには支出を減らし、収入を増やすしか手がありません。毎年5%ずつ国家予算を減らし、すべての支出項目を均等に5%ずつ減らします。これを10年続けて予算額をほぼ半減します。一方累積赤字を減らすため消費税を段階的に増やして25%まで上げます。保育費用と高校までの教育費を無料化するのと引き換えに、国民に消費税増税を受け入れてもらいます。所得と資産合計の少ない家庭の優秀な子供には、税金を財源とする給付型奨学金を出して大学費用を払います。さらに老人の定義を75歳以上とし、年金の支出開始年齢も75歳に引き上げます。人手不足の日本では60歳以上の人にも広く働いてもらう必要があります。人生の経験者で知恵も体力もあるシニアには、新しい仕事を生み出すという大事な仕事が待っています。未来に希望がもてる国にするには、こうした施策が必要です。この結果財政赤字がなくなり、年金を支払い不能から守り、少子化を解消できれば日本問題は解決です。
2017年6月17日土曜日
日本問題とは
世界で最も速く高齢化と少子化が進む日本の問題は、日本に特有の問題なので他国の事例はあまり参考にならず、日本人自身が頭を使って解決しなければなりません。この日本問題とは、増大する累積財政赤字、制度的に維持できない年金、止まらない少子化の三つからできています。この問題が日本の若者に及ぼす影響は大きく、未来に希望を持てない日本人を増やしています。税収が足りず、国債を買ってくれる人もなく、行政は予算不足で停止し、「昔は良かった」とつぶやく老人だけの国になります。日本問題は世代間の問題でもあります。1000兆円を超える公的債務を作りだしたのは今の老人です。国民年金を通じて年間10兆円もの税金を食べているのも今の老人です。年金は保険であり、その保険料を納めているのは今の若者です。年金保険は積み立て預金とは違い、現役の労働者が今の老人に仕送りするという割賦方式を採っています。このため老人の寿命が延びて労働人口が少子化により減ると、こうした仕送りはできなくなります。年間10兆円もの税金で年金を補填するのは世代間の搾取に当たり、財政赤字と合わせて子供や孫の世代が使うはずのお金を横取りしています。「今さえ良ければいい、自分さえ良ければいい」という近視眼的な政策の結果がこれです。そうした政策を支持してきた今の老人と、投票しなかった若者に大きな責任があります。
2017年6月11日日曜日
二つの働き方
世の中には、アメリカ式の「仕事に人をつける」ジョブ型と日本式の「人に仕事をつける」メンバーシップ型の二つの働き方があります。その両方を経験した筆者は、ジョブ型の方が労使双方に有利だと考えます。以下その説明です。アメリカ式の「仕事に人をつける」ジョブ型は、プロ野球の世界と似ています。投手として採用されれば、まず投手として働きます。働く人はみな専門職についており、仕事の内容は就職する前に明らかになっています。投手なのに捕手として働くという事はありません。これに対して日本式の「人に仕事をつける」メンバーシップ型では、就職というより就社という形を取ります。働く人は一般職として採用され、辞令ひとつで仕事や働く場所が本人の意思とは無関係に変わります。ジョブ型では経験者に価値があり、メンバーシップ型では新人に価値があります。ジョブ型では担当する仕事がなくなれば手切れ金付き解雇です。メンバーシップ型では担当する仕事がなくなれば配置転換か追い出し部屋です。社会の変化に対応するには「仕事に人をつける」ジョブ型が有利です。日本のメンバーシップ型では解雇が事実上不可能なので、会社は常に余剰人員をかかえています。このため新しい仕事に経験者が必要でも、外から簡単に人を雇えません。一方その余剰人員も専門性が不十分なので身動きできず、会社の人件費だけが高止まりしています。この人件費削減のため正社員を減らしたのが日本の現状です。人材に流動性がなく社会の変化に対応できないのがメンバーシップ型の欠点です。その一方ジョブ型では専門性が問われるので、働く人は自分の専門性を磨くため常に自分への投資が必要です。
2017年6月1日木曜日
ブラック・ホール・レインボー
映画「インターステラー」には見事なブラック・ホールの映像が出てきます。2014年に映画館でこの映画を観た筆者は、ブラック・ホールの映像をとても美しいと思いつつもある種の違和感を感じていました。それから3年たってようやくこの違和感の正体が分かりました。それはブラック・ホールの周りに「虹」が見えないという点です。ブラック・ホールの周りに物が集まってぶつかり、熱と光を発生するのは理解できます。その発生した光は強い重力に逆らって飛ぶので、エネルギーを失うはずです。つまり事象の地平線近くから発した光は赤方偏位するばずで、その結果生じるはずのブラック・ホールを取り囲む虹が映画には出てきません。可視光が事象の地平線の近くから外に向けて飛ぶと、赤外線や電波の領域まで波長が伸びます。ちょうど事象の地平線上で発生する光は、その波長が無限大になる(エネルギーがゼロになる)ので検知できなくなります。これがブラック・ホールがブラックと呼ばれる理由です。あそこまで科学的な考証を重ねて美しい映像を作ったのに、円い虹を省略したのは演出のせいでしょうか。
2017年5月27日土曜日
限界集落とゴーストタウン
日本の限界集落のその次にある物がアメリカのゴースト・タウンです。アメリカの西部にあるゴースト・タウンは、金や銀を産出する鉱山の周りにできた町が鉱山の閉山にともなって廃れてしまい、最後には住民が他に引っ越してできる廃墟です。人がある場所に住むには理由があり、その理由がなくなるとゴースト・タウンができます。日本には居住の自由があるので、人は自分の住みたい所に住みます。その結果人が住みたがらない場所はゴースト・タウンとなります。人口が減る日本では今後ゴースト・タウンの発生を避けられません。でもゴースト・タウンは未来の観光資源にもなるので、限界集落は悪い事ばかりではありません。若者にとって魅力ある場所でなければ、限界集落は必ずゴースト・タウン化します。それは町のライフ・サイクルの一部であり、ごく自然な現象です。
2025年01月25日追記
企業城下町でその企業がいなくなれば、高い確率でそこはゴーストタウン化します。
2017年5月20日土曜日
税金の考え方
教育国債とか子供国債などの議論から分かるのは、そもそも税金はなぜ払うのかという根本が不明だという問題です。教育を投資とみなして国債で払えば、その分を税金から払わなくなるので政治家は喜びます。投資なら利益が入るはずで、それは教育の結果増えるであろう企業や個人の収入となるはずです。教育に1億円費やして、その結果いくら税金が増えるかは分かりません。それは税金の増加には他の要因もあるからです。ではそもそもなぜ公立教育があるかと言えば、まさにこの投資効果が計測できないからです。税金は投資でなかったり、あるいは投資効果が計れないものに使います。前者は警察や自衛隊、議会、そして行政の人件費に相当します。警察や自衛隊は利益を生みません。行政の人件費は利益どころか損失です。でも国民生活に必要な出費として税金で払います。後者の投資効果が計れないものは教育、地震対策、医療、生活保護などです。かけたお金に対していくら儲かったのか分からないけど、絶対にプラスになると思うから税金で払います。国債という債券でお金を集めるなら、リターンを得る手段とその金額を確定する必要があり、このため教育は国債には向きません。儲かる話なら民間にやらせるべきで、わざわざ新しい国債を作って国の借金を増やすのは愚かな行為です。赤字国債もリターンを得る手段とその金額が不明なので、政治家が苦し紛れに生み出した「禁じ手」にすぎません。日本の行政サービスは段階的に減らさざるを得ないのです。
2017年5月13日土曜日
シリコン・バレー・コミック・コン
サンノゼで第2回シリコン・バレー・コミック・コンを観てきました。これはまさにお祭りですね。観客もコスプレしている人の方が多いし、SF好きとかコミック好きという共通点があるので、見知らぬ人どうしでも仲良くやってます。むかしテレビや映画に出ていた俳優が写真撮影とかサインに応じているのが特徴で、スタートレックでデータ役をやってたBrent Spinerとか、ウーラ役のNichelle Nicholsなどを見かけました。場所柄NASAとSETIのブースもあり、火星に関するパネル・ディスカッションにはNASAの人に加えてAndy Weirも登場しました。彼はマット・デイモン主演で映画にもなったThe Martianという小説の作者です。秋葉原のラジオ会館にあるようなフィギュアを売っている店や、映画のワン・シーンを手書きで描いた絵などを売っています。これは著作権料をちゃんと払っているのかな。一日券で$50と安くはないものの、筆者はその独特な雰囲気を堪能してきました。
2017年5月1日月曜日
人工知能と仮説
今の人工知能が得意なのは帰納法です。つまり数多くの過去の事例を覚えて、目の前の問題に合う最良の事例を探しだし、それを目下の問題に適用します。有名なビッグ・データとディープ・ラーニングの組み合わせは、帰納法に最適の手法です。ところが人間は帰納法だけではなく演繹法も使います。事例からある種の法則を見いだしたら、その法則から仮の事例を組み立てます。言い換えると人間は仮説を立ててこれを検証します。でも今の人工知能は仮説を立てる事ができないので、例えばゲームをする人工知能は仮説を立てるかわりに無作為にありとあらゆる手を試します。ゲームという閉じた世界なら手当たり次第に可能な手を試しても害はないでしょう。でも人間の世界でこの方法を行うのは膨大なコストがかかるのでまず無理です。仮説を立てられない人工知能は過去の知識を超える事ができず、新しい問題の解決には役立ちません。仮説を立てられる人間はこの点で(今のところ)人工知能より優れています。
2017年4月22日土曜日
人手不足
少子高齢化の結果日本では人手不足が進行しています。これから労働人口は減る一方なので、まず労働条件の悪い3K仕事から人がいなくなります。それは老人介護やトラックによる物流といった仕事です。飲食店のアルバイトも人が足りなくて賃金を上げています。同じ事はアメリカでも起きており、シリコン・バレーでは多くの飲食店でNow Hiringという張り紙を見かけます。ただしここの場合その原因は人口減少ではなく、収入格差が広がりすぎたというものです。シリコン・バレーの生活費は高いので、飲食店のアルバイトで食べていける人は多くありません。先日マクドナルドで「14歳からアルバイトできます」という張り紙を見かけた時はびっくりしました。普通は高校生を雇うのに、それを中学生にまで広げるなんて驚きです。日本でも人手不足を外国人労働者で補おうとする動きは止まりません。3K仕事に安価な外国人労働者をあてるとアメリカのような超格差社会になり、日本はより大きな問題を抱え込むことになります。
2017年4月11日火曜日
東芝とテレビ
2015年12月26日に「テレビよりロボット」という記事の中で、筆者は「日本ではテレビよりも介護ロボットに投資先を変えた方が良い」という指摘をしました。テレビは汎用部品を買って組み立てるだけで他社と遜色ない製品ができてしまうので、製造コストの高い日本のメーカーには勝ち目がないからです。それより他社に真似できない製品としてロボットに力を入れるべきで、少子高齢化の進む日本では労働力としてのロボットが有望です。特に介護の分野は労働条件が悪いので、もっと機械化が必要です。原発投資で失敗した東芝が今年になってようやくテレビ事業を手放す[^1]ことに決めました。筆者の過去の記事を見るまでもなく、テレビが儲からない事業となったことは数年前から明らかだったのに、ダメになる企業には特徴的な「意思決定の遅さ」があります。
^1: http://www.asahi.com/articles/ASK4961B8K49ULFA002.html
^1: http://www.asahi.com/articles/ASK4961B8K49ULFA002.html
2017年4月8日土曜日
テレワーク
日本でもよく耳にするテレワーク、つまり会社に出勤せずにインターネットなどを使って家から働く方法が今回のお題です。マサもHP社に勤めた1990年ごろから必要に応じて家から働いていました。ソフトウェア・エンジニアだったので、電話線にモデムをつないで2400bpsでメールのチェックとかしてました。まだワークステーションが無かったので、会社のコンピュータにつながないと仕事ができないという時代でした。今の会社でも事情は似たようなものです。モデムの代わりにインターネットとVPNになったので、回線スピードが桁違いに速くなっただけです。ターミナル・プログラムを使ってコマンドを打ち込むという作業に変わりはありません。家から働くと通勤と子育てには楽です。でも顔を突き合わせての話しができないので、テレワークは週に一度でいいと思いました。米Yahooではテレワークが禁止されたこともあります。アメリカの場合、従業員が遠くに住んでいて会社に通勤できない場合もあるので、そうした人はほぼ毎日テレワークです。アメリカは広いので毎日テレワークで働く人は珍しくありません。それでも月に一度くらいは会社に来て直に話しをするという作業が必要です。同じ部屋で白板に絵を描いて議論するというのはテレワークでは実現できません。
2017年4月1日土曜日
ふるさと納税の愚
日本の「ふるさと納税」という仕組みが壁にぶつかっています。自分の住む自治体以外に納税する時、いくら納税したかを納税先の自治体から自分の住む自治体に通知するきまりがあります。それはこの納税額を住民税から控除できるからです。このとき納税額から、お礼の品の地元での値段を差し引いた額を通知する法律にすれば良かったのにと筆者は思います。いかにも日本らしい「返礼品」の値段を巡って、くだらない駆け引きが続いています。合理的な法律を作らないから、返礼品の値段をめぐって自治体が争うようなアホな事をやっています。いっそ返礼品を法律で禁止したらどうですか。
2017年3月24日金曜日
就活生へ
先日日本の大学生と話したとき、どの会社に入るのが良いかという質問をもらいました。その時は時間がなくて答えられなかったので、ここに筆者の答えを書きます。これはあくまでも個人的意見なので、読者は自己責任で読んでください。会社が株式公開していれば毎年の売り上げを公表しているので、その売り上げのグラフを見て指数関数的に上がっている会社は狙い目です。もちろんこの場合毎年の売り上げを会社が誤魔化さずに公表しているという条件があります。こうした売り上げはほぼS字カーブを描くので、その前半にいる会社ということですね。また企業の寿命はおおむね30年です。30年たつと創業当時の元気な人がいなくなるので、会社が保守的になって売り上げが伸びなくなります。なので創業30年ぐらいの会社は避けた方がいいでしょう。今がピークの会社に入ると、そうした会社は有名なので親は喜ぶかもしれないけど、後が大変です。今がピークかどうかは毎年の売り上げをみれば分かります。売り上げのグラフでS字カーブのどこにいるのかを判断します。伸びている会社では自分から新しい仕事を提案して実行できます。逆にピークを過ぎた会社だと、旧態依然の仕事をより少ない人数でやるという後ろ向きの仕事になりがちです。株式公開していない会社は会社四季報で売り上げを調べるとか、目星を付けておいて面接時に過去5年間の売り上げの推移を訊いてみるという方法があります。売り上げは企業秘密だから教えられないという会社は入らない方がいいでしょう。公開していなくても業界の人なら競合する会社の売り上げぐらい知っています。売り上げは公然の秘密なので面接する人に隠していても無意味です。スタートアップのようにまだ売り上げがない会社もあります。筆者は社会経験の少ない新卒にスタートアップは勧めません。会社はお金をもらいながら仕事のトレーニングを受ける場所でもあるので、新卒は創業10年ぐらいの会社でまず働きながら仕事のトレーニングを受けるのがベストです。一方30年以上続いている会社は安定しているので、仕事の面白さより安定性を求めるならそうした会社が良いでしょう。そこはお好みで。
2017年3月18日土曜日
ポットラック・パーティー
よく引っ越しするアメリカ人は、人付き合いの方法が日本人とは違います。誰とでもすぐ打ち解けようとするし、逆に人とべったり仲良くなる事は避けようとします。キリスト教信者なら自分の宗派の教会を探して、そこに顔を出すことで知人を増やします。学齢の子供がいれば、子供の親を自宅に招いてパーティーをする事で友人を増やします。自宅でパーティーを開くときは、ポットラック・パーティーと呼ぶ料理持ち寄り方法を使います。パーティーの場所を提供する人がテーブルや椅子、食器や飲み物を用意します。参加者はパーティーの人数を聞いて、その人数で食べられる分量の料理を一品作るか、あるいは買って持っていきます。今はメールで事前に料理の調整ができるので、サラダ、肉、デザートなど参加者どうしで持参する料理を決めます。この方法だとパーティーの主催者に負担が集中しないので、安価で気楽にパーティーを開けます。このパーティーの目的は情報交換なので、「おもてなし」や「ごちそう」は必要ありません。自宅がある程度広ければ、英語でいうpotluck partyは日本でも可能です。
2017年3月9日木曜日
貴方はインターン?
スタンフォード大学病院は近いせいもあって時々お世話になります。でもここは大学病院なので最初に会う先生はインターンの場合がほとんどです。やけに若い先生だなと思いつつ英語で一生懸命自分の病状を説明しても、その先生がいったん引っ込むと、10分ぐらいして今度はもっと経験のありそうな指導教授っぽい先生と一緒に戻ってくるので、今度はこの指導教授にさっきの病状の説明を繰り返さなければなりません。最近はこちらも最初に会う先生にはあまり期待しなくなったので、最初の説明はこっちも英語の練習だくらいに思って、次の先生にしっかり病状を伝えるようにしています。手術も普通は見習いの先生(レジデント)がやって、指導教授は隣にいて見習いが失敗しそうになったら手を出します。手術の説明の時に誰が手術するのかと訊けば、「自分が指導する誰々」がやるとちゃんと教えてくれます。もし診断や手術の練習台になるのがいやなら大学病院に行ってはいけません。
2017年3月1日水曜日
子育ては残業月300時間
子育ては毎日休みなしで16時間以上続くので、単純計算でも16時間かける30日で月480時間の労働です。サラリーマンの仕事が8時間かける20日とすると月160時間なので、毎月300時間以上残業している計算になります。もちろん子育てはサラリーマンの仕事とは違います。でも時には親にも休みが必要です。特に一人親の場合は子育てと生活費のための労働が重なるので、親は簡単に追い詰められてしまいます。子育てが重労働だという事を知らない男性議員が国を仕切っている以上、日本の人口減少は止まりません。
2017年2月15日水曜日
高騰する廃炉処理費
福島原発の廃炉処理費が当初の見積もりの4倍の8兆円になったという報道[^1]がありました。これに損害賠償と除染費用を加えると総額は20兆円を超えています。廃炉処理には数多くの未経験の問題があり、その費用の見積もりはそもそも不可能です。今出ている数字は最低これ位かかるというもので、実際にはもっともっとかかります。これらはすべて原子力発電のコストに含めるべきで、そうすると原子力発電のコストは今の日本で最も高いもの[^2]になります。日本の原子力発電のコストが安いという主張にはもはや根拠がありません。廃炉処理費を東電が支払うといっても、それは電気代に加算されて利用者が負担することになります。損害賠償も送電費用に上乗せされて国民の負担になります。送電事業は今のところ競争ができない仕組み[^3]になっているので、地域ごとの独占事業です。発電会社は選べても送電会社は選べません。福島原発事故が起きるまで国民は全体として原発を容認していたので、その結果生じた事故の責任は最終的に国民全員が負うという理屈です。実質債務超過となった東電をJALのように法的処理したとしても、税金で救うことになるのでやはり国民負担になります。
^1: http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016120902000265.html
^2: http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016121102000125.html
^3: http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09340430Z01C16A1000000/
^1: http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016120902000265.html
^2: http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201612/CK2016121102000125.html
^3: http://www.nikkei.com/article/DGXMZO09340430Z01C16A1000000/
2017年2月8日水曜日
予防注射
日本では必ず医者が打つ予防注射が今回のお題です。秋になるとインフルエンザの注射とか打ちますよね。アメリカだとこうした予防注射は看護師が打ちます。問診書に自分の健康状態を書いて申し込むので、この自己申告で問題なければ相手は健康な人ということで、看護師が予防注射を打ってもかまいません。会社にも毎年契約する看護師と事務手続きの人がペアで来て、希望する社員にインフルエンザの予防注射を打ってくれます。またおおむね健康保険が効くので予防注射は無料です。アメリカの看護師にはいくつかランクがあって、一番上の看護師になると簡単な薬を処方することもできます。日本のように予防注射まで医者の仕事にしてしまうと、なかなか医療のコストは下がりません。日本の看護師が予防注射を打てない理由は何でしょうね。
2017年2月1日水曜日
物価下落
2016年の日本の消費者物価が前年比で0・3%下落したというニュース[^1]がありました。これは日本の消費者にとって朗報であるにもかかわらず、デフレ脱却ができなかったということで問題視している新聞が多いのにはがっかりです。消費が増えない以上インフレにはなりません。そして消費を増やすには人口を増やすのが一番です。老人が増えて子供が減れば税金を払う人がいなくなり、年金どころか国家予算が不足します。公務員の給料は遅配となり役所が閉鎖されます。国中がスラム化するのを防ぐには、年金に流用している年間10兆円の税金を若者と子供に使わなければなりません。お金のない老人には生活保護があります。増加する生活保護費用は防衛費を削ってまかないます。
^1: http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012700156
^1: http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012700156
2017年1月28日土曜日
天然酵母の誤解
最近日本でよく目にする「天然酵母パン」の天然酵母ってヘンですね。イーストは全部天然酵母です。酵母は生物で人工のものはありません。そこで天然酵母の定義を調べてみました。パンに適した酵母を純粋培養した物がイーストです。これに対して一部の業者は、ブドウやリンゴの表面に自生する酵母や乳酸菌の混合物を培養して、これを天然酵母と呼んでいるようです。培養に使ったブドウやリンゴの果汁も含むので、酵母だけでなくいろいろな細菌と有機物を含みます。サン・フランシスコ名物のサワードウというパンにも酵母より多くの乳酸菌が使われているので、独特の酸味があります。今のことろ天然酵母にはパン業界の定義も法律上の定義もないので、乾燥イーストで作ったパン生地に干しぶどうを一個入れただけでも天然酵母入りと言えます。つまり「天然酵母パン」にはピンからキリまであるという事です。繰り返すとイーストは全部天然酵母なので、独特の味がない「天然酵母パン」には意味がありません。
2017年1月21日土曜日
両足運転
高齢者の運転でアクセルとブレーキを踏み間違えるという報道が最近増えてます。オートマチックの自動車なら足もとのペダルは二つだけなので、アクセルを右足で踏み、ブレーキを左足で踏むという運転方法を最初から教えてはどうでしょう。右足だけにアクセルとブレーキを担当させると、アクセルからブレーキに足を動かすという動作が不十分な場合、ブレーキのつもりでアクセルを踏んでしまいます。クラッチがなければ左足でブレーキを踏むのが自然な動作です。そのためにオートマチック車ではブレーキペダルが左右に大きくなっています。始めて左足でブレーキを踏むと減速が強すぎるので、今まで右足でブレーキを踏んでいた人は最初に安全な場所での練習が必要です。両足を使えば運転中に使わない左足がだるくなる事も防げます。特にオートマ限定の免許なら両足運転をしない理由がありません。とっさの場合にアクセルからブレーキに正しく足を動かすという動作は、誰にでもできる事ではありません。右足で加速し左足で減速するという単純な運転方法が高齢者の事故を減らします。
2017年1月14日土曜日
成人式不要論
日本の成人式という自治体の行事は不要です。そんなお金があるのなら、給付型の奨学金として地元の学生に使ってください。そもそも何のために成人式があるのでしょう。毎年成人式になると酒を飲んで騒動を起こすアホな若者の話が新聞に載ります。これから財政赤字がもっと悪化する日本に無駄な公金を使う余裕はないので、自治体の成人式は真っ先に廃止すべき支出です。同窓会なら自分のお金でやってください。ちなみに筆者は日本の自治体で自分の成人式に出た事はありません。比較のために言うとアメリカには成人式はありません。
2017年1月7日土曜日
人工知能とお金
人工知能は道具です。ではこの道具でお金を得るにはどうしたらいいでしょうか。ひとつの方法は、法人が人工知能を使って有料サービスを提供し、その結果に責任を持つというビジネスです。例えば医療診断というサービスを考えましょう。医療診断は人の命に責任を持つビジネスなので、法人がその結果に責任を持つには保険をかける必要があります。誤診断の結果患者が被る不利益をカバーする保険があれば、法人がこうしたサービスを提供しても十分ビジネスになります。アメリカだと営利企業が病院を運営しても良いので、人件費の高い人間の医者の代わりに人工知能を使って24時間医療診断する病院を作れば大きな利益が見込めます。診断サービスを提供する法人が医師のかわりに結果責任を持つので、多くの利用者を集めればリスクを分散でき十分ビジネスになります。人工知能を使って有料サービスを提供する法人が、保険をかけてサービスの結果に責任を持つというビジネス・モデルはいろいろな業種で使えます。人工知能そのものは責任を取れなくても、それを使って有料サービスを提供する法人は責任を取ることができるからです。
2017年1月3日火曜日
大学費用
日本の格差是正には大学教育の無料化という手もあります。北欧のように高負担高福祉の国になるなら日本でも大学の無料化は可能です。でも増税がいやなら教育費用の無料化はできません。そして大学費用を払えない人は大学に行けません。これは国の制度として国民が選んだ結果なので、格差是正をどこまで実現するかは国民にかかっています。この場合どうしても大学に行きたければ、まず働いて大学費用を貯めてからそのお金で大学に行くという手があります。日本の大学進学率は50%ぐらいなのでアメリカとほぼ同じです。大学を出た人が母校に寄付して特待生の数を増やすのが、低負担低福祉の国アメリカのやり方です。
2017年1月2日月曜日
日本の労働形態を変える
経済格差を是正するにはどうしたらいいでしょうか。それにはまず「正社員と非正規労働者」「若者と高齢者」「男性と女性」という三大差別を法律で禁止しなければなりません。具体的には「(仕事や場所が限定されない)正社員制度の禁止」「手切れ金による解雇の容認」「年齢(生年月日)による就職差別の禁止」「(憲法違反である)年功序列制度の禁止」「(同じく憲法違反である)定年制度の禁止」「(過労死を防ぐ)長時間労働の禁止」という法律が必要です。これらはすべて労使双方に利益があります。仕事や場所を限定して手切れ金による解雇を認めれば、仕事がある場合にだけ必要な人を雇うので、無理な仕事や転勤はなくなります。儲からない仕事はすぐ止められるので、経済の環境変化に強い会社になります。年齢(生年月日)による就職差別の禁止は当然として、年功序列制度も憲法14条違反であるうえ、若者と高齢者の差別になるので禁止します。年齢で決まる定年制度もなくなります。長時間労働の禁止は過労死を防ぐだけでなく、長時間労働しにくい女性や仕事のきつい男性にも恩恵があります。仕事に人を付けるという社会になれば、就職という言葉通りに仕事に必要な人を必要な時にだけ雇うという労働形態になります。就社ではないので仕事がなくなれば手切れ金による解雇もある反面、仕事や場所が限定されているので、社畜になる恐れはありません。同じ仕事がある限り他の会社に移るのも簡単になり、ブラック企業は淘汰されます。仕事や場所が限定された限定社員でも、定年がないので仕事がある限りいつまでも働く事ができます。そのかわり定年をなくせば退職金もなくなります。非正規労働者は同じ雇い主のもとで働ける期間を1年未満とします。それ以上は正規社員である限定社員として雇わなければなりません。仕事に対して人を雇うので、同じ仕事ならば男性と女性で賃金に差を付けるのは違法にします。繰り返すと、仕事に人を付けるという社会は労使双方に利益があります。法律で三大差別を禁止すれば経済格差是正への大きな一歩になります。
2017年1月1日日曜日
経済成長の是非
人口が減る日本ではGDPの大幅な増加といった経済成長は期待できません。そこで経済成長が日本の進むべき道なのかという議論があっても良いかと思います。そもそもなぜ経済成長が問われるかというと、国の政策が経済成長に依存しているからです。例えば国債は、将来日本の税収が増えるという見込みの下に行う借金です。経済成長しているかぎり国民は増税に大きな不満は持ちません。年金問題だって経済成長しているかぎり何とでも誤魔化せます。ところが経済がマイナス成長になると、こうした社会の歯車が逆転して大きな問題となります。国債は返すあてもなく増え続け、貯めた年金も2030年には枯渇します。増税したくてもマイナス成長下では不況が怖くてできません。時間と共に経済が成長するという前提が崩れた以上、経済成長に頼らない経済運営をするべき時が来ています。円安を目的とした量的緩和では経済成長は実現しなかったし、低金利だけでは人口減少に対処できません。おまけに強すぎる規制のせいで民泊やウーバーもできません。中間層が少ないと税収が細り国が滅ぶので、経済成長より経済格差の是正が喫緊の課題です。
2016年12月23日金曜日
自動運転と高速道路
グーグルの地元マウンテン・ビュー市ではグーグルの自動運転の車をよく見かけます。町中を走っているこの車には必ず実験を担当する人間が乗っていて、いろいろなデータを集めているそうです。面白いことに、この自動運転の車が近くの高速道路を走っているのは見たことがありません。つまりグーグルの自動運転車はまだ高速道路は走れないようです。先頃グーグルが自動運転のタクシーを始めると発表しました。これは町中を走るタクシーという事でしょうか。混雑した高速道路を走るのは確かに自動運転にとって相当難しいと思います。日本では日産が高速道路を走る半自動運転を始めるということなので、日本とアメリカの違いとして面白いと思います。高速道路を走れない自動運転車だとタクシーとしてあまり役立たないのではと気になります。グーグルは完全自動運転を目指しているので、日産とは目指す方向が違うのでしょう。
2016年12月17日土曜日
AIに何を教えるのか
AIは学習する事で知識を増やします。では何をAIに教えるのでしょう。先ごろあったマイクロソフトの事件を覚えていますか。チャットするAIのテイは利用者との会話から知識を増やします。ところが悪意をもった利用者がテイに人種差別的な意見を大量に教えたため、テイはそれを学習して人種差別的なツイートを始めるようになりました。これに気がついたマイクロソフトはすぐテイをインターネットから切り離したので、その後このAIがどうなったかは知りません。でもこの事件から得られる教訓は、AIは素直な子供のように良いことも悪いこともすべて同じように学習するという点です。するとAIに何を教えるのかというのが大切な問いになってきます。たとえば宗教はどうでしょう。AIに宗教を教えるべきですか。教えるとしたらどの宗教ですか。戦争はいけない事ですか。それなら今なぜ中東に戦争があるのでしょう。こうした疑問には答えが複数あり、唯一の正解はありません。学習型AIには何を教えたらいいでしょうか。
2016年12月13日火曜日
人工知能についての誤解その3
話題の機械学習には報酬が必要です。囲碁やチェスならゲームの勝ち負けが簡単に判断できるので、勝てば報酬がもらえる(勝った方のプレーヤーの経験値が増える)という形で機械学習を行います。この場合機械に何を報酬として与えるかは学習結果に大きく影響するので、人間に役立つ人工知能を作るには報酬の条件を適切に決める必要があります。その際には善悪の判断も必要で、報酬の条件を間違えると人間に有害な人工知能ができてしまいます。人工知能が進むと人間の仕事がなくなるというのは誤解で、むしろ人工知能を使って何をするかを考える仕事や、人工知能に適切な条件を与えて学習させる教師のような仕事が生まれます。かつてパソコンがソロバンに取って代わったように、仕事に使う道具は常に変化しています。人工知能はあくまでも道具なので、その使い方を学べば人間の仕事がなくなる事はありません。
2016年12月10日土曜日
人工知能についての誤解その2
囲碁の世界で人工知能が人間に勝ったというニュースがありました。チェスの世界ではもっと前から人工知能が人間に勝っています。こうしたゲームは勝敗に関わる情報がプレーヤーに完全に見えているので、機械学習を駆使して、人間より経験豊富な人工知能プレーヤーを養成することができます。デジタル化されたすべての定石を覚え、さらに人工知能プレーヤー同士を高速度で対戦させれば、人間の数千倍の経験をもつ人工知能プレーヤーを作る事は今でも可能です。つまりこうしたゲームで人工知能に人間が勝つ見込みは今後ありません。でもそれはゲームという特殊な状況だけに限定されます。「勝敗に関わる情報がプレーヤーに完全に見えている」という状況は実社会の状況とは違います。例えば車の自動運転をする人工知能があるとします。この人工知能は安全で便利な運転に必要なすべての情報を持っているでしょうか。住宅地では子供が車の影から飛び出すかもしれません。高速道路では逆行する車があるかもしれません。不完全な情報のもとで決断を下す以上、常に最上の決断を下すことは人工知能にも不可能です。人工知能にできる事は、住宅地ではゆっくり走るとか、高速道路で逆行する車を見つけたらすぐ路肩に止まるぐらいです。実社会のすべての状況変化に適応できる人工知能はありません。
2016年12月6日火曜日
人工知能についての誤解その1
レイ・カーツワイルという未来学者がその著書「シンギュラリティは近い」という本で紹介した「シンギュラリティ」という言葉は、ひとつのコンピュータが持つ計算能力がひとりの人間の脳をシミュレーションするのに十分なレベルに達する状況を表します。ここにはまず脳をコンピュータがシミュレーションできるという仮定があり、次にその方法を人間が知っているという仮定があります。もしこのふたつの仮定が成立する場合、2045年にコンピュータ技術がシンギュラリティに到達するというのがカーツワイルの予測です。これに対してよくある誤解は、2045年には人工知能が進歩して人間の知能を超えるというものです。今の人工知能は脳のシミュレーションではありませんし、そもそも脳を100%シミュレーションする方法は分かっていません。たとえ分かったとしても、空っぽの脳を作れるだけです。計算能力だけでは人間を超える知能はできません。
2016年12月1日木曜日
国債は将来世代からの借金
世の中にはおめでたい人がいます。国債は将来世代からの借金だという事を忘れて、日銀が国債を全部買い取れば良いという人がいます。日銀がお札を大量に刷って日本の国債を全部買い取ると、どんな事が起きるでしょうか。日本の国債残高は既に1000兆円を超えています。これは今のお札の発行残高とほぼ同じです。つまり日銀が日本の国債を全部買うためには、世の中に出回っているお札の量を倍にしないといけません。これはつまり短期間に円の価値を半分にするという事ですから、1ドルが200円を超える円安を招きます。輸入物価が跳ね上がり、とんでもないインフレを引き起こします。お金の価値が半減するので、タンス預金もその価値が半減します。輸出企業は売り上げをドルで受け取るので、日本円に換算すると売り上げは倍になります。でも円の価値が半減しているので、日本でそのお金を使う限りプラス・マイナス・ゼロです。もともと国債は将来世代からの借金なので、いくら増やしても今を生きている人に不便はありません。将来世代が北海道夕張市のような緊縮財政を強いられるという意味で、国債は世代間の争いとなっています。
2016年11月13日日曜日
毎月勤労統計調査
今年の2月から対前年同月比で日本の実質賃金がわずかに上昇しており、これ自体は良いニュースです。ところがその内容を詳しく見ると、二つの問題点が見えてきます。まず第一に実質賃金の経年変化です。日本政府が出す毎月勤労統計調査というエクセルをみると、2010年平均を100とする実質賃金指数は2016年8月において95・4となっています。2015年8月が94・7でしたから、8月は確かに0・7ポイント上昇しています。でも2010年に較べるとずっと下のままです。2011年だけ100を超えたものの、その次の年から実質賃金指数はずっと100を下回っています。また今年の2月からの対前年同月比での上昇分は、大部分が物価下落のおかげという事実です。例えば2016年9月の実質賃金は前年同月比で0・9%伸びました。これは消費者物価指数が0・6%下落した分を含むので、この一年で労働者の賃金は0・3%しか上がっておらず、主に物価が下がった分だけ実質賃金が上がったという事が分かります。人口が減る日本で経済成長するのがいかに難しいかは、こうした数字を見るとよく分かります。
2016年11月6日日曜日
残業月100時間とは
かつて日本のIT企業で働いたことのある筆者には分かります。残業が月に100時間というのは日本のこの業界では普通です。これがどのくらい惨めな生活かと言うと、ひと月が4週間として毎週25時間の残業なので、平日は毎日11時間働いて平日の残業が計15時間になり、それに週末10時間の出社が加わります。残りの一日も疲れているので、昼まで寝てから洗濯と掃除を済ませて、夕方に本でも読めれば良い方です。馬車馬のように働かされてお金をもらっても、自分に投資する時間的余裕がないので、もし体を壊して働けなくなれば人生の終わりです。こうした働き方をしているサラリーマンは、東京では珍しくありません。将来に希望も持てず、会社と自宅の往復だけで職業人生が終わってしまいます。この悪循環から抜け出すには、サラリーマンを辞めるしか手がありません。独身ならいざ知らず、結婚して子供もいればまず無理でしょう。過労死として労災が出る月80時間超の残業をなるべくしない、これがあなたの身を守ります。大人なら誰にでも自分に素直に生きる権利があります。せっかく大学まで出たのに社畜として一生を終えたいですか。
2016年10月22日土曜日
敗者復活
日本とアメリカの最大の違いは何でしょう。筆者の意見では、日本では就職のチャンスが一生に一度しかなく、人生が一本道だという点です。終身雇用と年功序列という制度の下では、敗者復活は容易ではありません。たまたま入った会社が自分に合わなかったり、ブラック企業だったりしても、その会社をやめて新しい会社に入るには壁があります。日本では新卒が優遇される反面、中途採用には即戦力が求められるため、前職で十分なトレーニングや経験を積んでいない人には不利です。つまり敗者復活が難しいのが日本です。これとは対象的に、アメリカの新卒は就職において最も不利な立場にあります。アメリカには終身雇用もなければ年功序列もないので、基本的にすべてが中途採用です。このため働いた経験のない新卒は最も価値が低い求職者となります。ただし、日本と違って前職で十分なトレーニングや経験を積んでいない人でも、大学に再度入って仕事の知識を学んだりインターンを通じて経験を積むことで、比較的容易に敗者復活を遂げることができます。また同じ仕事の分野でより待遇の良い会社に移ることは当然と見なされるので、たまたま入った会社が自分に合わなかったり、ブラック企業だったりしても、その会社をやめて新しい会社に入るのは普通の事とされます。このように敗者復活が容易であれば、その道の経験者がスタートアップ企業に就職するケースも多くなり、新しい会社が成功する確率が高まります。アメリカには過労死や社畜もありません。どちらが働く人にとって生きやすい社会でしょうか。
2016年10月13日木曜日
長時間労働の欠点
日本の長時間労働は国際的に有名になりつつあります。日本で働く外国人が増えたためでしょう。ユーチューブにも毎日の残業で疲れたサラリーマンを描写した作品[^1]があります。アメリカのIT企業でエンジニアをしている筆者は、午後6時には誰もいなくなるオフィスにすっかり慣れてしまったので、日本の長時間労働の欠点を思い出すのに苦労しました。まず長い時間働くと疲れが溜まって頭が回らなくなります。新しいアイデアが浮かばず、目の前の問題をとりあえず解消する仕事ばかりになります。英語でいうfirefightingばかりです。次に家族との関係が悪化して離婚の危機にさらされます。子育てに回す時間がないので、少子化を招きます。健康を害して仕事ができなくなる危険もあります。これだけの欠点がありながら長時間労働が減らない理由はふたつあり、残業をすればするほど月給が増えるという賃金の仕組みと、人に仕事を割り当てるという日本の労働形態が大きな原因です。前者は年収ベースの賃金に変えて、どれだけ残業しても賃金は増えないという労働契約を結べば変えられます。ところが後者は日本の年功序列や団体主義と結びついているので、そう簡単に変えることができません。人の仕事の範囲が決まっていないので、時間のある人は他の人の仕事までやらなければなりません。効率良く自分の仕事を終わらせても、その分早く帰宅できるのでなければ、かえってたくさんの仕事を押しつけられてしまうので、効率良く仕事を終わらせようという気持ちになりません。アメリカのように仕事に人を割り当てる動労形態なら仕事の縄張りがきっちり決まっているので、自分の仕事さえ効率良く終わらせれば大手を振って帰宅できます。それでもアメリカの方が日本より生産性が倍も高いので、日本の長時間労働が何の役に立つのか筆者には不思議で仕方ありません。
^1: https://www.youtube.com/watch?v=po8IPh64rVM
^1: https://www.youtube.com/watch?v=po8IPh64rVM
2016年10月8日土曜日
二重国籍
国により国籍についての考え方が違います。でも二重国籍を法律上許すかどうかで世界の国々はふたつのグループに分かれます。アメリカ、カナダ、フランス、韓国などは二重国籍を認め、外国籍を維持したままその国の国籍を取る事が可能です。いっぽう日本や中国その他の国は二重国籍を認めず、国籍はひとつしか選べません。日本は人口減少に悩み、海外からの高度な人材を必要としています。それに日本が好きで日本に一生住み続けるつもりの人でも、母国の国籍を失いたくない人は大勢います。国籍を一つに限ることで日本にどんな国益があるのでしょうか。日本で働き税金を納めていても、日本の国籍がなければ政治に参加できません。もし同じ能力の人が日本とアメリカを較べたら、二重国籍を認めているアメリカは日本より魅力があります。日本よりアメリカの方が給料が良いし、労働時間も少なくて済みます。日本はなぜ二重国籍を認めないのか不思議で仕方ありません。法律が現状にそぐわないなら変えるのが議員の仕事です。移民を語る上で二重国籍は避けて通れない問題です。
2016年9月25日日曜日
笛吹けど踊らず
日銀の「総括的な検証」を読むと、物価の年率2%上昇に失敗した理由として「原油安」の他に「国民が日銀の言う未来を信じなかった」という意味の事が書かれています。つまり「笛吹けど踊らず」です。人口が減り、国債という国民の借金は増え、消費税という税金も増えるという状況で、これから(なぜか)景気が良くなると信じて支出を増やす人がいなかった、という当たり前の結果です。原因と結果を逆に考えるからこうなります。需要が増えて供給が追いつかないから物価が上がるのであって、円安を起こして(輸入)物価を上げても需要は増えません。賃金が上がらなければ消費は増えないし、人口が増えなければ需要は増えません。円安のため海外からの観光客が増えたのは良いとしても、人口を増やす抜本的な政策がなければ、もう日銀にできる事はありません。少子高齢化は国の根本に関わる大問題です。税金を払う人が減り、税金をもらう人が増える日本で、国債にいつまで頼るのか、日本政府にその答えはありません。
2016年9月2日金曜日
アメリカの雇用問題
先日読んだ本 [^1]によると、アメリカの被雇用者数は2000年から2010年の10年間でちっとも増えなかったそうです。その原因はふたつ指摘されていて、この10年間に海外へ仕事のアウトソーシングが進んだためと、今まで人間がやっていた仕事をコンピュータなど機械がやるようになったためです。当時もシリコン・バレーでエンジニアをしていた筆者には納得できる話です。今と違いソフトウェア・エンジニアの仕事はどんどん中国とインドにアウトソースされていました。2005年のある日、勤めていた会社のCTOが「design on shore, implement off shore」と言うのを壁越しに偶然聞いてしまい、驚いた事もありました。コストカットが厳しく、アメリカで一人雇うお金があればインドで三人雇えるとも言ってました。インターネットのおかげで海外との通信費がほぼタダになり、アメリカのIT会社がこぞってインドに拠点を作っていた時代です。AT&Tのカスタマー・サポートの電話もインドに転送され、インドなまりの英語を話すオペレーターと戦わなくてはなりませんでした。数年後そうした電話は機械が回答するようになり、人減らしが進んだ事がうかがえました。
^1: ロボットの脅威 https://www.amazon.co.jp/dp/B01B2Q2BWK
^1: ロボットの脅威 https://www.amazon.co.jp/dp/B01B2Q2BWK
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